味噌

食材 / ingredient-miso

miso

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椀に盛られた茶色い味噌ペースト、クローズアップ

味噌(原料配合や熟成期間により甘味噌・辛口味噌・豆味噌などに区分される日本の発酵調味料)のペーストを椀に盛ったクローズアップ写真。特定の銘柄・産地を代表する写真ではない。

写っているもの: 該当分類群なし(味噌ペースト)部位・状態: 味噌ペースト、椀に盛った状態のクローズアップ

写真: publicdomainq.netCC0 1.0原画像台帳の原画像

写真の範囲と来歴

被写体の確認: 原典の記載による同定。原典(publicdomainq.net経由のCC0提供元)には品種名・産地の記載なし。「味噌」という広い名称全体の標準形として扱わない。

掲載画像: Wikimedia Commons の原寸ファイルを取得後、苦味研究所にて sips で長辺2400px程度に縮小。切り抜き・色調変更なし。 表示用には幅1200px上限のWebPを配信し、台帳の原画像は上のリンクから確認できます。

このページの内容(7 節)
  1. 説明
  2. この説明の根拠(2)
  3. 関連をたどる
  4. 仮説採集箱(1)
  5. 組成・含有(2)
  6. 感覚(2)
  7. 加工・調理でどう変わる(1)

苦味を読む

味噌は、大豆を麹菌(Aspergillus oryzae)で発酵させてつくる日本の伝統的な発酵調味料で、大豆のみを原料とする豆味噌、大豆に米麹・麦麹を加える米味噌・麦味噌などに分かれる。愛知県岡崎地方の豆味噌である八丁味噌を扱った1966年の研究は、エーテルおよびブタノールで抽出した画分に強い苦味(収斂味を伴う)があることを二点嗜好試験で確認した。ただし著者自身は「八丁味噌の苦味は従来からペプチド,アミンのような窒素化合物によるといわれているが,まだ確証はない」と明記しており、苦味物質そのものの化学的な単離同定はこの時点ではされていない。

同じ研究の結論部では、成分分析の結果から「八丁味噌の苦味はその成分上の特長から考えれば,大豆成分の分解により生成されるものであり,大豆蛋白に由来すると考えられるであろう」とまとめている。窒素を分画した分析では、全窒素のうち41.2%がアミノ酸区に、10.4%がプロテオース・ペプトン区(タンパク質が分解される途中の比較的大きな断片の区分)に含まれていた。ただしこれは単離同定を伴わない推論であり、著者は「他の味噌に比べ脂質が多いので,あるいはこのものの微量成分が影響しているかも知れない」とも述べ、脂質由来の可能性も併記している。

一般に味噌は可溶性窒素と全窒素の比が65%以上になると苦味を生ずるといわれている、と1966年の研究は先行研究(1957年)を引用して紹介している。ところが同じ研究で実測した八丁味噌のこの比はおよそ55%にとどまり、65%という目安を満たさないにもかかわらず、すでに苦味があると著者は記している。65%という一般則と、それに満たない八丁味噌の苦味という実測値の食い違いは、可溶性窒素の量だけでは苦味の有無を説明しきれないことを示す一例である。

苦味の原因はタンパク質分解物だけではない。1992年の研究は、全国味噌鑑評会に出品された豆味噌・米味噌・麦味噌など239点の味噌からサポニン(大豆に含まれる配糖体)を抽出し分析した。主要なサポニン成分Bbの含量は乾物重量あたり16-173mg%(辛口米味噌の平均は57mg%)で、豆味噌が最も高く、辛口米味噌、甘口米味噌、甘味噌の順に低くなった。ただし原料大豆の使用量と含量は必ずしも比例せず、大豆の処理方法や製麹・発酵熟成の方法など複数の要因が影響していると考えられている。

この説明の根拠

  1. 大豆不快味成分と発酵食品―大豆サポニン・イソフラボン成分を中心に―

    工藤重光; 打田悌治; 大久保一良 / 1992 / レビュー論文 / 全文確認

    この本文で確認した範囲: 味噌が麹菌による大豆発酵食品である定義を確認した/239点の味噌でのサポニンBb含量と種類別傾向を確認した

  2. 八丁味噌の苦味について

    石井謙二 / 1966 / レビュー論文 / 全文確認

    この本文で確認した範囲: エーテル・ブタノール抽出画分の苦味と確証なしの留保を確認した/大豆蛋白由来との結論と窒素区分の実測値を確認した/可溶性窒素比65%以上で苦味を生ずるとの一般則を確認した/八丁味噌の実測55%比が一般則に反する例外を確認した

