広島県資料は核・オルガネラゲノム解析の査読論文を根拠に、八朔の種子親をポメロタイプ、花粉親を九年母とするが、当該論文本文でハッサクの親品種が明記された箇所を今回の調査では特定できなかった。原論文の表・付表まで確認すればこの帰属は裏付けられるのだろうか?
由来: 資料接続あり
注記: 広島県公開資料(JA広島果実連作成)が査読誌のゲノム解析論文を根拠として挙げている。
仮説は事実主張ではありません。面白さを探索の入口として保存し、これから資料・聞き書き・観察で確かめます。
食材
Citrus hassaku
八朔は、広島県尾道市因島原産とされる中晩柑。果汁・果皮にリモニン・ノミリン系のリモノイド配糖体を含む。ほろ苦さを持ち味とする柑橘として紹介される。
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丸ごとの果実と、半分に切って果肉を見せた八朔の断面。
写っているもの: Citrus hassaku部位・状態: 果実全体と横断面(果肉・じょうのう膜を含む)
写真: Froggieboy/ CC BY-SA 3.0/ 原画像/ 台帳の原画像
被写体の確認: 原典の記載による同定。ファイル名・説明文ともに Hassaku と明記。 画像を開き、丸ごとの果実と断面の両方で、厚い白皮と黄色い果肉を確認した。
掲載画像: Wikimedia Commons の原本と同寸。切り抜き・色調変更なし。 表示用には幅1200px上限のWebPを配信し、台帳の原画像は上のリンクから確認できます。
食材 / ingredient-hassaku
↑苦味を読む
八朔は日本原産の柑橘で、プチッとした食感と甘酸っぱさの中にほのかな苦みを持つ中晩柑と紹介される。広島県の公開資料が引く郷土史『因島柑橘史』によれば、1860年(万延年間)に因島(現・広島県尾道市因島)の浄土寺境内で恵徳上人が発見したのが起源とされ、1886年(明治19年)に旧暦8月1日ごろから食べられたことにちなみ「八朔」と命名されたという。ただし、この郷土史そのものは当ラボでは確認できておらず、あくまで孫引きの記録として扱う。
名前の由来については、住職が旧暦八月朔日に食べられると言ったことにちなむとされる一方で、実際に食べごろとなる時期とはずれがあり、由来の真偽は定かでないとも紹介されている。命名の伝承と実際の収穫・食用時期との食い違いが、資料自体によって指摘されている点は記録しておきたい。
果汁や果皮には、リモニン17-β-D-グルコピラノシドを主とする複数のリモノイド配糖体が含まれる。果汁中の全リモノイド配糖体量314ppmのうち148ppm(47%)がこのリモニン17-β-D-グルコピラノシドで、内果皮の乾燥品では3100ppm、外果皮の乾燥品では2300ppmに達したと報告されている。ただし、これらはグルコースが結合することで苦味が弱まった配糖体であり、苦味そのものを持つリモニン(アグリコン)とは別の形である。苦味官能との直接の対応づけは、この報告単独では確認できていない。
リモニン系のほかに、デアセチルノミリン酸・デアセチルノミリン・ノミリン・ノミリン酸・オバクノンといったノミリン系のリモノイド配糖体も、リモニン系とあわせて計6種検出されている。これらについても、苦味官能との直接の対応づけは確認されていない。
和歌山県の産品紹介資料は、八朔に特徴的な苦味はナリンギンというポリフェノールの一種の成分によるものであり、ナリンギンはじょうのう(中袋)に多く含まれるとしている。ただし、この記述は行政の産品紹介記事によるもので、実測データの提示はともなっていない。
八朔ってどんな柑橘?(広島ならではの商品開発ができる食材「八朔」のご提案)
この本文で確認した範囲: 因島発見・1886年命名という起源伝承の裏付けに用いた
この本文で確認した範囲: 命名由来と食べごろ時期のずれという記述の裏付けに用いた/苦味をナリンギンに帰属する県資料記述の裏付けに用いた
この本文で確認した範囲: リモニン系配糖体の含有量・比率の数値裏付けに用いた/ノミリン系配糖体5種の検出データの裏付けに用いた
別名: はっさく(ja)、Hassaku(en)
広島県資料は核・オルガネラゲノム解析の査読論文を根拠に、八朔の種子親をポメロタイプ、花粉親を九年母とするが、当該論文本文でハッサクの親品種が明記された箇所を今回の調査では特定できなかった。原論文の表・付表まで確認すればこの帰属は裏付けられるのだろうか?
