食材 / ingredient-persimmon

Persimmon (kaki) / Diospyros kaki Thunb.

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白背景に、へたが枯れ葉状になった扁平で橙色の柿が一つと、その右に横半分に切った断面が並ぶ。断面はオレンジ色でつやのある果肉と種の跡が見える。

丸ごとの果実と、横半分に切って果肉を見せた甘柿の断面。

写っているもの: Diospyros kaki(甘柿系品種)部位・状態: 果実全体と横断面(種子・果肉を含む)

写真: Joe RaviCC BY-SA 3.0原画像台帳の原画像

写真の範囲と来歴

被写体の確認: 原典の記載による同定。ファイル名は「Fuyu Persimmon」だが説明文本文は「Jiro Persimmon」と記載しており、両者の間に表記の食い違いがある。ふ有・次郎はいずれも甘柿系(不完全甘柿)の代表品種で、渋抜き不要のなめらかな果肉という点は一致している。 画像を開き、丸ごとの果実と断面の両方で、渋みを感じさせる筋や斑点のない滑らかで均質なオレンジ色の果肉を確認した。

掲載画像: Wikimedia Commons の原本を長辺2400pxへ縮小。切り抜き・色調変更なし。 表示用には幅1200px上限のWebPを配信し、台帳の原画像は上のリンクから確認できます。

このページの内容(8 節)
  1. 説明
  2. この説明の根拠(3)
  3. 別名
  4. 関連をたどる
  5. 組成・含有(2)
  6. 感覚(1)
  7. 機構・受容体(1)
  8. 加工・調理でどう変わる(2)

苦味を読む

柿は東アジア原産のカキノキ属の落葉果樹で、品種によって成熟しても果肉に強い渋味が残る渋柿と、成熟または加工により渋味が消える甘柿とに分かれる。渋味成分はカキタンニンと呼ばれる可溶性タンニンで、その濃度に渋味の強さが起因する。この基本的な位置づけは、渋柿・甘柿を横断して同様に述べられている。

柿の品種は、渋味が消える様式(脱渋性)の違いに基づいて4つの型に分けられる。完全甘柿(Pollination Constant and Non-Astringent, PCNA)、不完全甘柿(Pollination Variant and Non-Astringent, PVNA)、完全渋柿(Pollination Constant and Astringent, PCA)、不完全渋柿(Pollination Variant and Astringent, PVA)である。この4類型の枠組みは複数の資料で共通して用いられており、'太天'はPVA型渋柿新品種として位置づけられている。

渋抜きの引き金となるアセトアルデヒドは、ピルビン酸脱炭酸酵素(PDC)またはアルコール脱水素酵素(ADH)の働きによって生成されると考えられている。渋柿・甘柿いずれの品種でも、両酵素の活性は果実の成育・成熟期間中つねに検出され、PDC活性はADH活性よりも約100倍高いことが酵素活性の測定によって示された。

果実の成熟にともなう可溶性タンニン濃度の変化は品種で大きく異なる。甘柿(富有柿)は6〜7月の未熟期には可溶性タンニン濃度0.7%以上ときわめて渋味が強いが、9月以降は渋味をほとんど感じなくなるまで減少する。一方、渋柿(平核無)の可溶性タンニン濃度は7〜8月には甘柿に比べきわめて多量だが徐々に減少し、11月には甘柿との差がほとんど認められなくなる。

人為的な脱渋処理には限界も報告されている。市販の渋柿にエタノール処理(37℃・24時間)を施した実験では、処理前の可溶性タンニン濃度が1%以下であれば24時間で脱渋できたが、3%以上では24時間の処理では脱渋できず、さらに長い処理時間が必要だった。試した品種のうち過熟した蜂屋柿Aは脱渋できず、ADH活性が検出されなかったことと関係すると推察されている。別の研究では、ドライアイスによる脱渋は果皮障害と軟化を発生させやすく有効な方法は見いだされず、エチルアルコールによる脱渋は可能だが商品生産上の適当な方法はまだ十分明らかになっていない、とされている。

この説明の根拠

  1. 柿の脱渋に関する一考察(第2報) タンニンの不溶化及びそれに関与する酵素活性の変動

    稲荷妙子; 友枝幹夫 / 1992 / 学術論文 / 全文確認

    この本文で確認した範囲: 渋味成分がカキタンニンであるという基本記述の裏付けに用いた/PDC活性がADH活性の約100倍という測定結果の裏付けに用いた/富有柿・平核無の季節変化データの数値裏付けに用いた/エタノール処理の濃度別の脱渋可否データの裏付けに用いた

