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化合物

ナリンギン

naringin

ナリンギンは、一部の柑橘果実の苦味に関連するフラバノン配糖体。

写真で見る

ピンク色を帯びたグレープフルーツの果実が別アングルで写っている写真

グレープフルーツ(Citrus paradisi)の果実。naringin は柑橘果実の苦味に関連するフラバノン配糖体で、name の由来でもあるグレープフルーツを代表的な給源として撮影した写真である。

原料写っているもの: Citrus paradisi(グレープフルーツ)部位・状態: 果実(外観、別アングル)

写真: א (Aleph)/ CC BY-SA 2.5/ 原画像/ 台帳の原画像

写真の範囲と来歴

被写体の確認: 原典の記載による同定。compound-limonin と同一撮影者の別アングル写真(Commons上の別ファイル)。ingredient-grapefruit-juice で使用した写真とも別ファイル。

掲載画像: Wikimedia Commons の原寸ファイル。苦味研究所では切り抜き・色調変更なし。 表示用には幅1200px上限のWebPを配信し、台帳の原画像は上のリンクから確認できます。

説明を読む ↓

化合物 / compound-naringin

このページの内容(11 節)
  1. 説明
  2. この説明の根拠(4)
  3. 主題ハブ
  4. 関連をたどる
  5. 関連項目(10)
  6. 実測値(5)
  7. 仮説採集箱(1)
  8. 組成・含有(15)
  9. 感覚(4)
  10. 機構・受容体(1)
  11. 加工・調理でどう変わる(3)
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苦味を読む

ナリンギンは柑橘類、なかでもグレープフルーツに含まれるフラバノン配糖体で、リモニンと並びカンキツの二大苦味化合物のひとつに数えられる。薄皮とアルベド(白い部分)から果汁へ溶け出すとされ、多くのグレープフルーツ製品で口に入れた瞬間に感じる苦味の主な担い手とされてきた。ただし存在量や重要性は柑橘の種や製品によって異なり、一律の値ではない。

苦味を感じ始める濃度(認知閾値)は、蒸留水中ではおよそ20 mg/Lと報告される。ジュースについては、別の資料が濃度20 ppmを超えると即時性の苦味が生じると記す。この値は柑橘の脱苦味に関する研究の中で引用されたもので、独立した官能測定として直接確かめられたものではない。

ナリンギンとグレープフルーツの苦味は長らく密接に結びつけられてきたが、遺伝子研究をたどると、ナリンギンは試験管内で苦味受容体の一種であるTAS2R19を活性化させないことが確認されている。グレープフルーツ嗜好の遺伝学で示唆される別の受容体TAS2R31についても、検証されたのはキニーネの苦味であってナリンギンではない。ナリンギン自体が苦いことに疑いはないが、その苦味を担う受容体の基盤は、この文献群の範囲では未解決のままである。

この説明の根拠

  1. Citrus Taste Modification Potentials by Genetic Engineering

    Li LJ; Tan WS; Li WJ; Zhu YB; Cheng YS; Ni H / 2019 / レビュー論文 / 全文確認

    この本文で確認した範囲: 苦味化合物としての位置づけと果汁への移行を確認した

  2. Grapefruit Debittering by Simultaneous Naringin Hydrolysis and Limonin Adsorption Using Naringinase Immobilized in Agarose Supports

    Munoz M; Holtheuer J; Wilson L; Urrutia P / 2022 / 学術論文 / 全文確認

    この本文で確認した範囲: 薄皮とアルベドから果汁へ移る経路を確認した/ジュース中20 ppm超で即時苦味が生じる記述を確認した

  3. Effect of some citrus juice constituents on taste thresholds for limonin and naringin bitterness

    Guadagni DG; Maier VP; Turnbaugh JG / 1973 / 学術論文 / 抄録確認

    この本文で確認した範囲: 蒸留水中の認知閾値20 mg/Lの数値を確認した

  4. Quinine Bitterness and Grapefruit Liking Associate with Allelic Variants in TAS2R31

    Hayes JE; Feeney EL; Nolden AA; McGeary JE / 2015 / 学術論文 / 全文確認

    この本文で確認した範囲: TAS2R19を活性化しない試験管内結果と受容体未解決の記述を確認した/TAS2R31はキニーネで検証されナリンギンではない対比を確認した

関連をたどる

ナリンギン →と関連する→ 苦味 →と分けて測定できる→ 渋味

グレープフルーツの白皮 →含む→ ナリンギン

夏みかん →含む→ ナリンギン

実測値(5)

