SENSORY CALIBRATION — 参加型

苦味を測る。
あなたの舌に、目盛りをつける。

「苦さ7点」——その7点は、ものさしなしでは誰にも伝わりません。世界の審査機関が使う基準の苦さを台所で再現し、 それと比べて記録する。この研究所の測り方を、そのまま持ち帰れるようにしました。

必要なもの: 台所・食品グレードの素材・15分

HOW IT WORKS

3ステップで、感覚がデータになる

STEP 01

基準液をつくる

公開レシピどおりに、食品グレードの素材で「基準の苦さ」を一杯つくる。台所で15分。

STEP 02

舐めて、自分を知る

基準液がどれくらい苦く感じるかを記録。感じ方は人によって100倍以上違う——まず自分の位置を知る。

STEP 03

くらべて、記録する

気になる食べものを基準と並べて評価。テンプレートに書けば、その記録は初めて他人と比べられる。

なぜ測るのか

合奏の前に、楽器はチューニングします。基準の音に対して自分の楽器を合わせて初めて、他の楽器と音を重ねられます。 舌の感じ方も同じです。「今日は苦く感じた」という感想は、比べる基準がなければ、明日の自分とも他人とも比較できません。

当ラボはこれまで、苦味は単一の味ではないという理由から、 食材に固定的な苦味スコアを付けてきませんでした。この企画はその立場を変えるものではありません。やるのは逆で、 「あなたの感じ方」を、実在する基準刺激という共通の物差しに対して記録することです。 基準がある記録だけが、後から意味を持ちます。

基準液の作り方

先に正直に書きます。当ラボは試薬の入手方法を案内しません。使うのは、食品として流通しているものだけです。

苦味の基準としてもっとも手に入りやすいのは、トニックウォーターです。トニック飲料には香料としてキニーネが 使われており(食品添加物としての規制濃度で、銘柄ごとに含有量は異なります)、研究用の基準溶液がねらう 濃度そのものではありませんが、「キニーネ由来の苦味」という同じ系統の刺激に、家庭で手が届く近似として使えます。 基準値そのものは次の通りです。

キニーネ苦味の官能基準刺激として用いられる文脈資料

範囲: 同文書パートI 表1。官能パネル候補者の刺激検出訓練に用いる基準溶液の目安濃度表。

注記: 同表のISO 3972代替表では、苦味の識別基準としてカフェイン0.195 mg/L(新人被験者の50%が検知・識別した濃度)が別掲される。

苦味の基準溶液として硫酸キニーネ6 mg/Lを掲げ、ISO 3972代替表ではカフェイン0.195 mg/Lを識別基準として別掲する。
限界: 個別ワインの苦味強度を示す値ではなく、あくまで訓練用の刺激濃度の目安。
出典: Document sur l'analyse sensorielle du vin(OIV Sous-commission Méthodes d'analyses, 2016)・全文確認
データを表示compound-quinine —is_used_as_sensory_reference_for→ sensation-bitter
claim: clm-oiv-quinine-sulfate-bitter-reference / type: regulatory / 更新: 2026-09-01
キニーネのヒト味覚閾値: 平均検知閾値7.2×10⁻⁶M(硫酸キニーネ、0.0006%相当)支持あり

範囲: 国税庁醸造試験所の第78回酒類醸造講習生28名(19-40歳,平均25.61歳,内女子1名)を対象に,Pfaffmannの1点識別法により測定。4味物質(グルコース,リンゴ酸,食塩,硫酸キニーネ)のうち最も個人差が大きかったのは硫酸キニーネで,変動率(σ/x̄×100)は136%に達した。硫酸キニーネに鋭敏な被験者はリンゴ酸・食塩にも鋭敏な傾向が認められた。

