カキタンニン

化合物群 / compound-kaki-tannin

persimmon tannin (kaki-tannin)

模式図 — 写真ではなく、根拠をもとに苦味研究所が組んだ説明図

三枚の札にそれぞれ大きな数値。左二枚は「甘い溶液での食味試験」「柿ジュース」で同じ値、右は「別の県の報告が引く基準」でより低い値。下に「渋味は苦味ではない」の帯。

根拠の数値を図にしたもの(苦味研究所作成)· CC BY 4.0

渋味を感じ始める濃度——柿タンニンの目安

タンニン酸を加えた甘い溶液と柿ジュースで渋味を感じる人が多くなる濃度(園芸学会誌の報告)と、別の県の報告が引く「渋みを感じない」基準を三枚の札に並べた図。測定の文脈や単位の基準が異なる可能性があるため、直接は比べない。渋味は苦味とは別の感覚である。

根拠: ev-w40c-threshold-1 · ev-w40c-threshold-2 · ev-w40c-key-astringent-1

このページの内容(6 節)
  1. 説明
  2. この説明の根拠(4)
  3. 関連をたどる
  4. 組成・含有(3)
  5. 感覚(2)
  6. 機構・受容体(1)

苦味を読む

柿の果実に感じる渋味は、カキタンニンと呼ばれる可溶性のタンニンによるものである。この渋味成分は、柿の果肉中にある「タンニン細胞」と呼ばれる特殊な細胞に高濃度で蓄積する縮合型タンニン(プロアントシアニジン)であり、広義のタンニン類の一種でもある。カキタンニンは渋味成分として位置づけられる。柿の学術資料では、この可溶性タンニンの濃度が渋味の強さを決める基本的な仕組みとして述べられている。

渋味が消える「渋抜き」の仕組みは、カキタンニンが可溶性から不溶性へと変わることによるとされる。果肉中で酵素的に生成されたアセトアルデヒドが可溶性タンニンを不溶化させ、その結果、渋味を感じさせなくなる。ただし、不溶化した後のタンニンの分子構造そのものがどうなっているかは、関連する研究でも未解明のままとされている。

渋味を感じるかどうかの濃度の目安についても報告がある。7%グルコース+7%フルクトース溶液にタンニン酸を添加する食味試験では、タンニン酸濃度0.10%以上で渋味を感じる被験者が多く、柿ジュースでもタンニン酸濃度0.10%が渋味を感じ始める濃度と判定された。一方、別の県の報告では渋みを感じない基準として0.05%以下という値が引用されており、測定の文脈や単位基準が異なる可能性があるため、別の数値として併記する。

いったん脱渋した柿を加熱すると、可溶性タンニン量が再び増える「渋戻り」が観察されている。湯抜きで脱渋した'伊自良大実'柿のペーストを煮沸下で40分加熱すると渋戻り量は179mg/100mlに、アルコール脱渋した'刀根早生'柿では239mg/100mlに達したとの報告がある。また'西条'柿ペーストでは、100℃での煮沸を40分行うと可溶性タンニン量は111.33±1.39mg/100g、60分では178.30±4.59mg/100gに達し、121℃での加圧加熱では4分で295.44±3.93mg/100g、20分では465.99±3.64mg/100gに達した。加圧加熱の方が煮沸よりも渋戻り量が大きかったと報告されている。なお、なぜ加熱によって可溶性タンニン量が増えるのかという機構そのものについては、これらの資料では踏み込んだ説明はされていない。

この説明の根拠

  1. 柿の脱渋に関する一考察(第2報) タンニンの不溶化及びそれに関与する酵素活性の変動

    稲荷妙子; 友枝幹夫 / 1992 / 学術論文 / 全文確認

    この本文で確認した範囲: 柿の渋味成分がカキタンニンであるという基本記述の裏付けに用いた/アセトアルデヒドによる不溶化という渋抜き機構の裏付けに用いた/食味試験による0.10%という渋味閾値の裏付けに用いた

  2. 柿の起源と品種分化

    神崎真哉 / 2016 / 学術論文 / 全文確認

    この本文で確認した範囲: タンニン細胞への高濃度蓄積という説明の裏付けに用いた/縮合型タンニン(プロアントシアニジン)という位置づけの裏付けに用いた/不溶化がアセトアルデヒドに関連する形質だとする裏付けに用いた

  3. 柿の新規加工技術に関する研究(加熱時に渋戻りを起こす脱渋渋柿への防止加工技術に関する研究)