種別化合物対象値条件出典
ヒト認知閾値ナリンギン—20 mg/L蒸留水Guadagni DG, 1973
含有濃度ナリンギンカムサイン(cam sành)の果皮16.58 mg/100 g未処理cam sành果皮(Table 2。)Nguyễn Đức Tùng, 2023
含有濃度ナリンギンカムサイン(cam sành)の果皮3.70 mg/100 g100 ppm NaOHで2分ブランチ+1時間浸漬後(家庭向け処理条件ではない。)Nguyễn Đức Tùng, 2023
含有濃度ナリンギンザボンの白皮18.90 mg/g DW未処理Kao Nampungポメロアルベド(Table 3。)Jaroennon Pattamaporn, 2025
含有濃度ナリンギンザボンの白皮5.1395 mg/g DW0.7% β-CD+超音波処理(Table 3。)Jaroennon Pattamaporn, 2025

値は各出典の報告値そのまま(単位・条件を併記)。閾値・EC50はパネル・手法依存で、単一の真値ではありません。

仮説採集箱(1)

日本の中晩柑(八朔・晩白柚・甘夏・夏みかん)のナリンギン含量を同一手法で比較した学術資料はあるのか?編集仮説

八朔については行政の産品紹介ページが苦味をナリンギンに帰属させる記述を持つ一方、晩白柚・甘夏・夏みかんについては、今回の調査の調査では、苦味成分の含量を実測した政府・学術資料に到達できず、産地の観光・販売サイトの記述(実測データを伴わない)しか見つからなかった。晩白柚については逆に『グレープフルーツのような苦みがない』とする記述もあり、品種間の苦味の強弱を同一手法で比較した資料が存在すれば、日本の中晩柑の苦味の系統だった整理に使える。そのような比較研究はあるのだろうか?

由来: 編集部が立てた問い

注記: 今回の調査(苦い果物の分類論)の日本産中晩柑調査で、八朔以外は産地紹介記事の域を出る資料に到達できなかったため、見送りリストの記録として編集部が抽出。

仮説は事実主張ではありません。面白さを探索の入口として保存し、これから資料・聞き書き・観察で確かめます。

仮説採集箱をすべて見る →

構造化された主張 — 節を開くと、主張ごとの確度・根拠・限界が読めます

組成・含有(15)

グレープフルーツの白皮はナリンギンを含む文脈資料

範囲: グレープフルーツの膜・アルベドから果汁へ移るナリンギンの文献統合

注記: 既存研究の序論による二次記録。白皮の固定含量ではない。

文脈: ナリンギンはグレープフルーツの膜とアルベドから果汁へ抽出され、即時的苦味に関わると整理される。
限界: 一次分布測定ではなく二次引用。白皮の固定濃度を示さない。
データを表示ingredient-grapefruit-pith —contains→ compound-naringin
claim: clm-grapefruit-pith-naringin / type: composition / 更新: 2026-08-31
夏みかんはナリンギンを含む支持あり

範囲: 夏ミカン一次果汁の実測(日本柑橘工業KK八幡浜工場、3月中旬製造分)

注記: 1962年の分析。搾汁段階(1番/2番)で含量が倍以上異なる点に注意。

夏ミカンの1次果汁(グルコース2.6%、ショ糖2.6%、クエン酸2.9%、pH2.9)でナリンギン75.2mg%、2番果汁(糖5.1%、pH2.9)で156mg%と実測。
限界: 産地・品種の系統情報は本文に明記されていない(『夏ミカン』としてのみ記載)。
出典: ナリンギン分解酵素による夏ミカン果汁の苦味除去(中林敏郎, 1962)・全文確認
データを表示ingredient-natsumikan —contains→ compound-naringin
claim: clm-w40b-natsumikan-naringin-content / type: composition / 更新: 2026-09-02
甘夏はナリンギンを含む支持あり

範囲: 熊本県産業技術センター2005~2007年度研究、8品種比較

川野夏ダイダイ・大橘・河内晩柑・晩白柚は果汁・果皮にナリンギン・リモニンを多く含む『苦味系』とされ、温州ミカン・ポンカン・不知火・スイートスプリングは非苦味系(ナリルチン・ヘスペリジン中心)に分類された。加熱処理による苦味成分の含量変化はないが、加熱臭は温州ミカンで最強、川野夏ダイダイで最弱だった。
限界: 公開情報は要約レベルで、具体的な定量値(mg%等)や分析手法の詳細は原報を確認できていない。加熱臭の評価が定量的官能評価か記述的評価かも今回の調査では確認できていない。
出典: カンキツ類の苦味成分と加熱による臭いの変化(熊本県産業技術センター, 2008)・全文確認
データを表示ingredient-amanatsu —contains→ compound-naringin
claim: clm-w40b-amanatsu-naringin / type: composition / 更新: 2026-09-02
晩白柚はナリンギンを含む支持あり

