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主題ハブ — 2026-10-20

ピーマンの苦味は、油やマヨネーズ・乳製品で和らぐのか

ピーマンが苦手なら、油で炒める、マヨネーズやチーズと合わせる、とよく言われる。 では、それで苦味が和らぐことを、研究はどこまで確かめているか。 ここでは、口で感じる苦味と、鼻で感じるピーマンらしいにおいを分けて読む。 この頁では、収録した研究を、ピーマンの形(液か、炒めたものか)・足したものと比べた相手・誰がどう評価したか、という条件と一緒に並べる。 そのうえで、同じ実験の中で確かめられたことと、研究のあいだの違いから考えられる説明の候補と、 この比較だけでは分けられないことを、分けて書く。

このページの内容(10 節)
  1. この頁でわかること
  2. 収録した研究で言える範囲
  3. 苦味の評価の一覧
  4. 研究ごとの条件と結果
  5. 実験の中で確かめられたこと
  6. 結果の違いの説明の候補
  7. 分かっていないこと——この比較だけでは分けられないこと
  8. 研究と行の数え方
  9. 調べた範囲
  10. 図鑑で読む
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この頁でわかること

収録した研究で言える範囲

苦味の評価の一覧

人が苦味を評価した結果だけを抜き出した。「足したもの」と「比べた相手」の値は、論文や発表の値のまま。 「向き」は値の大小で、論文が差を認めていないものは「ほぼ同じ」とした。研究名を押すと、条件の詳しい表へ移る。

人が苦味を評価した結果だけを抜き出した一覧。値は論文の表のまま。研究ごとに尺度も測り方も違うので、行の中で比べ、行どうしは比べない。

研究条件測り方足したもの比べた相手向き・検定
西村ら 2015マヨネーズで加熱調理 対 植物油で加熱調理(ゴーヤとピーマン)官能評価(人数・尺度は記載なし)苦味が低い—(基準)比べた相手が高い
差の検定なし
キユーピー 2016ピーマン液: 卵黄を足す 対 卵白を足す苦味の強さ(0〜6、20 名、図から読んだ近い値)約 3.6約 4.5比べた相手が高い
検定あり・有意
キユーピー 2016ピーマン液: 粒の小さいマヨネーズ 対 粒の大きいマヨネーズ苦味の強さ(0〜6、20 名、図から読んだ近い値)約 3.4約 4.1比べた相手が高い
検定あり・有意
キユーピー 2016ピーマン液: 酢で変性させた卵黄 対 卵黄苦味の強さ(0〜6、20 名、図から読んだ近い値)約 3.7約 4.5比べた相手が高い
検定あり・有意
田村ら 2021炒めたピーマン: ごまドレッシング 7.5 g 対 食塩相当量官能評価(20 名、尺度は記載なし)苦味が低い—(基準)比べた相手が高い
検定あり・有意

研究ごとの条件と結果

研究ごとに、ピーマンの形・足したもの・評価の条件と、測った結果を並べる。行の単位は「研究×測定結果」で、 苦味とにおいは別の行にした。各行の下に、資料での位置と、 その行が「足すもので苦味が和らぐか」の比較に使えるかを、理由と一緒に書いた。 空欄にせず、「記載なし」(論文に書かれていない)、「読んでいない」、「該当しない」を書き分けている。

西村ら 2015 官能だけ

マヨネーズによる野菜の苦味低減効果. 日本調理科学会平成27年度大会研究発表要旨集 27 [2P-25] — doi:10.11402/ajscs.27.0_174

原文の確認の深さ
要旨まで — 大会の発表要旨(1 頁)の全文。要旨に数値は無い
試料
ゴーヤとピーマン(品種・切り方は記載なし。ゴーヤと分けて書いていない)
焙煎
マヨネーズで加熱調理 対 植物油で加熱調理(温度・時間・量は記載なし)
抽出
加熱調理したものを評価
誰が・どの尺度で
官能評価(人数・尺度・統計は記載なし)と味認識装置
測ったもの条件足したもの比べた相手単位向き・検定
苦味の強さ(官能)マヨネーズで加熱調理 対 植物油で加熱調理(ゴーヤとピーマン)苦味が低い—(基準)官能評価(人数・尺度は記載なし)比べた相手が高い
差の検定なし
要旨に数値も検定も無い。この官能評価では油が比べる相手で、何も足さないものとは比べていない(味認識装置の試験では、マヨネーズを足した区と足さない区を比べている) 原典の位置: 要旨【結果】
足すもので苦味が和らぐかの比較に: 限られる — 人が苦味を比べたが、要旨だけで数値も人数も無く、ゴーヤと分けていない。この官能評価では何も足さないものと比べていない

