「えぐい」と呼ばれる経験は、苦味、乾き、ざらつき、刺激、喉に残るいがらっぽさが食材ごとに異なる割合で束ねられたものなのだろうか?
由来: 編集部が立てた問い
注記: 炊いたご飯のための操作的定義とホウレンソウの分画研究を並べて生まれた編集仮説。単一機構としては扱わない。
仮説は事実主張ではありません。面白さを探索の入口として保存し、これから資料・聞き書き・観察で確かめます。
概念 / concept-egumi
egumi (Japanese food descriptor)
模式図 — 写真ではなく、根拠をもとに苦味研究所が組んだ説明図

模式図(苦味研究所作成)· CC BY 4.0
苦味・渋味・えぐみ——三つを分けて書く
日本語で混ざりやすい苦味・渋味・えぐみを、炊いたご飯の評価語辞書、しょうゆの官能評価研究、ホウレンソウの成分分離研究がそれぞれどう操作的に定義・分離しているかで三枚の札に並べた図。強さの比較や優劣は表していない。
根拠: ev-egumi-rice-definition · ev-egumi-spinach-separate-bitter · ev-egumi-soy-sauce-definition-fulltext
苦味を読む
「えぐみ」は、苦味の別名として片づけるには広く、基本味の一つとして固定するには揺れの大きい日本語である。農研機構を中心とする研究班は、「米飯の官能評価用語体系」を作った。「官能評価」は、人が目・鼻・口などの感覚で、ご飯の見た目、香り、味、食感を調べること。「用語体系」は、その特徴を同じ言葉で記録し比べるための「評価語の辞書」である。ここで米飯とは、炊いた米、つまりご飯を指す。その辞書では、「苦味がある」は舌で感じる基本味、「えぐみがある」は舌や喉にアクがまとわりつくようないがらっぽさとして、二つの項目に分けられた。少なくともこのご飯の評価では、えぐみは苦さの強弱だけを言い換えた語ではない。
ホウレンソウでは、さらに中身へ踏み込んだ実験がある。研究者はシュウ酸溶液を味わった後に残る不快な感覚を「シュウ酸味」と定め、葉の水抽出物を二つの画分に分けた。するとシュウ酸とシュウ酸味は水側へ、苦味はエタノール側へ回収された。この試料の苦味物質はシュウ酸ではなく、えぐみとして語られてきた残留感と苦味を分けて考えられる。ただし、この一例から、すべてのえぐみをシュウ酸で説明することはできない。
だから苦味研究所では、えぐみを一個の受容体に結びつける感覚軸ではなく、詳しく聞き直すための入口にする。舌の上で味として立つのか。頬や歯ぐきが乾くのか。喉の奥がいがらっぽいのか。飲み込んだ後まで刺激が残るのか。同じ「えぐい」でも、食材、部位、下処理、感じた場所と時間が変われば、指している現象は違うかもしれない。この未確定さは欠陥ではなく、料理の言葉から次の実験を設計できる余白である。
この本文で確認した範囲: 炊いたご飯の用語体系が苦味とえぐみを別項目で定義したこと/えぐみを食材文脈と口腔内の位置・時間を伴う語として扱う根拠
この本文で確認した範囲: ホウレンソウ分画でシュウ酸味と苦味が別画分へ回収されたこと/一つの食品内でも苦味から分けて検討できた実例
定量的記述分析法による市販の生しょうゆと火入れしょうゆの評価および日本のしょうゆの特徴の体系化
この本文で確認した範囲: しょうゆでは渋味とえぐ味が複合属性として使われた別の用例
別名: えぐ味(ja)
「えぐい」と呼ばれる経験は、苦味、乾き、ざらつき、刺激、喉に残るいがらっぽさが食材ごとに異なる割合で束ねられたものなのだろうか?
