グループBサポニン

化合物群 / compound-class-soyasaponin-group-b

soyasaponin group B

模式図 — 写真ではなく、根拠をもとに苦味研究所が組んだ説明図

左右二枚の札。左は「味噌 239 点」の札で、出品の内訳、含量の範囲と種類の順、点数との相関と点数の向きの三行。右は「醤油」の札で、醤油に残らず粕へ移ること、麹で分解する酵素の推察、分解率と粕の濃度の三行。下に「鑑評会の点数は統制された官能実験ではない」の帯。

模式図(苦味研究所作成)· CC BY 4.0

グループ B サポニン — 味噌には残り、醤油には残らない

大豆のグループ B サポニン(主成分 Bb)について、第 29 回全国味噌鑑評会の 239 点(甘味噌 7・甘口米味噌 4・辛口米味噌 202・麦味噌 22・豆味噌 4)で Bb が乾物重量あたり 16〜173 mg%(辛口米味噌、平均 57 mg%)で豆味噌 > 辛口米味噌 > 甘口米味噌 > 甘味噌 の順であり、含量が高いほど色(P < 0.05)と香(P < 0.01)の点数が低い傾向(この鑑評会の点数は低いほど良い評価で、原文はそう解釈している)で味とは相関がないこと、醤油では配糖体が検出されず醤油粕へ移り、製麹で分解率 Bb 68.7%・Ab 33.0%、粕の総量は原料大豆の約 2.5 倍であることを並べた図。

根拠: ev-miso-group-b-saponin-content · ev-miso-group-b-saponin-sensory-correlation · ev-shoyu-saponin-absence-degradation

このページの内容(5 節)
  1. 説明
  2. この説明の根拠(1)
  3. 関連をたどる
  4. 組成・含有(2)
  5. 感覚(1)

苦味を読む

グループBサポニンは、大豆(Glycine max)種子中でソヤサポゲノールBを非糖部分(アグリコン)とするサポニン群(Ba・Bb・Bcなど)で、非糖部分の片側だけに糖鎖を持つモノデスモサイド型の構造をとる。工藤ほか(1992)は、全国味噌鑑評会に出品された味噌239点(甘味噌・甘口米味噌・辛口米味噌・麦味噌・豆味噌)から配糖体成分を抽出し、薄層クロマトグラフィー(TLC)と高速液体クロマトグラフィー(HPLC)で組成と含量を調べた。

主サポニン成分Bbの含量は豆味噌が最も高く、辛口米味噌・甘口米味噌・甘味噌の順に低くなったが、原料大豆の配合比率に単純比例する関係ではなかった。辛口米味噌でのBb含量は乾物重量あたり16〜173mg%(平均57mg%)の範囲だった。なお分析した239点すべてでグループAサポニンは検出されず、部分的な脱アセチル化や糖鎖の分解が起きている可能性が指摘されている。

辛口米味噌202点について官能評価スコアとBb含量の相関を調べたところ、Bb含量と色(P<0.05)および香り(P<0.01)には有意な相関があり、Bb含量が高いほど評価が低い傾向がみられた。一方、Bb含量と味の評価スコアとの間には有意な相関はなかった。また脱皮した大豆を使った味噌は、丸大豆を使った味噌に比べてBb含量が有意に低く(P<0.05)、色・味・香り・組成・総合評価のスコアも有意に優れていた(P<0.01)。

工藤ほか(1992)は、原料大豆・出麹(麹をつけた状態の大豆)・醤油・醤油粕をそれぞれTLCで比較し、醤油そのものにはグループBサポニンなどの配糖体成分が検出されず、大部分が醤油粕へ移行することを示した。出麹と醤油粕にのみソヤサポゲノールB(アグリコン)に相当するバンドが検出されたことから、製麹の過程でグループBサポニンをアグリコンへ分解する酵素が働いていると推察されている。原料配合比と粕の生成量から算定した分解率はBbが68.7%、Abが33.0%で、醤油粕中のグループBサポニン総量は原料大豆のおよそ2.5倍の濃度だった。

この説明の根拠

  1. 大豆不快味成分と発酵食品―大豆サポニン・イソフラボン成分を中心に―

    工藤重光; 打田悌治; 大久保一良 / 1992 / レビュー論文 / 全文確認

    この本文で確認した範囲: 239点の味噌からの配糖体抽出とTLC・HPLC分析の方法を確認した/味噌種別間のBb含量順序と含量範囲16〜173mg%を確認した/Bb含量と色・香りの有意相関、味との無相関、脱皮大豆の効果を確認した/醤油粕への移行と分解率68.7%・33.0%の算定値を確認した

関連をたどる

グループBサポニン →における含有量が測定されて…→ 味噌

グループBサポニン →に含まれない→ 醤油

構造化された主張 — 節を開くと、主張ごとの確度・根拠・限界が読めます

組成・含有(2)

グループBサポニン味噌における含有量が測定されている支持あり

範囲: 全国味噌鑑評会出品味噌239点(豆味噌・米味噌・麦味噌・特殊味噌、乾物重量あたり)

注記: 工藤ほか(1992)は全国味噌鑑評会出品味噌239点の配糖体成分をTLC・HPLCで分析した。主サポニン成分Bb含量は豆味噌>辛口米味噌>甘口米味噌>甘味噌の順に高く、原料大豆の配合比率が高いほど高い傾向があった(ただし比例関係ではない)。一方、グループAサポニンは分析した239点すべての味噌で検出されず、部分脱アセチル化あるいは糖鎖の部分分解が推察されている。