範囲: 熊本県産業技術センター2005~2007年度研究、8品種比較

晩白柚は川野夏ダイダイ・大橘・河内晩柑とともに果汁・果皮にナリンギンを多く含む『苦味系』に分類された。
限界: 定量値は未確認(有無の分類のみ)。
出典: カンキツ類の苦味成分と加熱による臭いの変化(熊本県産業技術センター, 2008)・全文確認
データを表示ingredient-banpeiyu —contains→ compound-naringin
claim: clm-w40b-banpeiyu-naringin / type: composition / 更新: 2026-09-02
河内晩柑はナリンギンを含む支持あり

範囲: 熊本県産業技術センター2005~2007年度研究、8品種比較

河内晩柑は川野夏ダイダイ・大橘・晩白柚とともに果汁・果皮にナリンギンを多く含む『苦味系』に分類された。
限界: 定量値は未確認(有無の分類のみ)。
出典: カンキツ類の苦味成分と加熱による臭いの変化(熊本県産業技術センター, 2008)・全文確認
データを表示ingredient-kawachi-bankan —contains→ compound-naringin
claim: clm-w40b-kawachibankan-naringin / type: composition / 更新: 2026-09-02
八朔の苦味の帰属先: ナリンギン文脈資料

範囲: 和歌山県産品紹介ページの記述。

注記: 県資料は『八朔に特徴的な苦味は、ナリンギンというポリフェノールの一種の成分によるもの』とし、ナリンギンはじょうのう(中袋)に多く含まれるとする。健康効果(抗酸化・肥満予防・高血圧予防)に関する記述部分はこの研究所の収載対象外として除外した。行政の産品紹介記事であり実測データの提示はなく、研究プロトコルの薬用植物評価書等に準じてcontextualとする。

「八朔に特徴的な苦味は、『ナリンギン』というポリフェノールの一種の成分によるもの」「『ナリンギン』はじょうのう(中袋)に多く含まれ」と記述。
限界: 実測データの提示はなく、行政の産品紹介記事としての記述にとどまる。健康効果部分は収載対象外として除外。
出典: わかやま食材テロワール「八朔(はっさく)」(和歌山県 農林水産部 農林水産政策局 食品流通課)・全文確認
データを表示ingredient-hassaku —has_bitterness_attributed_to→ compound-naringin
claim: clm-hassaku-bitterness-naringin / type: composition / 更新: 2026-09-02
夏みかんはナリンギンを含む支持あり

範囲: 夏みかん(湯河原産)1試料の部位別分析。四つ割りにして果皮と果実に分け、果皮は外側約1/3を外果皮、残り約2/3を内白部とした。薄層クロマトグラフィーで分けて蛍光で定量

注記: 苦味の官能評価ではなく、苦味物質とされるナリンギンの量の分布である(本文は、ナリンギンを苦味物質の一つとして、マーマレード作りで除くことを重要と述べる)。部位別の値は各1点で、果実の個数と反復は本文に記載がない。同じ夏みかんの別の研究(別所ほか1964)は比色法でアルベド・じょうのうを約1300 mg%、外皮(フラベド)を約360 mg%とし、順序は同じだが数値は異なる。

第2表は夏みかんの各部位のナリンギン量を、外果皮436、内白部1105、ひょうのう833、果汁52、残渣264(いずれもmg%)と示す。内白部とひょうのうが多く、果汁が最も少ない。
限界: 反復と個体数の記載がない。1971年の方法で、現在の高速液体クロマトグラフィーによる値とは直接比べられない。
出典: マーマレード作製中のナリンギン量の変化について(諸星俊雄; 菅原龍幸, 1971)・全文確認
データを表示ingredient-natsumikan —contains→ compound-naringin
claim: clm-hnprep-natsumikan-naringin-parts-morohoshi-1971 / type: composition / 更新: 2026-10-13
八朔はナリンギンを含む支持あり

範囲: 愛媛県青果連の新品種開発センターで収穫・貯蔵したハッサクと川野ナツダイダイの果実(1981年10月〜1982年6月)。10個の果実を果皮(フラベド・アルベド)・じょうのう膜・果芯・種子・果肉に分けて分析