  2. 柿の起源と品種分化

    神崎真哉 / 2016 / 学術論文 / 全文確認

    この本文で確認した範囲: タンニン細胞への高濃度蓄積という説明の裏付けに用いた/脱渋性による4類型の定義の裏付けに用いた

  3. カキ新品種'太天'

    山田昌彦; 佐藤明彦; 山根弘康; 三谷宣仁; 岩波宏; 白石美樹夫; 平川信之; 上野俊人; 河野淳; 吉岡美加乃; 中島育子 / 2012 / 学術論文 / 全文確認

    この本文で確認した範囲: '太天'をPVA型渋柿とする分類記載の裏付けに用いた/ドライアイス脱渋の限界に関する記述の裏付けに用いた

別名: かき(ja)

関連をたどる

カキタンニン →の主要な渋味物質である→

→で加工される→ 焼酎抜き

構造化された主張 — 節を開くと、主張ごとの確度・根拠・限界が読めます

組成・含有(2)

の含量は成熟に伴い変化する: 甘柿('富有柿')も6~7月の未熟期には可溶性タンニン濃度0.7%以上ときわめて渋味が強いが、9月以降は渋味を感じなくなる約0.1%以下まで減少する。渋柿('平核無')の可溶性タンニン濃度は7~8月には甘柿に比べきわめて多量だが徐々に減少し、11月には富有柿と大差がなくなる。支持あり

範囲: 富有柿(PCNA型甘柿)・平核無(渋柿)、岐阜県産、6月~11月の経時測定

注記: 稲荷・友枝(1992)。

富有柿の可溶性タンニン濃度は6・7月ではかなり高い値(0.7%以上)で強く渋味を感じたが、9月以降はほとんど感じなくなるまで減少した。渋柿の可溶性タンニン濃度は7,8月には甘柿に比してきわめて多量だが徐々に減少し、11月には富有柿と大差は認められなかった。
データを表示ingredient-persimmon —has_content_change_with_fruit_maturation→ "甘柿('富有柿')も6~7月の未熟期には可溶性タンニン濃度0.7%以上ときわめて渋味が強いが、9月以降は渋味を感じなくなる約0.1%以下まで減少する。渋柿('平核無')の可溶性タンニン濃度は7~8月には甘柿に比べきわめて多量だが徐々に減少し、11月には富有柿と大差がなくなる。"
claim: clm-w40c-fuyu-natural-deastringing / type: composition / 更新: 2026-09-02
は次に区分される: 脱渋性(渋味の消失様式)に基づく4類型: 完全甘柿(Pollination Constant Non-Astringent, PCNA)・不完全甘柿(Pollination Variant Non-Astringent, PVNA)・完全渋柿(Pollination Constant Astringent, PCA)・不完全渋柿(Pollination Variant Astringent, PVA)。確立

注記: 神崎(2016)が解説として整理し(原分類は菊池秋雄, 1948)、山田ら(2012)のNARO原著論文でも同じ4類型の枠組みが用いられている('太天'をPVA型と分類)。

「こうした脱渋性の違いに基づいて柿品種を分類すると以下の4つのタイプに分かれる: ①完全甘柿(Pollination Constant and Non-Astringent: PCNA)、②不完全甘柿(Pollination Variant and Non-Astringent: PVNA)、③完全渋柿(Pollination Constant and Astringent: PCA)、④不完全渋柿(Pollination Variant and Astringent: PVA)」
出典: 柿の起源と品種分化(神崎真哉, 2016)・全文確認
「カキの品種は秋季の十分着色した果実に強い渋味があるか否かによって、甘ガキ品種と渋ガキ品種に分けられ」「渋ガキ(pollination variant astringent: PVA)」「完全甘ガキ(PCNA)と渋ガキ(pollination constant astringent: PCA)」という同じ4類型の枠組みが用いられ、'太天'はPVA型渋柿新品種として記載されている。
出典: カキ新品種'太天'(山田昌彦; 佐藤明彦; 山根弘康; 三谷宣仁; 岩波宏; 白石美樹夫; 平川信之; 上野俊人; 河野淳; 吉岡美加乃; 中島育子, 2012)・全文確認
データを表示ingredient-persimmon —is_divided_into→ "脱渋性(渋味の消失様式)に基づく4類型: 完全甘柿(Pollination Constant Non-Astringent, PCNA)・不完全甘柿(Pollination Variant Non-Astringent, PVNA)・完全渋柿(Pollination Constant Astringent, PCA)・不完全渋柿(Pollination Variant Astringent, PVA)。"
claim: clm-w40c-classification-four-types / type: taxonomy / 更新: 2026-09-02

感覚(1)

カキタンニンの主要な渋味物質である確立

注記: 柿の渋味成分はカキタンニンと呼ばれ、渋味は可溶性タンニンの濃度に起因するという基本的な位置づけ。稲荷・友枝(1992)と神崎(2016)の双方が同様に述べる。