由来: 資料接続あり
注記: 広島県公開資料(JA広島果実連作成)が査読誌のゲノム解析論文を根拠として挙げている。
仮説は事実主張ではありません。面白さを探索の入口として保存し、これから資料・聞き書き・観察で確かめます。
構造化された主張 — 節を開くと、主張ごとの確度・根拠・限界が読めます
範囲: ハッサク果実(果汁・内皮・外皮)、TLC・HPLC法による分析
注記: これらは苦味を持つリモニン(アグリコン)そのものではなく、グルコース抱合によって苦味が弱まった配糖体である点に注意。既存主張(compound-limoninの遅発性苦味)とは別の、成熟に伴う糖抱合による脱苦味方向のデータとして接続する。
ingredient-hassaku —contains→ compound-limonin範囲: ハッサク果実(果汁・内皮・外皮)、TLC・HPLC法による分析
ingredient-hassaku —contains→ compound-nomilin範囲: 和歌山県産品紹介ページの記述。
注記: 県資料は『八朔に特徴的な苦味は、ナリンギンというポリフェノールの一種の成分によるもの』とし、ナリンギンはじょうのう(中袋)に多く含まれるとする。健康効果(抗酸化・肥満予防・高血圧予防)に関する記述部分はこの研究所の収載対象外として除外した。行政の産品紹介記事であり実測データの提示はなく、研究プロトコルの薬用植物評価書等に準じてcontextualとする。
ingredient-hassaku —has_bitterness_attributed_to→ compound-naringin範囲: 同ページ。
ingredient-hassaku —has_historical_origin→ "日本原産の柑橘であり、プチッとした食感と甘酸っぱさの中にほのかな苦みを持つ中晩柑と記述される。"範囲: 愛媛県青果連の新品種開発センターで収穫・貯蔵したハッサクと川野ナツダイダイの果実(1981年10月〜1982年6月)。10個の果実を果皮(フラベド・アルベド)・じょうのう膜・果芯・種子・果肉に分けて分析
ingredient-hassaku —contains→ compound-naringin範囲: ハッサク果実(愛媛県)の部位別(果肉・じょうのう膜・種子・果皮)のリモニン・ノミリン。薄層クロマトグラフィーの二波長スキャナーで定量。採取は11月16日・1月18日・3月23日・5月17日
ingredient-hassaku —contains→ compound-limonin範囲: リーマー型試験搾汁機で搾ったハッサク・ナツミカン・川野ナツダイダイの果汁。高速液体クロマトグラフィーで定量。採取は12月28日から5月8日
ingredient-hassaku —contains→ compound-naringin範囲: 鹿児島大学農学部附属農場の12年生のハッサク2樹から、7月28日〜1月17日に約1か月おきに採った果実(M級10個を5個ずつ2反復)。果肉40 g・じょうのう膜10 gなどを塩化メチレンで抽出し、薄層クロマトグラフィーで定量
注記: 苦味物質としてのリモノイドの量で、官能評価ではない。著者は、ハッサクの苦味の一部はリモノイドに依存する可能性があるとし、ノミリンの苦味はリモニンより強いとする(先行研究の引用)。ナツミカンのじょうのう膜のリモノイドはハッサクと同じ変動の型で、含量はハッサクの方が約2倍とされる。
ingredient-hassaku —contains→ compound-limonin範囲: 伊藤農園(和歌山県、八朔果汁の業務用販売元)公式ページの商品説明
注記: 同ページは、碗型の器具で果肉部分のみを優しく搾り外皮・内皮の成分を果汁に含めない製法も説明している。外皮を含めない製法と記述されたほろ苦さの由来(果肉由来か残留外皮由来か)の関係は、ページ内では明示されていない。