関連をたどる

味噌 →苦味の帰属先→ 苦味ペプチド

味噌 →苦味の一部の由来→ 大豆

グループBサポニン →における含有量が測定されて…→ 味噌

仮説採集箱(1)

味噌の苦味を担うペプチドの構造は同定されているのか編集仮説

古い研究では八丁味噌の苦味が窒素化合物によるとされながらも化学的な確証はないと述べられていた。その後の研究で、味噌の苦味を担うペプチドの構造は同定されているのか?

由来: 編集部が立てた問い

注記: 石井による八丁味噌の苦味に関する古い解説記事を読了した収集担当が、同記事が明記した『まだ確証はない』という未解決点を後年の研究が埋めているかを確認するために追加した仮説採集箱の項目。今回の調査収集資料の範囲では、味噌の苦味物質を単離・構造決定した後続研究には行き当たらなかった。

仮説は事実主張ではありません。面白さを探索の入口として保存し、これから資料・聞き書き・観察で確かめます。

仮説採集箱をすべて見る →

構造化された主張 — 節を開くと、主張ごとの確度・根拠・限界が読めます

組成・含有(2)

味噌の苦味の帰属先: 苦味ペプチド予備的

範囲: 八丁味噌(大豆単用の豆味噌)

注記: 石井(1966)は八丁味噌のエーテル・ブタノール抽出物が強い苦味(収斂味を伴う)を呈することを溶媒分画と官能試験で確認し、「八丁味噌の苦味は従来からペプチド,アミンのような窒素化合物によるといわれているが,まだ確証はない」と明記している。苦味物質そのものの化学的な単離同定はこの論文の時点では完了していない。

逐語: 「八丁味噌の苦味は従来からペプチド,アミンのような窒素化合物によるといわれているが,まだ確証はない」。エーテルおよびブタノールで八丁味噌を重複抽出した残渣・抽出物について、9名ずつ2組の学生による二点嗜好試験で苦味の強さを比較し、有意差(先に抽出した試料Aの方が苦い)を確認した。
限界: 苦味物質そのものの化学的同定はされておらず、著者自身が抽出溶媒との接触による二次的な苦味増強の可能性を指摘している。油と共存する場合は苦味が検出しにくいというMackeyの報告も引用され、脂質の影響を考慮すべきと述べられている。
出典: 八丁味噌の苦味について(石井謙二, 1966)・全文確認
データを表示ingredient-miso —has_bitterness_attributed_to→ compound-class-bitter-peptides
claim: clm-hatcho-miso-ether-extract-bitter / type: composition / 更新: 2026-09-01
グループBサポニン味噌における含有量が測定されている支持あり

範囲: 全国味噌鑑評会出品味噌239点(豆味噌・米味噌・麦味噌・特殊味噌、乾物重量あたり)

注記: 工藤ほか(1992)は全国味噌鑑評会出品味噌239点の配糖体成分をTLC・HPLCで分析した。主サポニン成分Bb含量は豆味噌>辛口米味噌>甘口米味噌>甘味噌の順に高く、原料大豆の配合比率が高いほど高い傾向があった(ただし比例関係ではない)。一方、グループAサポニンは分析した239点すべての味噌で検出されず、部分脱アセチル化あるいは糖鎖の部分分解が推察されている。

第29回全国味噌鑑評会(昭和61年度)に出品された甘味噌7点・甘口米味噌4点・辛口米味噌202点・麦味噌22点・豆味噌4点、計239点から配糖体成分を抽出しTLC・HPLCで組成と含量を調べた。グループAサポニン成分は検出されなかった。主サポニンBbの含量は乾物重量あたり16〜173mg%(辛口米味噌、平均57mg%)で、豆味噌>辛口米味噌>甘口米味噌>甘味噌の順に高かった。
限界: Bb含量は原料大豆使用量と必ずしも比例せず、原料大豆の処理方法・製麹方法・発酵熟成方法など複数要因の影響が示唆されている。
出典: 大豆不快味成分と発酵食品―大豆サポニン・イソフラボン成分を中心に―(工藤重光; 打田悌治; 大久保一良, 1992)・全文確認
データを表示compound-class-soyasaponin-group-b —has_measured_content_in→ ingredient-miso
claim: clm-miso-group-b-saponin-content / type: composition / 更新: 2026-09-01

