うるか
料理 / dish-uruka
うるか(鮎うるか)
写真で見る

酒の肴三点盛り:山口の海鼠の卵巣(このこ)、佐田岬の熟成雲丹、滋賀の鮎うるか(子うるか)を新潟の純米酒とともに撮影した複合写真。うるかは3品のうちの1品として写っており、単体の写真ではない点に留意。
料理写っているもの: 該当なし(料理)部位・状態: 盛り付け(酒肴三点盛りの一部)
写真: Takamorry/ CC BY-SA 2.0/ 原画像/ 台帳の原画像
写真の範囲と来歴
被写体の確認: 原典の記載による同定。裁定に基づき、dish-niga-uruka で使用した渋うるかの写真とは別のCommonsファイルを採用(重複回避)。この3点盛りのうち「子うるか」がうるかの系統に該当する。
掲載画像: リサイズ・トリミング・色調変更なし。Wikimedia Commons のオリジナル画像をそのまま使用。 表示用には幅1200px上限のWebPを配信し、台帳の原画像は上のリンクから確認できます。
このページの内容(8 節)
苦味を読む
うるかは、鮎の身・内臓・卵・白子などを塩とともに漬け込み、発酵・熟成させてつくる塩辛の総称である。1996年の研究は、全国で入手した市販品43点の説明書と先行文献を突き合わせ、身うるか・子うるか・白うるか・黒うるか・にがうるか・渋うるかなど、原料部位と製法の違いによって産地ごとに異なる名称の系統があることを整理した。ただし同じ名称でも産地間で定義に幅があり、単一の分類として固定できるものではないという。
「にがうるか」という名称は、大分県南海部郡の製品説明書では『鮎の内臓のみをうるかにしたもの』と定義されている。大分県の郷土料理を紹介する公式資料でも、大分県では「にがうるか」という呼び方を指すことが多く、鮎の内臓のみを用いると記されている。ただしこれらは製品1点・都道府県1件の記録に基づくもので、他地域での「にがうるか」系呼称の細部までは覆っていない。
1996年の研究が全国市販の鮎うるか43点を分析したところ、食塩濃度は6.9%から24.9%まで大きな幅があり、食塩含量と水分活性の間には負の相関(r=0.698)が認められた。pHはおおむね6前後で、発酵食品としてよく知られる弱酸性域よりやや高めだった。同じ研究が収集した島根県益田市の身うるか製品の説明書には、『鮎と身とはらわたを混ぜ合わせ、塩でもってねかせ、苦味と渋味を出させる』と記されており、塩とともに寝かせる熟成の過程で苦味・渋味が生まれることが、単一企業の記述ながら製法の一部として語られている。
藻類を餌とする天然の鮎の内臓は特有の香りと風味を持ち、塩焼きやうるかといった調理法で好んで食されてきたと、2022年の学術論文は先行する文化史の文献(『ものと人間の文化史56 鮎』)を引いて紹介している。同文献には鮎を用いた86種の料理と21種の加工法が記録され、身を刻む・開く・内臓ごと丸ごと使うなど調理形態は多様だという。一方で同じ論文は、長良川で鮎料理店を営む料理長への取材として、『特に若い世代には内臓の苦味は好まれない』という発言を引用している。この発言は主に塩焼きなどでの内臓ごとの喫食を指したもので、うるかそのものの嗜好を述べたとは限らず、単一店舗・単一人物の観察であり、世代間の嗜好差を一般的に裏付けたものではない。
この説明の根拠
この本文で確認した範囲: 原料部位・製法別の名称系統の整理を確認した/南海部郡の製品説明書における内臓のみの定義を確認した/食塩濃度6.9-24.9%と水分活性の負相関を確認した/塩漬け熟成で苦味渋味を出させるとの製品説明を確認した
この本文で確認した範囲: 大分県郷土料理資料でのにがうるかの定義を確認した
長良川産アユの消化管内に混入する砂利の存在が食材としての品質に及ぼす影響について
この本文で確認した範囲: アユ内臓食文化の86料理21加工法という記録を確認した/若い世代が内臓の苦味を好まない料理長発言を確認した
別名: 鮎うるか(ja)、身うるか(ja)、子うるか(ja)、白うるか(ja)、黒うるか(ja)、親うるか(ja)、切り込みうるか(ja・同定medium)、取り混ぜうるか(ja・同定medium)
構造化された主張 — 節を開くと、主張ごとの確度・根拠・限界が読めます
組成・含有(3)
範囲: 全国で販売される鮎うるか製品および先行文献の記述
注記: 1996年の学術論文が文献調査と製品説明書の収集から整理した分類。定義は生産地により幅があり、同一名称でも産地間で定義が異なる例(にがうるか等)がある。
データを表示
dish-uruka —has_variant→ "身うるか・親うるか・子うるか・白うるか・黒うるか・にがうるか・渋うるか・どろうるか・切り込みうるか・取り混ぜうるかなど、原料部位(身・内臓・卵・白子)と製法の違いにより地域ごとに異なる名称の系統が文献・製品説明書から報告される。"範囲: 大分県のうるか(うちの郷土料理資料)および全国製品調査(1996年論文)
データを表示
dish-niga-uruka —is_a_form_of→ dish-uruka範囲: 島根県内T漁業協同組合が製造した鮎うるか製品1点(1982年の研究試料)