由来: 編集部が立てた問い
注記: 炊いたご飯のための操作的定義とホウレンソウの分画研究を並べて生まれた編集仮説。単一機構としては扱わない。
仮説は事実主張ではありません。面白さを探索の入口として保存し、これから資料・聞き書き・観察で確かめます。
日本語の「香ばしい」は、えぐみと同様に食品横断で使われる官能語だが、食品ごとにどの香り・味・食感と結びつけて使われているのだろうか?
由来: 編集部が立てた問い
注記: 編集部対話。えぐみ項目の方法の再適用候補。ノード新設は出典確認後。
仮説は事実主張ではありません。面白さを探索の入口として保存し、これから資料・聞き書き・観察で確かめます。
日本のおこげ、韓国のヌルンジ、スペインのソカラット、イランのタディグのように、鍋底の焦げた飯をむしろご馳走として珍重する文化が各地に語られる。これらの焦げの風味はどう記述されており、香ばしさと苦味の境界はどこに引かれているのだろうか? 横断的に比較した資料は存在するのだろうか?
由来: 編集部が立てた問い
注記: 編集部の構造仮説(H)。「焦げを珍重する文化圏」という横断類型の探索。
仮説は事実主張ではありません。面白さを探索の入口として保存し、これから資料・聞き書き・観察で確かめます。
構造化された主張 — 節を開くと、主張ごとの確度・根拠・限界が読めます
範囲: 人が目・鼻・口などの感覚で炊いたご飯を調べ、特徴を同じ言葉で記録するために作られた評価語の辞書
注記: 論文では「米飯の官能評価用語体系」と呼ぶ。炊いたご飯という製品領域で使うための定義であり、えぐみ一般の唯一の定義や単一受容機構を示すものではない。
concept-egumi —is_defined_in_context_as→ "舌や喉にアクがまとわりつくような、いがらっぽい感じ"範囲: ホウレンソウから水で取り出した成分を吸着材に通し、性質の違う二群へ分けた一研究
注記: 研究内で意味を決めた「シュウ酸味」は水で流れ出た側、苦味はその後エタノールで取り出した側に集まった。すべての食品のえぐみがシュウ酸由来という主張ではない。
concept-egumi —can_be_measured_separately_from→ sensation-bitter範囲: 訓練を受けた評価者が決められた言葉ごとに強さを採点し、市販しょうゆ12銘柄を比べた研究
注記: 確認できた抄録では渋味とえぐ味を別々の点数へ分けられない。炊いたご飯やホウレンソウで使われた定義とも同一視しない。
concept-egumi —is_presented_as→ "渋味とえぐ味をまとめた一つの評価項目"範囲: デジタル大辞泉「蘞い(えぐい)」語義1(コトバンク掲載)
注記: 見出し漢字表記は「蘞い/醶い」。
concept-egumi —is_defined_in_dictionary_as→ "『あくが強くて、いがらっぽい感じがする。えがらっぽい。』用例「山菜を食べたあと、のどが―・い」"範囲: デジタル大辞泉「蘞い(えぐい)」語義2(コトバンク掲載)
注記: 俗用としての比喩義。
concept-egumi —is_defined_in_dictionary_as→ "『俗に、むごたらしいさま。また、どぎついさま。』用例「―・い描写」"範囲: デジタル大辞泉「蘞い(えぐい)」語義3(コトバンク掲載)
注記: 鈴木三重吉「小鳥の巣」からの引用。
concept-egumi —is_defined_in_dictionary_as→ "『我が強くて思いやりのないさま。きつい。』引用「では何か…、―・い事でもお言いなしたのですかい?」〈三重吉・小鳥の巣〉"範囲: デジタル大辞泉「蘞い(えごい)」項(コトバンク掲載)
注記: 「えぐい」と同義の異形「えごい」が同じ辞典項目内に併記されている。
concept-egumi —is_documented_in→ "『えご・い〔ゑごい〕【×蘞い/×醶い】[形][文]ゑご・し[ク]「えぐい」に同じ。』引用「苦く、―・く、すっぱく…稀有な声だぞ」"