ingredient-hassaku —is_presented_as→ "果汁は程よい甘みと酸味があり、独特のほろ苦さが特徴です"範囲: 和歌山県産ハッサクの果汁(10°Bx、還元果汁)と、合成吸着剤などでナリンギン・リモノイドを減らした果汁の官能検査
注記: 官能検査の方法(人数・手順・評価尺度)が本文に書かれていない。「ナリンギン50 mg%以下で苦味を感じなかった」は、吸着剤で処理した果汁での記述で、リモノイドも同時に減っている点に注意。リモノイドの閾値は糖度や酸の含量で変わると著者が述べる。
ingredient-hassaku —has_sensory_response→ "ハッサク果汁のリモニンは6.64 ppm、ノミリンは10.3 ppmで、官能検査では他のカンキツ果汁と比べて特別に強い苦味を感じた。著者は、ノミリンの苦味はリモニンの約2倍とする先行研究から、ハッサクの強い苦味はノミリンが多いことによると考えた。リモノイドの苦味は、2 ppmまでは感じず、4 ppmで少し苦く、6 ppm以上でかなり強い苦味になった。ナリンギンを減らした果汁では、50 mg%(mg%=100 g あたりの mg)以下で苦味を感じなかった。"範囲: 和歌山県産ハッサクをインライン搾汁機で搾り、APV型プレート式濃縮機で50°Bxに濃縮・冷凍した濃縮果汁を10°Bxに薄めた還元果汁と、生果汁を50〜90℃で1〜3分加熱した試験。ナリンギンは改変Davis法、リモニン・ノミリンは高速液体クロマトグラフィーで定量
注記: リモノイドの量の変化で、人が評価した苦味の変化ではない。著者は、果汁に含まれる無味のリモニンモノラクトンが加熱や酸と熱の処理でリモニンになるためと、先行研究(Maierら)を引いて説明するが、この点は自分たちの実験では確かめておらず、さらに検討するとする。ナリンギンは原料果実から搾った果汁で75.0 mg%(10°Bx換算)が還元果汁で102.2 mg%に増えており、原典は、果汁中のナリンギンが原料果実より40%多かったことを、果肉の磨砕でナリンギンが果汁に移るという先行の報告(真部ら・間苧谷ら)と同様の結果とし、加熱の影響ではない。果汁の加熱であり、果肉や果皮を煮る下処理には当てはまらない。
ingredient-hassaku —was_observed_with→ "ハッサク果汁のリモノイド(リモニンとノミリン)は、加熱で急に増えた。インライン搾汁機で搾った果汁を濃縮した還元果汁のリモノイドは16.64 ppmで、果実から搾ったままの果汁(10°Bx換算で2.19 ppm)の約8倍になり、生果汁を70℃・90℃で1分加熱すると、無加熱の3.7倍・5.7倍に増えた(50℃では変化がほとんどなかった)。ナリンギンは加熱の影響をほとんど受けなかった。"範囲: 広島県公開資料(JA広島果実連作成)が引く『因島柑橘史』(岡野周蔵著)の記述
ingredient-hassaku —has_discovery_history→ "1860年(万延年間)、因島(現広島県尾道市因島田熊町)の浄土寺境内で恵徳上人が発見したのが起源とされる。1886年(明治19年)に旧暦8月1日(八朔)ごろから食べられたことにちなみ「八朔」と命名された。"範囲: 同ページの来歴説明。
注記: 地名由来の伝承の記録。史料による裏付けは同ページからは確認できない。
ingredient-hassaku —has_name_etymology→ "広島市因島の寺で発見され、住職が旧暦八月朔日(9月初め頃)に食べられると言ったことから命名されたとされるが、実際の食べ頃の時期とはずれがあり、由来の真偽は定かでないとされる。"