本文は、部位別にみるとナリンギン含量はじょうのう膜・果芯およびアルベドで300〜1200 mg/100 gときわめて多く、フラベドおよび果肉では100 mg/100 g以下と少なかったとし、いずれの部位でも果実の成熟に伴い減少したとする。表2(HPLC)のハッサクは、果肉24・種子26・じょうのう膜1152・果皮720・果汁12 mg/100 gである。
限界: ハッサク単独の部位別の数値は表2に1組あり(採取日の記載なし)、時期別の値は図のみ。本文の300〜1200 mg/100 gは川野ナツダイダイとの合わせた記述。苦味の官能評価なし。
出典: 柑橘果実の苦味物質の含量と時期別変化(福谷敬三; 宮本等, 1983)・全文確認
データを表示ingredient-hassaku —contains→ compound-naringin
claim: clm-hnprep-hassaku-naringin-parts-fukutani-1983 / type: composition / 更新: 2026-10-13
八朔はナリンギンを含む支持あり

範囲: リーマー型試験搾汁機で搾ったハッサク・ナツミカン・川野ナツダイダイの果汁。高速液体クロマトグラフィーで定量。採取は12月28日から5月8日

Table 3のHassakuはDec.28で17.5、Feb.5で17.0、Mar.9で12.3、Apr.19で9.6、May8で8.4 mg/100 g。本文は、5月のナリンギン含量は12月に比べて37〜52%の減少がみられ、品種別には多い順にナツミカン、川野ナツダイダイ、ハッサクであったとする。
限界: 果汁のみ。官能評価なし。
出典: 柑橘果実の苦味物質の含量と時期別変化(福谷敬三; 宮本等, 1983)・全文確認
データを表示ingredient-hassaku —contains→ compound-naringin
claim: clm-hnprep-hassaku-juice-naringin-season-fukutani-1983 / type: composition / 更新: 2026-10-13
夏みかんはナリンギンを含む支持あり

範囲: リーマー型試験搾汁機で搾ったナツミカン果汁。高速液体クロマトグラフィーで定量。採取は12月28日から5月8日。表では品種名がNatsudaidaiと書かれ、本文はナツミカンと呼ぶ

Table 3のNatsudaidaiはDec.28で38.2、Feb.5で34.0、Mar.9で30.0、Apr.19で30.1、May8で24.0 mg/100 g。本文は、ナリンギン含量は多い順にナツミカン、川野ナツダイダイ、ハッサクであったとする。
限界: 果汁のみ。官能評価なし。
出典: 柑橘果実の苦味物質の含量と時期別変化(福谷敬三; 宮本等, 1983)・全文確認
データを表示ingredient-natsumikan —contains→ compound-naringin
claim: clm-hnprep-natsumikan-juice-naringin-season-fukutani-1983 / type: composition / 更新: 2026-10-13
夏みかんはナリンギンを含む支持あり

範囲: 愛媛県松山市の農園の夏みかん1本の木から2〜3月に採った果実。各部位を細切して5倍量の水で磨砕し、沸騰浴中で30分加熱したろ液を、中林の改変Davis法(420 nmの比色)で定量

注記: 苦味の官能評価ではなく、苦味物質とされるナリンギンの量の分布である(本文は夏みかんの苦味がおもにナリンギンによるとして述べる)。果実ごとの差が大きく、果汁中は1.5〜1.8倍の幅があった。4月6日の採取ではアルベドが869 mg%、じょうのうが978 mg%と低く、アルベド・じょうのうから外側で急に減った(5個の平均で、著者は試料数を増やさないと確実ではないとする)。比色法は他のフラボノイド等も拾うため、HPLCより高く出ると福谷・宮本(1983)が指摘する。

第1表の5個体の平均は、フラベド364、アルベド1323、じょうのう1311、果肉88、果汁29(mg%)。本文は、アルベド・じょうのうの濃度が他の部分と比較してきわめて高く、両者とも1,300 mg%前後で、ついでフラベド、果肉、果汁の順に低くなるとし、要約はアルベド・じょうのうで1,300 mg%程度、ついでフラベドで400 mg%程度、果肉部が最も少なく100 mg%程度とする。
限界: 1本の木の果実。比色法は選択性が低い。官能評価なし。
出典: 夏ミカン利用に関する研究(第1報)(別所康守; 真部孝明; 児玉雅信; 久保進, 1964)・全文確認
データを表示ingredient-natsumikan —contains→ compound-naringin
claim: clm-hnprep-natsumikan-naringin-parts-bessho-1964 / type: composition / 更新: 2026-10-13
夏みかんはナリンギンを含む支持あり

範囲: 愛媛県松山市の農園の夏みかん1本の木の果実。じょうのうをむいた果肉の砂じょうを、柄・中央部・先端部に分け、改変Davis法で定量。果汁は注射針で抜き取った

