化合物
プロピルチオウラシル(PROP)
6-n-propylthiouracil
プロピルチオウラシル(PROP)は、精神物理学で PTC/PROP テイスター状態の標準プローブとして用いられるチオ尿素系抗甲状腺薬。TAS2R38 苦味受容体のアゴニスト。
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プロピルチオウラシル製剤 Propycil(50mg錠)の写真。6-n-プロピルチオウラシル(PROP)は精神物理学で味覚テイスター状態の標準プローブとして用いられる。
写っているもの: 該当なし(生物ではなく医薬品)部位・状態: 錠剤(製剤名 Propycil、50mg)
写真: Tomino de WS/ CC BY-SA 4.0/ 原画像/ 台帳の原画像
写真の範囲と来歴
被写体の確認: 原典の記載による同定。製剤名がファイルページで特定されている実在の医薬品写真。
掲載画像: Wikimedia Commons の原寸ファイル。苦味研究所では切り抜き・色調変更なし。 表示用には幅1200px上限のWebPを配信し、台帳の原画像は上のリンクから確認できます。
化合物 / compound-prop
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PROP(6-n-プロピルチオウラシル)は、抗甲状腺薬として使われてきたチオ尿素系の化合物で、味覚の個人差を調べる精神物理学の実験で、PTC(フェニルチオカルバミド)とともに標準的な指標物質として使われてきた。どちらもTAS2R38という苦味受容体を活性化させる化合物だが、両者の反応の仕方は同じではない。TAS2R38の型が分かっている被験者32名を対象にした研究では、味を感じる濃度の下限を比較したところ、PAV型とAVI型のホモ接合体の差はPTCで400倍を超えたのに対し、PROPでは40倍にとどまった。AVI型ホモ接合体のうち2名がPROPに強く反応し、PAV型ホモ接合体の2名がほとんど反応しなかったという観察もあり、PROPの閾値を超えた感じやすさには、TAS2R38の型以外の遺伝的・環境的な要因も関わっているとみられる。
PROPの苦味の感じ方をめぐっては、舌の前部にある茸状乳頭や味蕾の密度と結びつける「スーパーテイスター」という考え方が知られている。この考え方のもとになった1994年の報告は、乳頭の密度がPROPの知覚苦味と有意に相関すると述べていた。しかし394名を対象にした2014年の追試では、乳頭の密度とPROPへの反応の間に関連は見つからなかった(決定係数R-sq = 0.003)。TAS2R38の型ごとに分けて見ても、乳頭密度は予測力を持たなかった。この研究の著者らは、乳頭の密度を味の感じやすさの指標として用いることや、「スーパーテイスター」という語を不用意に使うことに注意を促している。
PROP(3.2 mM)溶液にL-アルギニンを0.8-5.2 mMの段階濃度で添加した実験では、AVI/AVIホモ接合(非感受性型)の被験者に限って苦味強度が有意に増加し、潜時が有意に短縮した(用量依存的)。PROPを全く感じなかった非感受性者8名のうち6名は、最低濃度0.8 mMの添加で初めてPROPの苦味を感じ、全員が最高濃度5.2 mMで苦味を感じるようになった。
舌からの電気味覚図(ETG)記録によるPROP刺激時の脱分極振幅は、知覚された苦味強度と有意に相関した(r=0.741、P<0.00001、n=43)。同振幅は茸状乳頭密度とも相関した(r=0.504、P=0.00057)。脱分極速度の最大値も苦味強度(r=0.511、P=0.00053)・乳頭密度(r=0.518、P=0.00037)と相関した。
この説明の根拠
この本文で確認した範囲: PTCとPROPの閾値分離倍率がハプロタイプ間で異なる結果を確認した
PTC/PROP tasting: anatomy, psychophysics, and sex effects
この本文で確認した範囲: 乳頭密度とPROP苦味の相関を最初に報告した記述を確認した
この本文で確認した範囲: 394名の追試で乳頭密度とPROP反応に関連がなかった結果を確認した
この本文で確認した範囲: アルギニン添加で非感受性者にもPROP苦味検出
この本文で確認した範囲: 電気生理学的振幅と知覚苦味強度の相関係数
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感覚(4)
範囲: TAS2R38 ディプロタイプ既知の被験者32名を両化合物の濃度系列で試験。閾値は心理測定関数上の75%成績と定義
注記: PROP を PTC の代替として使う慣行への機序的な留保。AVI/AVI の2名が PROP に強く応答し PAV/PAV の2名がほとんど応答しなかったことが直接の根拠。
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compound-prop —is_not_perceptually_interchangeable_with→ compound-ptc範囲: 舌表面の乳頭計数を伴うヒト精神物理学。当初はスーパーテイスター概念を支持する有意な相関として報告
注記: スーパーテイスター概念の解剖学的支柱だった相関が、n=394 の直接検証 (Garneau 2014) で再現されなかった (R-sq = 0.003)。ダイプロタイプ内でも非有意。
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compound-prop —has_perceived_bitterness_associated_with→ "舌前部の茸状乳頭と味蕾の密度"範囲: 層: 溶液。健常成人51名(TAS2R38遺伝子型判定・PROPテイスター状態分類済み)にLabeled Magnitude Scale(LMS)で苦味強度・潜時を反復測定。
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compound-prop —has_perceived_bitterness_affected_by→ compound-arginine範囲: 層: 溶液。健常成人43名、PROP(3.2 mM)溶液を舌に適用した際の電気生理学的記録(電気味覚図)と、TAS2R38遺伝子型・PROPテイスター分類・LMS苦味強度評価との線形回帰分析。
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compound-prop —has_perceived_bitterness_associated_with→ "舌からの電気味覚図(ETG)記録によるPROP刺激時の脱分極振幅は、知覚された苦味強度と有意に相関した(r=0.741、P<0.00001、n=43)。同振幅は茸状乳頭密度とも相関した(r=0.504、P=0.00057)。脱分極速度の最大値も苦味強度(r=0.511、P=0.00053)・乳頭密度(r=0.518、P=0.00037)と相関した。"