    神山真一; 加島隆洋 / 2008 / 公的資料 / 全文確認

    この本文で確認した範囲: 別基準0.05%以下という引用値の併記のために用いた/品種別の渋戻り量179mg・239mgの数値裏付けに用いた

  4. Effect of heating methods on astringency recurrence, syneresis, and physical properties of persimmon paste

    Tsurunaga Yoko; Onda Misaki; Takahashi Tetsuya / 2021 / 学術論文 / 全文確認

    この本文で確認した範囲: 加熱条件別の渋戻り量の詳細数値の裏付けに用いた

関連をたどる

カキタンニン →の主要な渋味物質である→

カキタンニン →の一種である→ タンニン類 →引き起こしうる→ 渋味

構造化された主張 — 節を開くと、主張ごとの確度・根拠・限界が読めます

組成・含有(3)

カキタンニンタンニン類の一種である支持あり

注記: 柿果実のタンニン細胞に蓄積する縮合型タンニン(プロアントシアニジン)としての位置づけ。

柿のタンニン合成系にはプロアントシアニジン生合成に関わる遺伝子(フラボノイド合成系)が関与すると記述されており、柿タンニンが縮合型タンニン(プロアントシアニジン)であることを示す。
出典: 柿の起源と品種分化(神崎真哉, 2016)・全文確認
データを表示compound-kaki-tannin —is_a_type_of→ compound-tannins
claim: clm-w40c-tannin-subtype-of-tannins / type: taxonomy / 更新: 2026-09-02
カキタンニン湯抜き脱渋した'伊自良大実'柿のペーストを煮沸下で40分間加熱した場合、渋戻り量(可溶性タンニン量)は179 mg/100mlに達した。アルコール脱渋した'刀根早生'柿のペーストを同条件で加熱した場合は239 mg/100mlに達した(いずれも添加物を加えない対照区)。における含有量が測定されている支持あり

範囲: 岐阜県産'伊自良大実'(湯抜き脱渋)・'刀根早生'(アルコール脱渋)、冷凍ペースト、煮沸下40分加熱、Folin-Denis法によるタンニン定量

注記: 神山・加島(2008年度岐阜県食品科学研究所報告)。

脱渋柿に対し各種化合物を添加、加熱時の渋戻り量の測定結果を図1(湯抜き脱渋した伊自良大実柿、無添加区で渋戻り量179mg/100ml)、図2(アルコール脱渋した刀根早生柿、無添加区で渋戻り量239mg/100ml)に示した。
データを表示compound-kaki-tannin —has_measured_content_in→ "湯抜き脱渋した'伊自良大実'柿のペーストを煮沸下で40分間加熱した場合、渋戻り量(可溶性タンニン量)は179 mg/100mlに達した。アルコール脱渋した'刀根早生'柿のペーストを同条件で加熱した場合は239 mg/100mlに達した(いずれも添加物を加えない対照区)。"
claim: clm-w40c-tannin-content-heated-gifu / type: composition / 更新: 2026-09-02
カキタンニン'西条'柿ペーストを100℃で40分間煮沸すると可溶性タンニン量は111.33±1.39 mg/100g FW、60分間では178.30±4.59 mg/100g FWに達した。121℃で加圧加熱すると、4分間で295.44±3.93 mg/100g FW、20分間では465.99±3.64 mg/100g FWに達し、加圧加熱のほうが煮沸より渋戻り量が大きかった。における含有量が測定されている支持あり

範囲: '西条'柿ペースト、島根大学の実験(2021年)

注記: Tsurunaga・Onda・Takahashi(2021)。

Boiling at 100°C for 40 min gave soluble tannin content of 111.33±1.39 mg/100 g FW; 60 min gave 178.30±4.59 mg/100 g FW. Pressurization at 121°C for 4 min gave 295.44±3.93 mg/100 g FW; 20 min gave 465.99±3.64 mg/100 g FW.
出典: Effect of heating methods on astringency recurrence, syneresis, and physical properties of persimmon paste(Tsurunaga Yoko; Onda Misaki; Takahashi Tetsuya, 2021)・全文確認
データを表示compound-kaki-tannin —has_measured_content_in→ "'西条'柿ペーストを100℃で40分間煮沸すると可溶性タンニン量は111.33±1.39 mg/100g FW、60分間では178.30±4.59 mg/100g FWに達した。121℃で加圧加熱すると、4分間で295.44±3.93 mg/100g FW、20分間では465.99±3.64 mg/100g FWに達し、加圧加熱のほうが煮沸より渋戻り量が大きかった。"
claim: clm-w40c-tannin-content-heated-tsurunaga / type: composition / 更新: 2026-09-02

感覚(2)