注記: 苦味の官能評価ではなく、ナリンギンの量の分布である。著者は、苦味を除くには果汁部へ移さずに柄と膜からナリンギンを除く方法をとれば、ほとんど完全に苦味を除けると考えられ、むいた果肉からは腹の側より背の側から除く方が効果的だろうと推察している(推察であり、実験で確かめたものではない)。濃度の数値は比色法による。

本文は、新鮮物換算のナリンギン濃度は柄の部分が圧倒的に高く、ついで中央部、先端部の順に低下し、柄の部分は重量割合では全体の2%程度にすぎないがナリンギン含有量は約40%を占めるとする。注射針で抜いた果汁は5〜10 mg%で、砂じょう全ナリンギン濃度はこの果汁の10〜14倍とするが、表11の6試料の比は6.2・9.6・10.3・13.7・9.7・13.8(平均10.0)。要約は、1果粒のうちでは両端より中央部、腹部より背部の含量が高く(前者は要約が1.2〜1.3倍とするが、本文は1.2〜1.4倍、表7の比は1.21・1.40・1.18・1.41。後者は1.8〜2.4倍)、砂じょう部では柄の部分の濃度が圧倒的に高く他の部分の30倍程度であるとする。
限界: 比色法。苦味の官能評価なし。柄が占める割合は本文の記述で、表の数値は画像で読んでいない。
出典: 夏ミカン利用に関する研究(第1報)(別所康守; 真部孝明; 児玉雅信; 久保進, 1964)・全文確認
データを表示ingredient-natsumikan —contains→ compound-naringin
claim: clm-hnprep-natsumikan-juice-sac-stalk-naringin-bessho-1964 / type: composition / 更新: 2026-10-13
甘夏の組成: ナリンギン支持あり

範囲: 川野系ナツダイダイの果肉(砂じょう)・じょうのう・果皮のナリンギンを、完全磨砕後に水で抽出した分と、磨砕後加熱して全量を出した分で比べた

注記: 夏みかんのナリンギンの40〜70%が不溶型・結合型で、加熱で可溶化するという従来の説明(中林の説。津坂1965が引用)とは異なる結果である。別所ほか・真部ほか(1964、夏みかん)も、磨砕だけで加熱後の90%以上が溶け出し、不溶型・結合型は一部とした。

日本語の摘要は「果汁及びじょうのう」と書くが、本文(p.547)と表1、英文摘要(pulp segment)は果肉(砂じょう)とじょうのうで不溶型ナリンギンは全く認められなかったとし、すべてが可溶型ナリンギンであった。果皮の場合には4.0%の不溶型ナリンギンが存在したが、これが真の不溶型なのか、なお果皮の磨砕が不充分であったためなのか判然としなかったとし、いずれにせよ果実中の大半のナリンギンは水溶性と思われるとする。
限界: 果皮の4.0%の扱いが不確か。本文の表の数値は読み取っていない。 日本語の摘要の「果汁」は本文・表・英文摘要の「果肉」と食い違う。本主張は本文・表に従う。
出典: カンキツの苦味に関する研究(間苧谷徹; 長谷嘉臣; 松本亮司, 1979)・全文確認
データを表示ingredient-amanatsu —has_composition→ compound-naringin
claim: clm-hnprep-amanatsu-naringin-mostly-soluble-maotani-1979 / type: composition / 更新: 2026-10-13
夏みかんの苦味の帰属先: ナリンギン文脈資料

範囲: 夏みかんのシロップ漬け缶詰の製造試験(野村ほか1963)の緒言。割合の根拠となる測定値は本文に示されない

注記: 「80%・20%」は著者の概算で、その出典や測定は本文に書かれていない。苦味の官能評価による割合ではない。1963年の見積りである。

文脈: 緒言は、夏みかんにはフラボノイド系とリモノイド系との2種の苦味が含まれ、苦味のうちフラボノイドとリモノイドの占める割合は大体前者が80%、後者が20%といったところで、前者のほうが後者よりも大きい障害を与えているようであるとし、前者を水解する酵素ナリンギナーゼが日本でも製造されるようになったとする。
限界: 根拠となる数値の提示がない。
出典: 柑きつ果の完全利用に関する研究(第1報)(野村男次; 秋山圭司; 新本三郎; 串山勇哲, 1963)・全文確認
データを表示ingredient-natsumikan —has_bitterness_attributed_to→ compound-naringin
claim: clm-hnprep-natsumikan-bitterness-share-nomura-1963 / type: composition / 更新: 2026-10-13
夏みかんはナリンギンを含む支持あり

