火入れ
加工・条件 / process-tea-hiire
tea finishing fire (hi-ire)
このページの内容(5 節)
苦味を読む
火入れは、荒茶を仕上げ茶にする工程で行う仕上げ加熱であり、火入れ茶特有の香りと滋味を生み出すとともに水分を乾燥させる。高知県農業技術センター茶業試験場の技術情報では、県内産の普通蒸し煎茶荒茶の仕上げ加工は審査→選別→火入れ→合組の順で行われ、外観・内質が優れるA品荒茶にはその特性を生かした火入れ(回転ドラム式火入れ機で90℃30分前後、弱い火香なら100℃20〜30分前後)を、B品・C品には火入れ茶特有の滋味と芳香を強調するため中程度から強い火香を付ける火入れ(100℃30〜40分前後)を用いるとされる。過度な火入れは焦げ臭が生じ、甘い香りをマスクしてしまうという。
同センターがコリンズ焙煎機を改造した小型回転ドラム式火入れ機でA品荒茶を茶温90〜120℃・時間10〜40分の組み合わせで火入れし官能評価した結果では、90℃10分の香気評価(9段階中)は4、火香0、焦げ臭0だったのに対し、120℃40分では香気評価9、火香4、焦げ臭1、香りの甘さ2、味の甘さ3となり、温度・時間を上げるほど火香・焦げ臭とも強まった。C品荒茶でも同様の傾向がみられたが、90℃10分の香気評価は2にとどまり、同条件のA品(4)より低かった。この評価は香りの甘さ・味の甘さ・火香・焦げ臭を軸にしたもので、苦味そのものを尺度に含む記載は今回参照した資料の範囲では確認できない。
2014年の別の試験では、本茶(篩い分けた主要な茶葉)と粉茶を分けて火入れした場合、棚式乾燥機100℃30分間処理の官能評価(水色・香気・滋味それぞれ20点満点、茶業関係者5名の合議)が合計60点で最高となり、90℃30分(57点)・110℃30分(54点)を上回った。一方、本茶と粉茶(重量割合10%)を分けずに火入れした場合は90℃30分間処理が合計58点で最高となり、100℃30分(54点)より高かった。本茶を単独で火入れするか粉茶と合わせて火入れするかによって、官能評価が最も高くなる温度が異なることが、2つの表の比較から示されている。
火入れの熱源については、炭を使うと「香りが素直」「面で温めやすい」利点がある一方、換気と灰の管理が必要になると、ある茶商の解説記事は経験則として述べている。同記事は火入れ温度全般について、温度が10℃上がるごとに香り立ちが増すとともに渋みの出やすさも増すとも述べているが、これは実測データを伴わない経験則であり、渋みへの言及であって苦味そのものへの言及ではない。なお2024年に登録無形文化財となった手揉み製茶では、焙炉と呼ばれる乾燥炉の上に助炭(木枠の底面に和紙を張った道具)を乗せて熱を伝え、多様な手使いで茶葉の形状を整えながら乾燥させるが、この焙炉の熱源が炭かどうかは文化庁の記載には明記されていない。
この説明の根拠
この本文で確認した範囲: 火入れの工程順と推奨温度時間の根拠に使用/A品の温度時間別官能評価データの根拠に使用/C品との比較データの根拠に使用
土佐茶の深蒸し茶の火入れ方法および普通蒸し茶とのブレンド割合
この本文で確認した範囲: 本茶単独火入れの評点データの根拠に使用/本茶粉茶混合時の評点比較の根拠に使用
この本文で確認した範囲: 炭火入れの経験則的言説の根拠に使用
この本文で確認した範囲: 手揉み製茶の焙炉・助炭の説明根拠に使用
構造化された主張 — 節を開くと、主張ごとの確度・根拠・限界が読めます
感覚(4)
範囲: A品荒茶(高知県産、蒸し時間50秒)。
注記: 浸出液は茶葉4g・湯温80℃・湯量140ml・浸出80秒で調製し試飲。香気評価は熱湯140mlに浸した茶葉4gの香りを官能で評価。評価者数の記載はない。
データを表示
process-tea-hiire —has_sensory_response→ "コリンズ焙煎機を改造した小型回転ドラム式火入れ機(茶温制御可能)を用い、A品荒茶を茶温90・100・110・120℃、時間10・20・30・40分の組み合わせで火入れし、香気(9段階評価、5が良好)と浸出液(火香0-4、焦げ臭0-1、香りの甘さ0-3、味の甘さ0-3)を評価した(2020年)。90℃10分では香気評価4、火香0、焦げ臭0、香りの甘さ0、味の甘さ0だったのに対し、120℃40分では香気評価9、火香4、焦げ臭1、香りの甘さ2、味の甘さ3となり、温度・時間が上がるほど火香・焦げ臭が強まった。"範囲: C品荒茶(高知県産、蒸し時間50秒)。