第29回全国味噌鑑評会(昭和61年度)に出品された甘味噌7点・甘口米味噌4点・辛口米味噌202点・麦味噌22点・豆味噌4点、計239点から配糖体成分を抽出しTLC・HPLCで組成と含量を調べた。グループAサポニン成分は検出されなかった。主サポニンBbの含量は乾物重量あたり16〜173mg%(辛口米味噌、平均57mg%)で、豆味噌>辛口米味噌>甘口米味噌>甘味噌の順に高かった。
限界: Bb含量は原料大豆使用量と必ずしも比例せず、原料大豆の処理方法・製麹方法・発酵熟成方法など複数要因の影響が示唆されている。
出典: 大豆不快味成分と発酵食品―大豆サポニン・イソフラボン成分を中心に―(工藤重光; 打田悌治; 大久保一良, 1992)・全文確認
データを表示compound-class-soyasaponin-group-b —has_measured_content_in→ ingredient-miso
claim: clm-miso-group-b-saponin-content / type: composition / 更新: 2026-09-01
グループBサポニン醤油に含まれない支持あり

範囲: 市販醤油の配糖体画分(TLC分析)

注記: 工藤ほか(1992)は原料大豆・出麹・醤油・醤油粕からそれぞれ配糖体画分を調製してTLCで比較し、醤油そのものには配糖体成分(サポニン・イソフラボン)が検出されず、その大部分が醤油粕へ移行することを示した。出麹と醤油粕にのみソヤサポゲノールBに相当するバンドが検出されたことから、製麹過程で大豆サポニンBグループをアグリコンへ分解する酵素が生産されていると推察されている。醤油粕のグループBサポニン総量は原料大豆の約2.5倍の濃度で、醸造過程での分解率はBbが68.7%、Abが33.0%と算定された。

原料大豆・出麹・醤油・醤油粕からそれぞれ粗配糖体画分を調製しTLCで調べた結果、醤油中に配糖体成分は検出されず、全て醤油粕に移行することがわかった。出麹と醤油粕にのみソヤサポゲノールBに相当するバンドが検出され、製麹過程で大豆サポニンBグループをそのアグリコンに分解する酵素が生産されていると推察された。原料配合比と粕生成量から算定した大豆サポニンの分解率は、Bbが68.7%、Abで33.0%であった。醤油粕のグループBサポニン総量は原料大豆の約2.5倍の濃度であった。
限界: 大豆1,000kgから醤油粕275kg生成するという換算値に基づく計算値であり、個別銘柄でのばらつきは検討されていない。
出典: 大豆不快味成分と発酵食品―大豆サポニン・イソフラボン成分を中心に―(工藤重光; 打田悌治; 大久保一良, 1992)・全文確認
データを表示compound-class-soyasaponin-group-b —is_excluded_from→ ingredient-shoyu
claim: clm-shoyu-saponin-absence-and-degradation / type: composition / 更新: 2026-09-01

感覚(1)

グループBサポニン市販鑑評会出品の辛口米味噌の色・香の官能評価スコア(Bb含量が高いほど色・香の評価が低い傾向、色P<0.05・香P<0.01)。味の評価スコアとは有意な相関なしと相関する支持あり

範囲: 第29回全国味噌鑑評会 辛口米味噌202点

注記: 工藤ほか(1992)は辛口米味噌202点について鑑評会官能評価スコアとサポニンBb含量(HPLC定量)の相関分析を行い、Bb含量と色(P<0.05)・香(P<0.01)には有意な相関があった(Bb含量が高いほど評価が低い傾向)が、味との間に有意な相関はなかったと報告している。脱皮大豆使用味噌は丸大豆使用味噌よりBb含量が有意に低く(P<0.05)、官能評価スコア(色・味・香・組成・総合評価)が有意に優れていた(P<0.01)。

辛口米味噌202点について鑑評会官能検査スコアーとサポニンBb含量(HPLC定量)間の相関分析を行った結果、大豆サポニンBb含量と色(P<0.05)および香(P<0.01)については有意に相関があり、Bb含量が高いほど色および香に対する官能評価の低い傾向がみられた。一方、大豆サポニンBb含量と味との間に有意な相関はなかった。また脱皮大豆使用味噌は丸大豆使用味噌に比べて官能検査スコアー(色,味,香,組成,総合評価)が有意(P<0.01)に低く(原文はこの低スコアを「品質的に優れている」と解釈)、Bb含量は有意(P<0.05)に低かった。
限界: 鑑評会審査スコアは統制された官能実験ではなく品評会の総合評価であり、交絡要因が排除されていない。
出典: 大豆不快味成分と発酵食品―大豆サポニン・イソフラボン成分を中心に―(工藤重光; 打田悌治; 大久保一良, 1992)・全文確認
データを表示compound-class-soyasaponin-group-b —is_correlated_with→ "市販鑑評会出品の辛口米味噌の色・香の官能評価スコア(Bb含量が高いほど色・香の評価が低い傾向、色P<0.05・香P<0.01)。味の評価スコアとは有意な相関なし"
claim: clm-miso-group-b-saponin-sensory-correlation / type: sensory / 更新: 2026-09-01

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