食材
あんきも
あん肝(あんきも・鮟肝) / Lophius litulon
あんきもは、アンコウ(キアンコウ Lophius litulon 等)の肝臓を塩ゆで・蒸すなどして調理したもの。冬に肝が肥大した個体が珍重される。参照した辞典・郷土料理資料は「珍重」等の記述にとどまり、苦味を明示する記述は確認できなかった。
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輪切りにされたあん肝が出汁の中に盛られ、小口ねぎと薬味が添えられている
加工後写っているもの: アンコウ(原典表記 Ankimo or monkfish liver)部位・状態: 塩ゆで・成形されたあん肝を輪切りにした状態。3切れが小鉢に盛られ、出汁に浸り小口ねぎと薬味が乗る
写真: Anyarei/ CC BY 3.0/ 原画像/ 台帳の原画像
写真の範囲と来歴
被写体の確認: 原典の記載による同定。説明文に明示的に「Ankimo or monkfish liver」と記載。原寸2592x1944 画像を開いて確認。輪切りのあん肝3切れが出汁の入った角皿に盛られている
掲載画像: Wikimedia Commons の原本を長辺2400pxへ縮小。切り抜き・色調変更なし。 表示用には幅1200px上限のWebPを配信し、台帳の原画像は上のリンクから確認できます。
食材 / ingredient-ankimo
このページの内容(8 節)
苦味を読む
あん肝(あんきも・鮟肝)は、アンコウ(キアンコウ等)の肝臓を塩ゆでや蒸すなどして調理したもので、冬に肝が肥大した個体が珍重される。デジタル大辞泉は「アンコウの肝臓。塩ゆでして水にさらし、薄切りにして、わさび醤油で食べたり、味噌あえにしたりする」と記し、精選版日本国語大辞典は「鮟鱇の肝臓。酒の肴などに珍重される」とする。『世界の料理がわかる辞典』も「酒の肴として好まれる」と記すが、今回参照した3辞典のいずれも苦味・ほろ苦さを明示する語釈は含んでいない。
郷土料理としては、茨城県の「あんこうの共酢」が知られる。肝を炒って脂を出しすりつぶし、味噌・砂糖・酢を合わせたタレでゆでたアンコウの身などを食べる料理で、江戸時代には水戸藩からの献上品とされ、アンコウの肝は「三鳥二魚」という五大珍味の一つに数えられていたという。福島県相馬市には「あんこうのとも和え」があり、あんきもを炒ってほぐし味噌・砂糖で調味し、身や切り干し大根、わかめと和える。かつては田植えを手伝った人へのご馳走とされていたと伝わる。いずれの農林水産省の紹介文にも、苦味への言及はない。
今回参照した国語辞典3点、および農林水産省「うちの郷土料理」の茨城県・福島県のあんこう料理2件は、いずれも「珍重」「酒の肴として好まれる」といった記述にとどまり、苦味やほろ苦さを明示する記述は確認できなかった。資料には苦味やほろ苦さを明示する記述がなく、根拠のない苦味の主張は行わない。より専門的な資料にあたれば異なる記述が見つかる可能性はある。
加熱後の硬さに関わる破断応力を測った例もある。ある研究は、中国産の市販アン肝を-40℃で冷凍後に解凍し、30 g片を95~100℃の蒸留水で7分加熱した。生と加熱後の各5試料を各3回測ると、破断応力は2.39×10^5 Paから3.80×10^5 Paへ1.6倍になった。市販品1条件の結果で、蒸し料理の物性とは分けて読む必要がある。
同じ研究では、7分加熱したアン肝とトラフグ肝を各15 g、20~50歳代の女性教職員8名に提示した。外観、におい、脂っぽさ、味と、外観・香り・味・食感・総合の好みを5段階で比べ、全項目で有意差はなかった。ただし「味」は広い項目で、苦味だけを測った試験ではない。
同じ肝でも、料理によって扱い方が変わる。茨城県の冬魚特集は、肝をから煎りして煮込む漁師飯を「どぶ汁」として紹介する。一方、農林水産省が紹介する共酢は、肝を炒って脂を出し、すりつぶして味噌・砂糖・酢と合わせる。鍋へ煮込むか、すりつぶして酢味噌のタレに仕立てるか、二つの料理で工程が分かれる。
この説明の根拠
鮟肝(アンキモ)とは — デジタル大辞泉・精選版日本国語大辞典・世界の料理がわかる辞典
この本文で確認した範囲: 国語辞典3点の語釈を逐語で使用/辞典の語釈に苦味語が無い点を明記
この本文で確認した範囲: 茨城の共酢の調理法と由来を使用/茨城資料に苦味語が無い点を明記/既存の共酢における肝と味噌・砂糖・酢の工程との違いを記述するため使用
この本文で確認した範囲: 福島のとも和えの調理法と由来を使用/福島資料に苦味語が無い点を明記
この本文で確認した範囲: 中国産市販試料、冷凍・解凍、加熱条件、試料数、破断応力と適用限界に使用/提示量、パネル条件、評価項目、試料間の有意差なしと苦味未分離の限定に使用
この本文で確認した範囲: 茨城県のどぶ汁における肝のから煎り・煮込み工程に使用
別名: 鮟肝(ja)
構造化された主張 — 節を開くと、主張ごとの確度・根拠・限界が読めます
感覚(2)
範囲: 今回参照した辞典3点・農水省郷土料理資料2件