カキタンニンの主要な渋味物質である確立

注記: 柿の渋味成分はカキタンニンと呼ばれ、渋味は可溶性タンニンの濃度に起因するという基本的な位置づけ。稲荷・友枝(1992)と神崎(2016)の双方が同様に述べる。

「柿中に含まれている渋味成分はカキタンニンと呼ばれ、渋味は可溶性タンニンの濃度に起因しており、甘柿でも未熟なうちは、渋味が感じられる」
「柿果実中にはタンニン細胞と呼ばれる特殊な細胞があり、この細胞に可溶性タンニンが高濃度で蓄積するため、一般に柿果実は強い渋味を呈する」
出典: 柿の起源と品種分化(神崎真哉, 2016)・全文確認
データを表示compound-kaki-tannin —are_key_astringents_of→ ingredient-persimmon
claim: clm-w40c-key-astringent-compound / type: sensory / 更新: 2026-09-02
カキタンニンの渋味閾値: 可溶性タンニン濃度が0.1%以下になると渋味を感じられなくなることが、塩化第二鉄反応および食味試験で確認された。7%グルコース+7%フルクトース溶液にタンニン酸を添加する食味試験では、タンニン酸濃度0.10%以上で渋味を感じる被験者が多く、柿ジュースでもタンニン酸濃度0.10%が渋味を感じ始める濃度と判定された。支持あり

注記: 稲荷・友枝(1992)の食味試験による。岐阜県食品科学研究所の報告(2008年度)は、渋みを感じない基準として同じ研究系列(稲荷ら, 岐阜女子大)の0.05%(50mg/100g)以下という値を引用しており、測定文脈(食味試験 vs 別報告の基準値)が異なるため別数値として併記する。

可溶性タンニン濃度が0.1%以下になると渋味は感じられないことが塩化第二鉄反応および食味試験でわかった。7%グルコース+7%フルクトースに0.10%以上のタンニン酸を添加した場合、渋味を感じる人が多く、柿ジュースにおいてもタンニン酸濃度0.10%が渋味を感じはじめる濃度と判定した。
文脈: 「渋みを感じない基準は、稲荷ら(岐阜女子大)が示しており、0.05%(50mg/100g)以下とする」
限界: 引用元の稲荷ら岐阜女大紀要論文そのものは今回の調査では未読で、岐阜県報告からの孫引き確認である。稲荷・友枝(1992)の食味試験の0.10%(タンニン酸)とは測定文脈・単位基準が異なる可能性があり、単純に同一視しない。
データを表示compound-kaki-tannin —has_astringency_threshold_of→ "可溶性タンニン濃度が0.1%以下になると渋味を感じられなくなることが、塩化第二鉄反応および食味試験で確認された。7%グルコース+7%フルクトース溶液にタンニン酸を添加する食味試験では、タンニン酸濃度0.10%以上で渋味を感じる被験者が多く、柿ジュースでもタンニン酸濃度0.10%が渋味を感じ始める濃度と判定された。"
claim: clm-w40c-soluble-tannin-threshold / type: sensory / 更新: 2026-09-02

機構・受容体(1)

カキタンニンの提案されている機構: 渋抜き(脱渋)の機構は、カキタンニンが可溶性から不溶性に変わることによる。柿の果肉中で酵素的に生成されたアセトアルデヒドが可溶性タンニンを不溶化させる働きを持つ。確立

注記: 稲荷・友枝(1992、全文確認)と神崎(2016、全文確認)の双方が独立に、アセトアルデヒドによるタンニン不溶化という同じ機構を述べる。ただし不溶化したタンニンの分子構造そのものは両論文とも未解明としている。

「渋抜きの機構は、カキタンニンが可溶性から不溶性に変わることによるといわれているが」「アセトアルデヒドがカキタンニンを不溶化させた結果、渋柿の渋味を感じさせなくさせることを明らかにした」
限界: 不溶化したタンニンの化学構造自体は未解明と論文中で明記されている。
「果肉の褐斑は、種子で生産されるアセトアルデヒドにより可溶性タンニンが不溶化する際に発生するもので、脱渋性に関連する形質である」
出典: 柿の起源と品種分化(神崎真哉, 2016)・全文確認
データを表示compound-kaki-tannin —has_currently_proposed_mechanisms→ "渋抜き(脱渋)の機構は、カキタンニンが可溶性から不溶性に変わることによる。柿の果肉中で酵素的に生成されたアセトアルデヒドが可溶性タンニンを不溶化させる働きを持つ。"
claim: clm-w40c-deastringing-mechanism-acetaldehyde / type: mechanism / 更新: 2026-09-02

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