範囲: 広島産のナツミカンの果肉(砂じょう)。果肉の外側部・中心部・中間部と、砂じょうの果汁貯蔵部・柄部に分け、水に短時間浸して溶け出すナリンギンと全ナリンギンを改変Davis法で測った

注記: ナリンギンの量の分布で、苦味の官能評価ではない。生果では全ナリンギンのうち、果汁貯蔵部で約1/3、柄部で約1/4が短時間の水浸しで溶け出し、凍結後は果汁貯蔵部で約2/3、柄部で約1/3が溶け出した。夏みかんの砂じょうの柄に高濃度のナリンギンがあるという点は、別所ほか(1964、柄で約1.4%)と一致する。数値は表7〜9と本文で確認した。じょうのう皮の溶出量(290と219 mg/100 g)は表7と表9で別の試験の値で、じょうのう皮と果肉を水に短時間浸したときに溶け出す量であり、含有量ではない。

表7は凍結前の溶出量が果肉の内側7.8・中間18.0・外側45.0、じょうのう皮290 mg/100 gとし、表9は果肉13.5、じょうのう皮219 mg/100 gとする。本文は、第8表は砂じょうを果汁貯蔵部と柄部に分けて測定した結果で、全ナリンギン含量は前者で29 mg/100 gに対し後者の柄部では419 mg/100 gにおよび、溶出量もこれに対応して柄部で非常に多いとし、果肉の部位の相違による溶出量の差は非常に大きく、生果では外側部からの溶出量は中心部の6倍程度にも達し、じょうのうからの溶出量は果肉に比べて非常に大きいとする。
限界: 比色法。溶出量は短時間の水浸しという特定の条件の値。苦味の官能評価は別の主張。
出典: ナツミカン果実の凍結による苦味の増大について(岩田隆; 緒方邦安, 1976)・全文確認
データを表示ingredient-natsumikan —contains→ compound-naringin
claim: clm-hnprep-natsumikan-juice-sac-stalk-naringin-iwata-1976 / type: composition / 更新: 2026-10-13

感覚(4)

ナリンギンは苦味と関連する支持あり

範囲: 該当する柑橘製品では多くの場合、即時性の苦味寄与

注記: 存在量と重要性は柑橘の種と製品により異なる。

ナリンギンをカンキツの二大苦味化合物の一つとして挙げ、この課題を非常に強い苦味と結びつけている。
限界: 種および製品の特異性については一次資料が必要である。
出典: Citrus Taste Modification Potentials by Genetic Engineering(Li LJ; Tan WS; Li WJ; Zhu YB; Cheng YS; Ni H, 2019)・抄録確認
限定: ナリンギンとリモニンは「long known to play a key role in the bitterness of grapefruit」であるにもかかわらず、ナリンギンはin vitroでTAS2R19を活性化せず、グレープフルーツ嗜好の遺伝学で示唆される受容体(TAS2R31)はナリンギンではなくキニーネで検証されている; ナリンギン知覚の受容体レベルの基盤は、この文献系列では未解決のままである。
限界: ナリンギンが苦いこと自体を争うものではない; グレープフルーツ苦味の受容体レベルの帰属を、特性解析済みのいずれか単一のTAS2Rに限定できないとするもの。
出典: Quinine Bitterness and Grapefruit Liking Associate with Allelic Variants in TAS2R31(Hayes JE; Feeney EL; Nolden AA; McGeary JE, 2015)・全文確認
データを表示compound-naringin —is_associated_with→ sensation-bitter
claim: clm-citrus-naringin / type: sensory / 更新: 2026-08-30
ナリンギンの苦味認知閾値: 蒸留水中 20 mg/L。ジュースでは約 20 ppm を超えると即時性の苦味が生じると記述される支持あり

範囲: 水中の値は選抜パネル20〜27名による。ジュースに関する記述は同じ系譜を引用する脱苦味文献に由来

蒸留水中のナリンジン閾値は 20 mg/l。ナリンジン苦味抑制の明確な pH 最適点は報告されなかった(リモニンの最適点は pH 3.8)。
限界: 抄録のみ。ジュースマトリックスでのナリンジン閾値は読める抄録に記載がない。
出典: Effect of some citrus juice constituents on taste thresholds for limonin and naringin bitterness(Guadagni DG; Maier VP; Turnbaugh JG, 1973)・抄録確認
文脈: ナリンギンは膜とアルベドから果汁中に抽出され、濃度が 20 ppm を超えると即時的な苦味を与えると記述している。
限界: 二次引用(出典本文に 'narinigin' の誤記あり)。独立した官能測定ではない。
データを表示compound-naringin —has_bitter_recognition_threshold→ "蒸留水中 20 mg/L。ジュースでは約 20 ppm を超えると即時性の苦味が生じると記述される"
claim: clm-naringin-threshold / type: sensory / 更新: 2026-08-30
グレープフルーツジュースの知覚苦味を抑えるもの: ナリンギン支持あり