注記: 評価方法はA品と同一(2020年)。
データを表示
process-tea-hiire —has_sensory_response→ "同じ方法でC品荒茶を評価したところ、90℃10分では香気評価2、火香0、焦げ臭0、香りの甘さ0、味の甘さ0にとどまり、A品(同条件で香気評価4、火香0)と比べて香気評価が低かった(火香のサブスコアは両者とも0で差がない)。120℃40分では香気評価9、火香4、焦げ臭1、香りの甘さ1、味の甘さ3となった。"範囲: 2014年5月3日にJAコスモス仁淀第1製茶工場へ搬入された「やぶきた」(出開度52%)を原料とした荒茶。
注記: 審査茶碗に茶葉5gと70℃の湯200mlを注ぎ、香気は直後、水色と滋味は90秒間浸出した茶液を評価。
データを表示
process-tea-hiire —has_sensory_response→ "2014年、本茶(篩い分けた主要な茶葉)と粉茶を分けて火入れした官能評価(20点満点、茶業関係者5名の合議)で、本茶は棚式乾燥機100℃30分間処理が水色20・香気20・滋味20・合計60点で最高評価となり、90℃30分(合計57点)・110℃30分(合計54点)より高かった。粉茶は棚式乾燥機80℃60分間処理が合計59点で最高だった(70℃60分58点、90℃60分54点)。回転式火入れ機では本茶90℃40分間処理が合計60点で最高だった(80℃40分57点、100℃40分54点)。"範囲: 同上の「やぶきた」原料荒茶(粉茶割合10%)。
注記: 分けた場合と分けない場合で最適温度が異なる点は、報告書内の2つの表(表1・表2)の比較による。
データを表示
process-tea-hiire —has_sensory_response→ "本茶と粉茶(重量割合10%)を分けずに火入れした場合の官能評価(2014年)では、棚式乾燥機90℃30分間処理が水色20・香気19・滋味19・合計58点で最高評価となり、100℃30分(合計54点)・110℃30分(合計53点)より高かった。回転式火入れ機では90℃40分間処理が合計58点で最高だった(80℃40分57点、100℃40分50点)。本茶と粉茶を分けた場合は本茶で100℃がより高評価だったのに対し、分けない場合は90℃がより高評価だった。"加工・調理でどう変わる(1)
範囲: 高知県内産の普通蒸し煎茶荒茶。
注記: 高知県農業技術センター茶業試験場の普及技術情報(研究期間平成30〜令和2年度)。
データを表示
process-tea-hiire —is_prepared_by→ "県内産荒茶(普通蒸し煎茶)の仕上げ加工は、審査→選別→火入れ→合組の工程で行う。荒茶を審査によりA品(上級茶用)・B品(中級茶用)・C品(並茶用)に分類したのち、A品荒茶は外観・内質が優れるためその特性を生かした火入れとし、回転ドラム式火入れ機で90℃30分前後、さらに弱い火香を付ける場合は100℃20〜30分前後とする。B品・C品は火入れ茶特有の滋味と芳香を生成させ香ばしさを強調するため中程度から強い火香を付ける火入れとし、回転ドラム式火入れ機で100℃30〜40分前後とする。火入れは火入れ茶特有の芳香と滋味を生成させる加熱工程であり、過度な火入れは焦げ臭で甘い香りがマスクされる。"文化(2)
範囲: 茶商(スズキの製茶)による一般的な解説。
注記: 実測データや出典の提示はなく、茶商の経験に基づく解説記事としての言説。炭に限定した苦味・渋味への言及はない。
データを表示
process-tea-hiire —is_presented_as→ "茶商による解説記事は、火入れの熱源比較として炭を挙げ、「香りが素直」「面で温めやすい」という利点と「換気と灰の管理が必要」という留意点を示している。また同記事は火入れ温度全般について「温度+10℃は香り立ち↑、渋みの出やすさも↑」とも述べている。"範囲: 手揉み製茶(登録無形文化財)。
注記: 文化庁の原本記載には焙炉の熱源の材質(炭かどうか)は明記されていない。
データを表示
process-tea-hiire —is_prepared_by→ "手揉み製茶(2024年12月16日に登録無形文化財として登録)では、焙炉と呼ばれる乾燥炉と、その上に乗せて熱を茶葉に伝えるための助炭(木枠の底面に和紙を張った製茶道具)を用いて、多様な手使いで茶葉の形状を整えながら乾燥させる。"