キユーピー 2016 官能だけ

マヨネーズを使った野菜調理の研究成果を発表. キユーピー ニュースリリース No.47(日本調理科学会平成28年度大会発表概要) — 出典

原文の確認の深さ
全文で確認 — 企業の発表の頁(大会発表の抜粋)の全文と図 1〜3。値は図から読んだ近い値。同じ演題の大会要旨は味認識装置の試験だけを書く
試料
生のピーマンを粉砕し、水と 1:3 で混ぜた液
焙煎
卵黄 対 卵白/乳化の状態だけが違う卵黄型のマヨネーズ(粒の小さいもの 対 大きいもの)/卵黄と酢を混ぜて 1 日ほど置いたもの 対 卵黄(量・配合・粒の大きさの値は記載なし。何も足さない液は人の評価に入っていない)
抽出
ピーマン液に足したものを評価(料理ではない)
誰が・どの尺度で
研究員 20 名(男性 12・女性 8)、苦味の強さを 7 段階(図の縦軸は 0〜6)。図に平均・標準偏差と 5% の有意の印。訓練・反復・検定法は記載なし
測ったもの条件足したもの比べた相手単位向き・検定
苦味の強さ(官能)ピーマン液: 卵黄を足す 対 卵白を足す約 3.6約 4.5苦味の強さ(0〜6、20 名、図から読んだ近い値)比べた相手が高い
検定あり・有意
5% で有意の印。何も足さない液は比べていない 原典の位置: 図 1
足すもので苦味が和らぐかの比較に: 限られる — 人が苦味を比べたが、足したもの同士の比較で、何も足さない液は入っていない。液で、料理ではない。企業の研究者がパネル
苦味の強さ(官能)ピーマン液: 粒の小さいマヨネーズ 対 粒の大きいマヨネーズ約 3.4約 4.1苦味の強さ(0〜6、20 名、図から読んだ近い値)比べた相手が高い
検定あり・有意
5% で有意の印。何も足さない液は比べていない 原典の位置: 図 2
足すもので苦味が和らぐかの比較に: 限られる — 同上
苦味の強さ(官能)ピーマン液: 酢で変性させた卵黄 対 卵黄約 3.7約 4.5苦味の強さ(0〜6、20 名、図から読んだ近い値)比べた相手が高い
検定あり・有意
5% で有意の印。同じ「卵黄」が図 1 では約 3.6、図 3 では約 4.5 で、試験をまたいで値を比べられない 原典の位置: 図 3
足すもので苦味が和らぐかの比較に: 限られる — 同上

田村ら 2021 官能だけ

深煎りごまドレッシングによるピーマンの苦味および臭いに対する低減効果. 日本調理科学会令和3年度大会研究発表要旨集 32(J-STAGE論文番号 93) — doi:10.11402/ajscs.32.0_93

原文の確認の深さ
要旨まで — 大会の発表要旨(和英 2 頁)の全文。数値は要旨に無い
試料
ピーマン 50 g をフライパンで炒めたもの(品種・切り方・火加減は記載なし)
焙煎
炒めたあと深煎りごまドレッシング(同じ会社の製品)7.5 g で味付け 対 食塩相当量で味付け
抽出
炒めたピーマンを評価
誰が・どの尺度で
20 名(尺度・訓練・統計の方法は記載なし)。においは機器で測っただけ
測ったもの条件足したもの比べた相手単位向き・検定
苦味の強さ(官能)炒めたピーマン: ごまドレッシング 7.5 g 対 食塩相当量苦味が低い—(基準)官能評価(20 名、尺度は記載なし)比べた相手が高い
検定あり・有意
要旨は「有意に苦味が低減」と書くが、数値と検定の方法は無い。比べた相手は塩で、何も足さないものではない。ドレッシングのどの成分が効いたかは分からない 原典の位置: 要旨【結果】
足すもので苦味が和らぐかの比較に: 限られる — 炒めたピーマンで人が比べ、有意差があると書く。ただし要旨だけで数値が無く、比べた相手は塩