範囲: 層: 溶液。実際のグレープフルーツ果汁ではなく、色・アロマ・ナリンギン濃度・ショ糖濃度を要因として組んだモデル飲料。訓練パネル16名の記述的分析、および消費者パネル90名(女性、18-24歳)の受容性評価。

注記: 樹脂吸着・ナリンギナーゼ以外の「甘みで苦味を和らげる」家庭的手段の裏付けだが、モデル系の結果であり実飲料での再現性は別途要確認。

本文引用: "Sour, bitter, astringent, and bitter aftertaste intensities decreased as the sweet level increased, while sweetness increased."。ナリンギン濃度158/315/473 mg/kgをそれぞれ固定した系列内で、ショ糖濃度8/10/12 Brixの増加に伴い苦味関連の官能属性が一貫して低下した。
限界: 実際のグレープフルーツ果汁ではなくモデル飲料での結果。消費者パネルは女性・若年層(18-24歳)に限定。
データを表示ingredient-grapefruit-juice —has_perceived_bitterness_suppressed_by→ compound-naringin
claim: clm-w68c-grapefruit-sucrose-reduces-bitterness-model / type: sensory / 更新: 2026-09-06
ナリンギンの苦味認知閾値: 果汁入り清涼飲料に似たモデル液(糖度12°Bx・酸0.45 g/100 g・ビタミンC 30 mg/100 g・pH 3.5)にナリンギンを溶かすと、パネルの50%が苦味を感じる最低濃度は8 mg/100 g、100%が感じる最低濃度は20 mg/100 gであった(2〜20 mg/100 gの範囲)。ナリンギンの苦味は、感じた後は比較的早く消えた。支持あり

範囲: 研究員10名のパネル、2回繰り返し、極限法の上昇系列(低い濃度から順に5 mLを口に含み、苦味を感じる濃度を答える)。精製した市販ナリンギンを使用

注記: モデル液の値で、蒸留水中の値(研究所に既にある Guadagni ほか1973、20 mg/L=2 mg/100 g)より高いが、本文は苦味が甘味・酸味の影響を受けるとされると述べる。本文は個人差が大きく、苦味を感じやすい人と感じにくい人がいたと記す。累積割合の表(Table 6)では8 mg/100 gが50%、10が60%、12が70%、15が80%、20が100%。

本文は、パネルの50%が苦味を感じる最低濃度はナリンギンでは8 mg/100 g、パネルの100%が苦味を感じる最低濃度は20 mg/100 gであったとし、ナリンギンは感知後苦味が比較的早く消えるとする。Table 6の累積割合は、4 mg/100 gで10%、6で40%、8で50%、10で60%、12で70%、15で80%、20で100%。
限界: パネルは研究員10名と小さい。果汁や果実そのものの評価ではなく、モデル液の閾値。
出典: 柑橘果実の苦味物質の含量と時期別変化(福谷敬三; 宮本等, 1983)・全文確認
データを表示compound-naringin —has_bitter_recognition_threshold→ "果汁入り清涼飲料に似たモデル液(糖度12°Bx・酸0.45 g/100 g・ビタミンC 30 mg/100 g・pH 3.5)にナリンギンを溶かすと、パネルの50%が苦味を感じる最低濃度は8 mg/100 g、100%が感じる最低濃度は20 mg/100 gであった(2〜20 mg/100 gの範囲)。ナリンギンの苦味は、感じた後は比較的早く消えた。"
claim: clm-hnprep-naringin-bitter-threshold-fukutani-1983 / type: sensory / 更新: 2026-10-13

機構・受容体(1)

ナリンギンはin vitro での TAS2R19(Arg299 および Cys299 バリアント)を活性化しない支持あり

範囲: 遺伝子関連研究で引用された異種 in vitro 受容体アッセイ。リモニンも同様に活性化しなかったと記載される

ナリンジンとリモニンは 'each failed to activate the Arg299 or the Cys299 variants of the TAS2R19 receptor in vitro' であり、TAS2R19 は既知リガンドのないオーファン受容体のままであると述べる。
限界: 二次的な記述。一次の in vitro アッセイ論文は今回の調査では読んでいない。
出典: Quinine Bitterness and Grapefruit Liking Associate with Allelic Variants in TAS2R31(Hayes JE; Feeney EL; Nolden AA; McGeary JE, 2015)・全文確認
データを表示compound-naringin —does_not_activate→ "in vitro での TAS2R19(Arg299 および Cys299 バリアント)"
claim: clm-naringin-tas2r19-negative / type: mechanism / 更新: 2026-08-30