「柿中に含まれている渋味成分はカキタンニンと呼ばれ、渋味は可溶性タンニンの濃度に起因しており、甘柿でも未熟なうちは、渋味が感じられる」
「柿果実中にはタンニン細胞と呼ばれる特殊な細胞があり、この細胞に可溶性タンニンが高濃度で蓄積するため、一般に柿果実は強い渋味を呈する」
出典: 柿の起源と品種分化(神崎真哉, 2016)・全文確認
データを表示compound-kaki-tannin —are_key_astringents_of→ ingredient-persimmon
claim: clm-w40c-key-astringent-compound / type: sensory / 更新: 2026-09-02

機構・受容体(1)

の提案されている機構: アセトアルデヒドは、ピルビン酸脱炭酸酵素(PDC)またはアルコール脱水素酵素(ADH)の働きにより生成されると考えられる。渋柿('平核無'ほか)・甘柿('富有柿')いずれでも両酵素の活性は成育・成熟期間中つねに存在し、PDC活性はADH活性よりも約100倍高いことが測定された。支持あり

注記: 稲荷・友枝(1992)の酵素活性測定実験による。渋柿として平核無・蜂屋柿・富士柿・鶴の子、甘柿として富有柿(いずれも岐阜県産)を試料とした。

ADH・PDC両酵素活性を測定した結果、どの時期・品種においてもPDC活性のほうがADH活性より約100倍ほど高いことが判明した。両酵素活性は成育・成熟期間中つねに存在した。
データを表示ingredient-persimmon —has_currently_proposed_mechanisms→ "アセトアルデヒドは、ピルビン酸脱炭酸酵素(PDC)またはアルコール脱水素酵素(ADH)の働きにより生成されると考えられる。渋柿('平核無'ほか)・甘柿('富有柿')いずれでも両酵素の活性は成育・成熟期間中つねに存在し、PDC活性はADH活性よりも約100倍高いことが測定された。"
claim: clm-w40c-pdc-adh-enzymes / type: mechanism / 更新: 2026-09-02

加工・調理でどう変わる(2)

焼酎抜きで加工される支持あり

範囲: 市販の複数品種の渋柿(富士柿・鶴の子・蜂屋柿A/B/C)、37℃・24時間のエタノール処理

注記: 処理前の可溶性タンニン濃度が3%以上の場合、24時間のエタノール処理では脱渋できず、さらに長時間の処理が必要だった。1%以下の場合は24時間で脱渋できた。試験した1品種(過熟した蜂屋柿A)はエタノール処理で脱渋できず、これはADH活性が検出されなかったことと関係すると推察された。稲荷・友枝(1992)。

渋柿のエタノール処理による脱渋操作を行った場合、渋柿の可溶性タンニン濃度が1%以下の時は脱渋できるが、3%以上の時は24時間のエタノール処理では脱渋できず、さらに長時間の処理が必要と思われた。蜂屋柿A以外はエタノール処理により可溶性タンニン濃度が減少し渋味が感じられなくなった。
データを表示ingredient-persimmon —is_processed_by→ process-kaki-alcohol-deastringing
claim: clm-w40c-alcohol-deastringing-concentration-limit / type: processing / 更新: 2026-09-02
の方法論的限界: ドライアイスによる脱渋は果皮障害と軟化を発生させやすく、有効な方法は見いだされなかった。エチルアルコールによる脱渋は可能だが、商品生産上の適当な方法はまだ十分明らかになっていない(2012年時点)。支持あり

範囲: '太天'(PVA型渋柿)、農研機構果樹研究所の育成試験

注記: 山田ら(2012)。

「試験の中で、ドライアイス脱渋についても検討したが、果皮障害と軟化を発生しやすく、有効なドライアイス脱渋法は見いだされなかった。エチルアルコールによる脱渋は可能であるが、商品生産上、適当な方法についてはまだ十分明らかとなっていない」
出典: カキ新品種'太天'(山田昌彦; 佐藤明彦; 山根弘康; 三谷宣仁; 岩波宏; 白石美樹夫; 平川信之; 上野俊人; 河野淳; 吉岡美加乃; 中島育子, 2012)・全文確認
データを表示ingredient-persimmon —has_methodological_limitation→ "ドライアイスによる脱渋は果皮障害と軟化を発生させやすく、有効な方法は見いだされなかった。エチルアルコールによる脱渋は可能だが、商品生産上の適当な方法はまだ十分明らかになっていない(2012年時点)。"
claim: clm-w40c-taiten-deastringing-limitations / type: processing / 更新: 2026-09-02

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