化合物
オレオカンタール
oleocanthal
オレオカンタールは、エキストラバージンオリーブオイルのセコイリドイドジアルデヒド。一般に deacetoxy-ligstroside aglycone(p-HPEA-EDA)と同一視され、喉に限局した刺激感を引き起こす。
模式図 — 写真ではなく、根拠をもとに苦味研究所が組んだ説明図

模式図(苦味研究所作成)· CC BY 4.0
オレオカンタール — 喉に来る刺激であって、苦味ではない
エキストラバージンオリーブオイルのオレオカンタールについて、人での感じ方(被験者 12 名は舌の前部の刺激は最小で強い喉の刺激を報告、対照のホースラディッシュは口腔全体)と、受容体の応答(ヒト TRPA1 を発現させた細胞で EC50 2.8 µM、TRPV1・TRPV2・TRPV4・TRPM8 は活性化せず、TRPA1 を欠くマウスのニューロンは興奮しない)を並べた図。刺激(化学感覚)の話で、苦味とは分けて読む。
根拠: ev-oleocanthal-throat-psychophysics · ev-oleocanthal-trpa1-hek · ev-oleocanthal-trpa1-noncysteine
化合物 / compound-oleocanthal
↑苦味を読む
オレオカンタールは、搾りたてのエキストラバージンオリーブオイルに含まれるセコイリドイド系のジアルデヒドで、一般にデアセトキシリグストロシドアグリコンと同一の化合物とされる。この化合物は、口に含んだときに喉の奥に強い刺すような刺激を起こすことで知られ、その刺激はイブプロフェン溶液の刺激になぞらえられてきた。もともとは分画実験と精神物理学の実験という二つの独立した手法でそれぞれ見つかっており、オレオカンタールと名付けられたのは2005年のことである。
ヒト被験者12名を対象にした研究では、オリーブオイルを口に含んだとき、舌の前方で感じる刺激は最小限だったのに対し、喉では強い刺激が報告された。これは、口全体に広く刺激が及ぶホースラディッシュ(西洋わさび)由来のアリルイソチオシアネートとは対照的な広がり方である。
この刺激の仕組みを調べた研究では、オレオカンタールはヒトのTRPA1というイオンチャネルを発現させた培養細胞でEC50 2.8マイクロモルという濃度で電流を誘発する一方、TRPV1・TRPV2・TRPV4・TRPM8という別のチャネルは活性化しなかった。TRPA1を欠くマウスの三叉神経の細胞は反応せず、TRPA1を阻害する薬剤を加えると野生型マウスの反応も消えた。さらに、求電子性のTRPA1作動薬に典型的なシステイン残基への結合を介する仕組みを使っていないことも、変異体を使った実験で示されている。ただしオレオカンタールが実際にどの部位に結合しているのかは、まだ特定されていない。
苦味そのものとの関係を扱った別の研究では、2作季にわたり生産されたエキストラバージンオリーブオイル試料200点を対象にした訓練パネルの官能分析で、フェノール総含量が苦味・刺激強度の両方と相関する一方、個々のフェノールの寄与は異なっていた。苦味についてはオレウロペインとリグストロシドのアグリコン異性体が識別力(ROC解析)の70%超を説明したのに対し、オレオカンタールとオレアセインは苦味強度の低下と関連づけられた(抄録の範囲)。
この説明の根拠
Phytochemistry: ibuprofen-like activity in extra-virgin olive oil
この本文で確認した範囲: 喉の刺激とイブプロフェン様の刺激になぞらえた記述、2005年の命名
この本文で確認した範囲: 分画実験による喉の灼熱性刺激の同定という独立経路の確認
この本文で確認した範囲: n=12での舌前方と喉の刺激の対比、ホースラディッシュとの対照/EC50 2.8µMでのTRPA1活性化と他チャネル非活性化、KOマウスの無反応/システイン変異体でも野生型同様の応答という非共有結合機構の確認
Phenolic Metabolism Explains Bitterness and Pungency of Extra Virgin Olive Oils
この本文で確認した範囲: オレオカンタールが苦味強度の低下と関連づけられた官能分析結果
実測値(1)
| 種別 | 化合物 | 対象 | 値 | 条件 | 出典 |
|---|---|---|---|---|---|
| 受容体EC50 | オレオカンタール | TRPA1 | 2.8 µM | ヒトTRPA1発現細胞 | Peyrot des Gachons C, 2011 |
値は各出典の報告値そのまま(単位・条件を併記)。閾値・EC50はパネル・手法依存で、単一の真値ではありません。
構造化された主張 — 節を開くと、主張ごとの確度・根拠・限界が読めます
感覚(2)
範囲: ヒトのテイスティングおよび精神物理学における、エキストラバージンオリーブオイル由来の喉(咽頭)限局性の刺激感
注記: Unilever の分画研究(deacetoxy-ligstroside aglycone として)と Monell の精神物理学によって独立に同定。化合物は2005年に oleocanthal と命名された。
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compound-oleocanthal —elicits→ sensation-pungent範囲: 層: 食品。訓練された官能パネルが、2作季にわたり生産された200点のEVOO試料を規制基準に基づき3段階(Delicate・Medium・Robust)に分類した官能分析と、フェノール含量分析(ROC解析による寄与度推定)。
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compound-oleocanthal —reduces→ sensation-bitter機構・受容体(1)
範囲: hTRPA1 発現 HEK 293 細胞(EC50 2.8 uM)およびげっ歯類三叉神経ニューロン。TRPV1, TRPV2, TRPV4, TRPM8 は活性化しない
注記: TRPA1-/- マウスの三叉神経ニューロンはオレオカンタールで興奮しなかった。活性化は求電子性 TRPA1 アゴニストに典型的な共有結合性システイン機構を使わない。
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compound-oleocanthal —selectively_activates→ receptor-trpa1