注記: 資料が「コク」しか言わない場合は苦味の主張に曲げない、という当研究所の収集規律に基づく、誠実な負の知見の記録。より広い資料(学会誌・専門料理書等)にあたれば異なる記述が見つかる可能性がある。
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ingredient-ankimo —has_insufficient_evidence_for→ "苦味・ほろ苦さを明示する記述。今回参照した国語辞典3点(デジタル大辞泉・精選版日本国語大辞典・世界の料理がわかる辞典)、および農林水産省「うちの郷土料理」の茨城県・福島県のあんこう料理2件は、いずれも「珍重」等の記述にとどまり、苦味を明示していない。"範囲: 峯木ら2009の中国産市販アン肝と陸上養殖トラフグ肝の比較、女性教職員8名
注記: 「味」は広い評価項目で、苦味強度を独立に測っていない。8名の単一機関パネルと1つの市販アン肝試料に限られ、有意差なしは同等性の証明ではない。
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ingredient-ankimo —has_sensory_response→ "7分加熱したアン肝とトラフグ肝を各15 g提示した5段階官能試験では、20~50歳代の女性教職員8名が外観・におい・脂っぽさ・味と、外観・香り・味・食感・総合の嗜好を評価し、両試料間の全項目に有意差はなかった"加工・調理でどう変わる(4)
範囲: 農林水産省「うちの郷土料理」茨城県
注記: このページ本文に苦味・ほろ苦さへの言及は無い。
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ingredient-ankimo —is_prepared_by→ "茨城県の郷土料理「あんこうの共酢」は、アンコウの肝を炒りつけて脂を出し、すり鉢でよくすりつぶしたものに、味噌・砂糖・酢を合わせたタレ(共酢)を作り、ゆでたアンコウの身等につけて食べる。江戸時代には水戸藩からの献上品とされ、アンコウの肝は「三鳥二魚」として五大珍味の一つに数えられていたという。"範囲: 農林水産省「うちの郷土料理」福島県
注記: このページ本文に苦味・ほろ苦さへの言及は無い。田植え振る舞い料理としての由来は伝承として記述されており、一次史料での年代確認はできていない。
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ingredient-ankimo —is_prepared_by→ "福島県相馬市の郷土料理「あんこうのとも和え」は、あんきもをフライパンで炒ってほぐし、味噌・砂糖を加えて練り、ゆでたあんこうの肉・戻した切り干し大根・塩わかめを混ぜ合わせたもの。かつては5月の田植えを手伝ってくれた人へのご馳走として振る舞われていたとされる。"範囲: 峯木ら2009の比較試料アン肝。破断試験は生・加熱各5試料、各3回測定
注記: 主研究対象はトラフグ肝で、アン肝は中国産市販品1条件の比較試料。魚種・商品加工履歴は不明。家庭の蒸し調理や全てのあん肝へ一般化しない。
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ingredient-ankimo —was_observed_with→ "2007年1月に量販店で購入した中国産アン肝を-40℃で冷凍後に解凍し、30 g片を95~100℃の蒸留水で7分加熱した試験では、破断応力が生の2.39×10^5 Paから加熱後3.80×10^5 Paへ1.6倍になった"範囲: 茨城県公式ホームページ「いばらき“冬のお魚”特集2025」の料理紹介
注記: 県広報に記された料理工程。分量・加熱時間・魚種の学名はなく、苦味や物性の測定ではない。
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ingredient-ankimo —is_prepared_by→ "茨城県の冬魚紹介は、あんこうの肝をから煎りして煮込む料理を「どぶ汁」として紹介する"文化(1)
範囲: コトバンク収録の3辞典(デジタル大辞泉・精選版日本国語大辞典・世界の料理がわかる辞典)
注記: 3辞典とも「珍重」等の記述にとどまり、苦味・ほろ苦さを明示する語釈は今回確認した範囲には無かった。
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ingredient-ankimo —is_defined_in_dictionary_as→ "「アンコウの肝臓。塩ゆでして水にさらし、薄切りにして、わさび醤油で食べたり、味噌あえにしたりする」(デジタル大辞泉)。精選版日本国語大辞典は「鮟鱇(あんこう)の肝臓。酒の肴などに珍重される」と定義する。『和・洋・中・エスニック 世界の料理がわかる辞典』は「あんこうの肝臓。またこれを蒸した料理。もみじおろしやあさつきを添え、ポン酢しょうゆをかけることが多い。酒の肴として好まれる」と記す。"