注記: 鳥取大学医学部生化学教室(遠藤幸子・綾木義和)による研究。試料は単一の漁業協同組合の製品1点であり、うるか全般への一般化はできない。
データを表示
dish-uruka —has_key_bitter_organoleptics→ "1982年の研究は、鮎の内臓を主原料とする「うるか」(島根県内T漁業協同組合の製品を試料として使用)から総胆汁酸画分を抽出・精製し、薄層クロマトグラフィー・ガスクロマトグラフィー・ガスクロマトグラフィー質量分析により、コール酸およびタウロコール酸を主要な胆汁酸成分として同定した。「うるか」1g中にコール酸として2.13μmol含まれ、遊離型とタウリン抱合型の比率はほぼ3:1であった。ガスクロマトグラフィーによる定量では、「うるか」中のコール酸濃度は17.5×10⁻⁴M、タウロコール酸濃度は5.5×10⁻⁴Mであった。なお、2例の鮎胆嚢胆汁1ml中には、コール酸124.49±95.6μmol、タウロコール酸131.49±14.62μmolが含まれていたことも同研究は報告している。"感覚(4)
範囲: 長良川「鵜匠の家すぎ山」料理長への取材(2022年学術論文中の引用、単一店舗の発言)
注記: 単一店舗・単一人物の発言の引用であり、世代間の苦味嗜好差の一般法則としては扱わない。うるかそのものではなく塩焼きでの内臓喫食を主に指す発言である点に注意。
データを表示
dish-uruka —has_perceived_bitterness_associated_with→ "長良川で鮎料理店を営む料理長への取材として、『最近,特に若い世代には内臓の苦味は好まれない。内臓を抜いたアユの方がアユ自体の鮮度状態が良い』との発言が2022年の学術論文に引用されている。"範囲: 官能検査(検査者6名、微温湯で口をすすいだ後に試料を含み吐き出す方式)
注記: 精製が進むほど苦味が増強したことも報告されており(Table 7)、うるかの総胆汁酸画分中には苦味の弁別閾値や甘味の発現を変化させる、他の未知成分の影響がある可能性を論文は考察している。
データを表示
dish-uruka —has_bitter_recognition_threshold→ "「うるか」から抽出した総胆汁酸画分について官能検査を行ったところ、検査者6名全員が苦味を感じたのはコール酸濃度換算(遊離型:タウリン抱合型=17.5:5.5のモル比)で8×10⁻⁴Mの濃度であった。同じ組成比の標準胆汁酸混合溶液での弁別閾値は4×10⁻⁴Mであり、「うるか」由来の画分は標準溶液よりも高い濃度でようやく苦味が弁別された。また標準溶液では感じられた甘味が、「うるか」の総胆汁酸画分では検査範囲内で感じられなかった。"範囲: 1982年の研究の考察
注記: タウロコール酸と共同で主要苦味成分と推定された。
データを表示
compound-cholic-acid —is_a_bitter_principle_of→ dish-uruka範囲: 1982年の研究の考察
注記: コール酸と共同で主要苦味成分と推定された。
データを表示
compound-taurocholic-acid —is_a_bitter_principle_of→ dish-uruka加工・調理でどう変わる(2)
範囲: 1996年時点で全国で市販されていた鮎うるか43点(産地・鮎の種類・うるかの種類は不特定多数)
注記: 実測データ(常法による一般成分、pH、水分活性〈Hydroskop-DT型〉、食塩濃度〈硝酸銀滴定法〉)。エキス成分(呈味アミノ酸等)は未測定と論文中に明記されている。
データを表示
dish-uruka —has_composition→ "全国で市販されていた鮎うるか43点を分析した結果、食塩濃度は6.9%から24.9%まで幅があり、食塩含量と水分活性の間に負の相関(r=0.698)が認められた。pHはおおむね6前後で、発酵食品として知られる弱酸性域よりやや高めであった。"範囲: 島根県益田市の身うるか製品の説明書き(1996年論文が収集した製品資料の一つ)
注記: 単一の企業製品説明の引用であり、一般化はしない。
データを表示
dish-uruka —has_bitterness_generated_by→ process-naizo-shiokara文化(1)
範囲: 日本各地のアユ食文化に関する文献レビュー(2022年学術論文の緒言)
注記: 論文自体の主眼は消化管内の砂利混入調査だが、緒言部分は食文化に関する文献レビューとして扱う。
データを表示
dish-uruka —is_documented_as_part_of→ "藻類を餌とする天然アユの内臓は特有の香りと風味をもち、塩焼きやウルカなどの調理法で好んで食されてきたと2022年の学術論文(日本食生活学会誌)に報告される。同論文は『ものと人間の文化史56 鮎』を引用し、アユを用いた86種の料理と21種の加工法があり、身を刻んで使うもの、開いて使うもの、内臓も含めて丸ごと使うもの、内臓を用いるウルカなど多様な調理形態が記されるとする。"