青木ら 2017 官能だけ

乳製品によるピーマン加熱臭の抑制効果. 日本食品科学工学会誌 64(12):559-566 — doi:10.3136/nskkk.64.559

原文の確認の深さ
全文で確認 — J-STAGE の PDF の全文(表 1、図 5・6)で読んだ。査読のある論文
試料
市販のピーマン。同じ 1 個を縦半分にし、それぞれを 16 等分してフライパンで乾煎り 10 分
焙煎
乾煎りのあと 70〜75 °C で 2 分混ぜる: プロセスチーズ(ピーマンの重さの 1/3)、ヨーグルト・牛乳・脱脂粉乳 10% 液(たんぱく質がピーマンの 7% になる量)、バター・なたね油(脂質がピーマンの 9% になる量)、水(牛乳と同じ重さ)。比べた相手はピーマンだけ。足した量は同じではない
抽出
該当しない(食べずに、においを嗅いで評価)
誰が・どの尺度で
東京家政大学の 20 代の女性 17 名。60 °C で 2 分温めたものを、足したもの→ピーマンだけの順に嗅ぎ、ピーマンだけを 0 とした −2〜+2 で評価。1 標本の t 検定(添加物どうしの差は検定していない)。におい成分(2-イソブチル-3-メトキシピラジン)は機器で 6 回。苦味は測っていない
測ったもの条件足したもの比べた相手単位向き・検定
青臭さ(におい)乾煎りしたピーマンに混ぜる: 植物油・バター・チーズ・牛乳・ヨーグルト 対 ピーマンだけ植物油 9・バター 9・チーズ 5・牛乳 7・ヨーグルト 4100(ピーマンだけ)空気中のにおい成分の相対値(%、6 回)比べた相手が高い
差の検定なし
脂質の少ない脱脂粉乳液は 31、水は 42(参考の区)。液体の乳製品はピーマンの約 2 倍の量(表 1 から計算)で、薄める効果が寄与した可能性は分けられない。足した量は添加物ごとに違う 原典の位置: 図 5・表 1
足すもので苦味が和らぐかの比較に: 使えない — においの成分で、苦味ではない
青臭さ(におい)乾煎りしたピーマンに混ぜる: 植物油・バター・チーズ・牛乳・ヨーグルト 対 ピーマンだけ植物油 −0.53・バター −1.53・チーズ −1.35・牛乳 −1.47・ヨーグルト −1.880(ピーマンだけ)−2〜+2 の平均(17 名、嗅いだだけ)比べた相手が高い
検定あり・有意
5 つとも有意に弱い。脱脂粉乳液(−0.12)と水(+0.47)は有意差なし。添加物どうしの差は検定していない。食べてはおらず、苦味は測っていない 原典の位置: 図 6
足すもので苦味が和らぐかの比較に: 使えない — においを嗅いだ評価で、苦味ではない

実験の中で確かめられたこと

同じ研究の中で、同じ評価者が条件を変えて比べた結果だけを書く。

結果の違いの説明の候補

研究のあいだ、または足したもののあいだで違う条件のうち、苦味の違いを説明しうるもの。 複数の条件が同時に違うので、どれが効いたかは分からない。ここに書くのは候補で、原因ではない。

分かっていないこと——この比較だけでは分けられないこと

研究と行の数え方

根拠の行の数は、研究の数ではない。表の行・台帳の根拠の行・論文・研究グループを分けて数える。

調べた範囲

この問いのために見た資料と、表に入れた・除いた理由、全文に当たれなかった資料を残す。 J-STAGE・CiNii・PubMed で、ピーマンの苦味やにおいを、油・マヨネーズ・卵・乳製品・加熱・切り方で比べた研究を探し、研究所の台帳にある資料と合わせた。

資料扱い理由
マヨネーズによる野菜の苦味低減効果 (2015) doi表に入れたマヨネーズと油で加熱調理した野菜の苦味を人が比べた。要旨だけ
マヨネーズを使った野菜調理の研究成果を発表 (2016)表に入れたピーマン液で卵黄・卵白・乳化・酢の違いを人が比べた。企業の発表の頁
深煎りごまドレッシングによるピーマンの苦味および臭いに対する低減効果 (2021) doi表に入れた炒めたピーマンでごまドレッシングと塩を人が比べた。要旨だけ
乳製品によるピーマン加熱臭の抑制効果 (2017) doi表に入れた査読のある全文。油・乳製品で加熱したピーマンのにおいが弱まった(苦味は測っていない)
マヨネーズによる野菜の苦味低減効果の検討 第2報 (2016) doi除いた同じ演題の大会要旨で、味認識装置の試験だけ。人の評価は企業の頁(表に入れた)にある
ピーマンの苦味を感じるメカニズムの一端を解明 同時に卵黄タンパク質がピーマンの苦味を抑制する可能性も示唆 (2024)除いた培養細胞の苦味受容体の試験で、人の評価ではない
タキイ種苗×お茶の水女子大学 共同研究成果「ピーマンの苦味成分」を解明 (2012)文脈の資料として見た(実験ではない)ピーマンの苦味はクエルシトリンの渋味とピラジンの香りの組合せ、という説明の資料。確認した本文には人数・統計の記載が無い
Studies on flavor and taste of green pepper Trial studies of childpipento (bitterness green pepper) for school lunch and SHOKUIKU (2013) doi除いた品種どうしの比較で、油や乳製品は扱っていない
緑および赤ピーマンの調理に関する研究 (1984) doi除いた加熱の方法ごとの好みの評価で、苦味の強さは評価の項目に無い
Taste intensities of ten vegetables commonly consumed in the Netherlands. (2016) doi全文に当たれない赤ピーマンで、全文に当たれない

図鑑で読む

出典台帳

表の各研究の出典は、研究ごとの欄からたどれる。研究所の全体の出典は出典台帳にまとめている。

この頁の引用のしかた

青木大(NIGAMI LAB)(2026). ピーマンの苦味は、油やマヨネーズ・乳製品で和らぐのか — 研究ごとの条件と結果. https://nigamilab.com/topics/pepper-oil/

主張ごとの固定リンクは各カードの #clm-… です。データは CC BY 4.0、配布は データを使う。 データセットの DOI: 10.5281/zenodo.22739101