加工・調理でどう変わる(3)

柑橘ジュースのナリンギナーゼ酵素脱苦味はナリンギンを低減する支持あり

範囲: グレープフルーツ果汁、ナリンギナーゼ固定化アガロース担体(オクチル-グリオキシルアガロース)による処理

注記: 当該担体での処理によりナリンギン濃度が74%減少したと報告される。

オクチル-グリオキシルアガロース担体に固定化したナリンギナーゼによる処理で、グレープフルーツ果汁中のナリンギン濃度が74%減少したと報告される。
限界: 実験室規模の処理であり、商用ラインでの適用実績は本論文からは確認できない。
データを表示process-citrus-enzymatic-naringinase-debittering —reduces→ compound-naringin
claim: clm-w51-naringinase-reduces-naringin / type: processing / 更新: 2026-09-03

範囲: 層: 食品。Kao Nampungポメロ中果皮粉末、β-CD 0.0/0.3/0.5/0.7/0.9%(w/v)を超音波処理あり・なしの各条件で比較(n=3、一元配置ANOVA・Tukey検定)。

"At 0.3%, the naringin and limonin concentrations decreased to 14.90 and 0.2231 mg/g, respectively... At 0.5%, the values declined to 10.86 mg/g (naringin) and 0.1537 mg/g (limonin)... The lowest concentrations were found at 0.7CyUAP (5.14 mg/g of naringin, 0.0776 mg/g of limonin) with minimal sensory bitterness (1.31 ± 0.47). No significant differences were observed between the 0.7CyUAP and 0.9CyUAP treatments." Table 3の各条件値: 0.3Cy 14.8977/0.2231mg/g・苦味4.61、0.3CyUAP 13.4079/0.1897mg/g・苦味3.69、0.5Cy 10.8564/0.1537mg/g・苦味2.95、0.5CyUAP 9.5546/0.1337mg/g・苦味2.36、0.7Cy 8.0219/0.0996mg/g・苦味1.39、0.9Cy 5.8501/0.0779mg/g・苦味1.41、0.9CyUAP 5.1358/0.0784mg/g・苦味1.35。
限界: 官能評価の尺度定義(Methods)と表中数値の不整合は既存clm-pomelo-albedo-scale-limitが指摘済み。 本文の "No significant differences were observed between the 0.7CyUAP and 0.9CyUAP treatments." と Table 3 の上付き文字(0.7CyUAP=f, 0.9CyUAP=g)が資料内部で食い違う。
出典: Postprandial Glucose Reduction by Pomelo Albedo Treated with β-Cyclodextrin and Ultrasound(Jaroennon Pattamaporn; Nuanchankong Jutawan; Parnklang Tewarak; Manakla Sakunta, 2025)・全文確認
データを表示process-pomelo-cyclodextrin-ultrasound —reduces→ compound-naringin
claim: clm-w71c2-pomelo-dose-response-plateau / type: processing / 更新: 2026-09-07
柑橘ジュースのナリンギナーゼ酵素脱苦味はナリンギンを低減する支持あり

範囲: 層: 食品。グレープフルーツ果汁、OGA担体固定化ナリンギナーゼを24時間反応ごとに洗浄・回収して同じ触媒:果汁比で5バッチ連続使用。

注記: 各バッチの初期濃度は季節・生育段階により変動したと著者は述べる。具体的な数値は本文中に表記がなくFigure 9のグラフのみのため、逐語引用は定性的記述にとどめた。

"As can be observed, among five sequential batches, there was a reduction in the initial concentrations of limonin and naringin, reaching values close to their corresponding threshold." "The catalyst was recovered and used for another batch of reaction, maintaining the initial catalyst: juice ratio."
限界: 各バッチの具体的な濃度数値は図(Figure 9)のみに示され本文には記載がないため、数値そのものは逐語引用できていない。バッチ2を除く各バッチでプルニン濃度が反応後に増加したと記載(バッチ2のみ例外)。
データを表示process-citrus-enzymatic-naringinase-debittering —reduces→ compound-naringin
claim: clm-w71c2-naringinase-repeated-batch-stability / type: processing / 更新: 2026-09-07

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