感覚(2)

味噌の苦味の一部の由来: 大豆予備的

範囲: 八丁味噌(大豆単用の豆味噌)の熟成過程

注記: 石井(1966)の結論部: 「八丁味噌の苦味はその成分上の特長から考えれば,大豆成分の分解により生成されるものであり,大豆蛋白に由来すると考えられるであろう」。著者自身が一般成分・アミノ酸組成分析から導いた推論的まとめであり、苦味物質の単離同定を伴わない。著者は他の味噌に比べ脂質が多いことから脂質微量成分の関与の可能性も併記している。

逐語(むすび): 「八丁味噌の苦味はその成分上の特長から考えれば,大豆成分の分解により生成されるものであり,大豆蛋白に由来すると考えられるであろう。また他の味噌に比べ脂質が多いので,あるいはこのものの微量成分が影響しているかも知れない」。全窒素の41.2%がアミノ酸区、10.4%がプロテオース・ペプトン区に含まれるという窒素区分分析(第2表)に基づく。
限界: 単離同定を伴わない推論的な結論であり、脂質微量成分の関与という代替説明も著者自身が併記している。
出典: 八丁味噌の苦味について(石井謙二, 1966)・全文確認
データを表示ingredient-miso —derives_bitterness_in_part_from→ organism-glycine-max
claim: clm-hatcho-miso-bitterness-from-soy-protein-breakdown / type: sensory / 更新: 2026-09-01
味噌の知覚苦味と関連する要因: 可溶性窒素/全窒素比が65%以上になること(味噌一般の傾向とされる報告)予備的

範囲: 味噌一般(原典は吉川1957の孫引き)。比較対象は八丁味噌の実測値

注記: 石井(1966)は「一般に味噌は可溶性窒素/全窒素の比が65%以上になると苦味を生ずるといわれている(吉川,醗工55,501(1957))」と紹介する一方、「八丁味噌ではこの比は大体55%であるがすでに苦味がある」と、一般則と実測値の不一致を同じ資料内で指摘している。吉川(1957)は孫引きで原典未確認。

逐語: 「一般に味噌は可溶性窒素/全窒素の比が65%以上になると苦味を生ずるといわれている(吉川,醗工55,501(1957))が八丁味噌ではこの比は大体55%であるがすでに苦味がある」。
限界: 吉川(1957)醗工55,501は原典未確認の孫引き。65%という閾値の測定条件・対象味噌の種類は本論文からは追跡できない。
出典: 八丁味噌の苦味について(石井謙二, 1966)・全文確認
限定: 八丁味噌の可溶性窒素/全窒素比は実測で大体55%であり、一般則とされる65%以上という基準を満たさないにもかかわらず、著者はすでに苦味があると明記している。
出典: 八丁味噌の苦味について(石井謙二, 1966)・全文確認
データを表示ingredient-miso —has_perceived_bitterness_associated_with→ "可溶性窒素/全窒素比が65%以上になること(味噌一般の傾向とされる報告)"
claim: clm-miso-soluble-nitrogen-ratio-bitterness / type: sensory / 更新: 2026-09-01

加工・調理でどう変わる(1)

味噌大豆から作られる支持あり

注記: 工藤ほか(1992): 「味噌と醤油はAsp. oryzae(麹菌)による大豆の代表的醗酵食品である」。

逐語: 「味噌と醤油はAsp. oryzae(麹菌)による大豆の代表的醗酵食品である」。
出典: 大豆不快味成分と発酵食品―大豆サポニン・イソフラボン成分を中心に―(工藤重光; 打田悌治; 大久保一良, 1992)・全文確認
データを表示ingredient-miso —is_prepared_from→ organism-glycine-max
claim: clm-miso-prepared-from-soybean / type: culinary / 更新: 2026-09-01

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