注記: 大場ほか(1984)。清酒そのものではなく、酒類鑑定パネル(清酒を含む)の識別能力訓練・標準化のための基礎データである点に留意。

4物質の平均刺激閾値は,グルコース4.69×10⁻²M,リンゴ酸1.9×10⁻⁴M,食塩1.26×10⁻²M,硫酸キニーネ7.2×10⁻⁶Mであった。4味に対する感覚の鋭敏さに個人差があり,硫酸キニーネに鋭敏な人は,リンゴ酸及び食塩についても鋭敏である傾向が認められた。
限界: 清酒そのものの官能評価ではなく、酒類鑑定パネル訓練のための基礎的な閾値測定である。
データを表示compound-quinine —has_human_taste_thresholds_of→ "平均検知閾値7.2×10⁻⁶M(硫酸キニーネ、0.0006%相当)"
claim: clm-quinine-threshold-panelist-training / type: sensory / 更新: 2026-09-01

渋味の基準であるタンニン酸は、食品グレードで濃度が分かる形での家庭内入手が苦味側より難しく、現時点で当ラボが 自信を持って案内できる家庭内の近似方法がありません。渋味の較正は、基準液なしの記録(下の「ひとりの印象」ラベル)から 始めることをおすすめします。

タンニン類渋味の官能基準刺激として用いられる文脈資料

範囲: 同文書パートI 表1。苦味の基準(硫酸キニーネ)と同じ表内で、渋味の基準として別項目に置かれる。

注記: 同じ訓練表の中で、苦味の基準物質(硫酸キニーネ)と渋味の基準物質(タンニン酸)が別々の行として明確に分けられていることの記録。

渋味の基準溶液としてタンニン酸1 g/Lを掲げ、苦味の基準(硫酸キニーネ)とは別の行に置く。
限界: 個別ワインの渋味強度を示す値ではなく、あくまで訓練用の刺激濃度の目安。
出典: Document sur l'analyse sensorielle du vin(OIV Sous-commission Méthodes d'analyses, 2016)・全文確認
データを表示compound-tannins —is_used_as_sensory_reference_for→ sensation-astringent
claim: clm-oiv-tannic-acid-astringency-reference / type: regulatory / 更新: 2026-09-01

WHY IT MATTERS

同じ一杯でも、感じ方は100倍違う

酒類醸造講習生28名を対象にした識別法測定では、基本4味のうちキニーネの苦味への感度が個人差でもっとも大きく、変動率は136%に達したと報告されています(上のカード参照)。これは「舌が良い・悪い」という優劣の話ではありません。 あなたの一票は、この分布のどこかに新しい点を打ちます。

※ 分布は模式図です。実測データが集まりしだい、実際の分布に置き換わります。

RECORD

記録は、正直さのラベルつき

家庭の記録は、研究論文のデータとは別の棚に置きます。基準液と比べたか・ひとりの印象か——確度のラベルを 一緒に書くのが当研究所の流儀。テンプレートは当ラボの内部データベースと同じ列構成で、そのまま提出できる形式です。

基準と比べたanchored — いちばん強い記録
家族と一致2人が独立に評価して一致
ひとりの印象unanchored — 参考記録

投稿を想定する場合、evaluator_typecommunity_reportconfidence_tagcommunity_unreviewed にしてください。 目視確認を経た記録だけが community_reviewed に上がります(ご自身では付けない値です)。 基準液と並べた行は基準刺激の3列(ID・濃度・出典)を埋め、基準なしの行は空欄のままに。 詳しくはREADMEの読み方へ。

参加のまえに

これは、参加者ご自身が自分の感覚を記録する自由な自己観察です。当研究所が参加者に試験を行うものではありません。 口にするものは食品として流通しているものだけを。体質・体調に不安がある場合は行わず、未成年の方は保護者とご一緒に。 記録は感覚の記録であり、健康に関する効果や診断を意味しません。

SUBMISSION — 窓口オープン

あなたの一点が、みんなの地図になる

投稿はこのページの記録カードから。集まった記録は審査のうえ匿名で公開し、上の分布図が実測に置き換わっていきます。

関連: 研究ノート002: 「苦い」は、ひとつの味ではない用語: 専門パネル(訓練パネル)研究プロトコル(要旨)キニーネタンニン