ワイン

食材 / ingredient-wine

wine

このページの内容(7 節)
  1. 説明
  2. この説明の根拠(4)
  3. 別名
  4. 関連をたどる
  5. 仮説採集箱(1)
  6. 感覚(5)
  7. 文化(1)

苦味を読む

市販の辛口白ワイン42本を対象に、訓練パネルが官能特性から苦味の異なる2群に分類したうえで、文献に頻出する既知苦味化合物27種をLC-HRMSで定量した2024年の研究がある。検出された化合物濃度は概して呈味閾値を下回っており、定量値と試飲した苦味強度との間に有意な正の相関は見られなかった。著者らはこの陰性結果を、白ワインの苦味には未特定の指標が関与することを示唆すると位置づけている。

この陰性結果と対をなすのが、2012年のAWRI最終報告書が示す推論である。報告書は、カテキン以外の代表的な単量体フラバン-3-オール(エピカテキン、エピカテキンガレート、エピガロカテキン)の苦味が、意図的・非意図的な果皮や種子との接触があった場合には特に、白ワインの苦味にさらに寄与しうると記す。ただしこれは断定形ではなく推論(likely to)としての記述であり、実験による直接の検証を伴わない。

果皮浸漬の長さが感覚に与える影響は、測定手法によって結論が食い違うことも報告されている。2009年・2010年産のリースリングとゲヴュルツトラミネールで果皮浸漬時間を変えて仕込んだワインを、記述分析(DA)・時間強度法(TI)・感覚支配時間法(TDS)の3手法で比較した研究では、果皮上で完全発酵させたワインはDA・TIでは最も苦味が強かったが、TDSではその同じワインで優勢だったのは苦味ではなく渋味の口内感触だった。

低介入・自然発酵によるスキンコンタクト仕込み(オレンジワイン)を対象にした2026年の学会ポスター報告では、アルメニア産Mskhali種とジョージア原産のRkatsiteli種、及び両者のブレンドを、アルメニア・イタリアの2パネルが記述的に評価した。共有された記述子には『中程度の苦味』と『紅茶様の渋味』が含まれ、フェノール含量が高いとされるRkatsiteliを含むブレンドは、Mskhali単体よりも構造化された紅茶様のタンニン感を持つと報告されている。ただし査読の有無は資料上明記されておらず、ポスター形式・小規模である点を踏まえ、この記述は予備的な段階の報告として位置づけられる。

この説明の根拠

  1. Towards an understanding of bitterness in white wines: Contribution of 27 compounds assessed by LC-HRMS and sensory analysis

    Estier T; Marchal A / 2024 / 学術論文 / 抄録確認

    この本文で確認した範囲: 既知苦味化合物27種の定量値と官能苦味強度の間に有意な相関が見られなかった陰性結果を確認した

  2. Identification of the major drivers of 'phenolic' taste in white wines (Final Report, AWRI Project 0901)

    Smith PA; Waters EJ (Principal Investigators); The Australian Wine Research Institute / 2012 / 資料 / 全文確認

    この本文で確認した範囲: 単量体フラバノールが果皮接触時に苦味に寄与しうるという報告書の推論的記述を確認した

  3. Sensory impact of skin contact on white wines characterized by descriptive analysis, time-intensity analysis and temporal dominance of sensations analysis

    Sokolowsky M; Rosenberger A; Fischer U / 2015 / 学術論文 / 抄録確認

    この本文で確認した範囲: DA/TIとTDSで苦味・渋味の優勢の結論が食い違った測定手法間の対比を確認した

  4. Comparative analytical and sensory profiling of Armenian orange wines from widely cultivated grape varieties under low-intervention skin-contact vinification

    Mikayelyan M; Kazumyan K; Baghdasaryan J; Petrozziello M; Piano F; Asproudi A; Tsolakis C; Bonello F / 2026 / 資料 / 全文確認

    この本文で確認した範囲: 中程度の苦味と紅茶様の渋味という記述子が2パネルに共有された点を確認した/ブレンドがMskhali単体より構造化された紅茶様タンニン感を持つという品種間比較を確認した

別名: wine(en)

関連をたどる

ワイン →知覚苦味に影響する要因→ スキンコンタクト(果皮浸漬)

仮説採集箱(1)

灌漑制限ワインの官能記述子に苦味は含まれるのか編集仮説

調整不足灌漑を施したブドウのワインでは、渋み関連の質感評価に差が見られている。同じ処理区の官能評価で『苦味』という独立の記述子を用いた場合にも、渋みと同じ方向の差が出るのだろうか。渋みの評価だけで苦味の変化まで語れるのだろうか?

由来: 資料接続あり

注記: 調整不足灌漑を扱った研究の記述的官能分析に、苦味の独立記述子が含まれていなかったことから生じた疑問。

仮説は事実主張ではありません。面白さを探索の入口として保存し、これから資料・聞き書き・観察で確かめます。

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構造化された主張 — 節を開くと、主張ごとの確度・根拠・限界が読めます

感覚(5)

ワインの苦味寄与の候補: 既知の苦味化合物の濃度は白ワインの苦味強度と有意に相関せず、主要因は未特定(候補段階)。支持あり

範囲: 市販辛口白ワイン42本。訓練パネルによる官能特性評価で苦味の異なる統計的2群に分類。文献で頻出する既知苦味化合物27種をLC-HRMSで定量(5種の定量法を開発・妥当性確認、うち25種を甘口ワイン、22種をぶどう果汁でも測定)。

注記: 検出された化合物濃度は概して呈味閾値を下回っていた。試飲した試料の苦味強度と、測定した既知苦味化合物の濃度との間に、有意な正の相関は見られなかった。著者らはこれを、白ワインの苦味には他の未特定の指標(化合物)が存在することを示唆する結果としている。

既知苦味化合物27種の定量濃度は概して呈味閾値未満で、試飲した苦味強度との間に有意な正の相関は見られず、著者らは他の未特定の苦味指標の存在を示唆している。
限界: 相関が見られなかったことは、個々の化合物の寄与を完全に否定するものではない(著者ら自身の含意)。
データを表示ingredient-wine —has_candidate_bitterness_contributors→ "既知の苦味化合物の濃度は白ワインの苦味強度と有意に相関せず、主要因は未特定(候補段階)。"
claim: clm-estier-2024-white-wine-bitterness-no-compound-correlation / type: sensory / 更新: 2026-09-01
ワインの知覚苦味に影響する要因: スキンコンタクト(果皮浸漬)支持あり

範囲: リースリング・ゲヴュルツトラミネール(2009年・2010年産)、果皮浸漬時間を変えて仕込んだワイン。記述分析(DA)・時間強度法(TI)・感覚支配時間法(TDS)の3手法で比較。

注記: 記述分析ではリースリングは苦味と色のみで差が出たのに対し、ゲヴュルツトラミネールは苦味・甘味・酸味・渋味と複数の香り属性・色で有意差が出た。果皮上で完全発酵させたワインは、時間強度法・記述分析ではどのワインよりも有意に苦味が強かったが、感覚支配時間法(TDS)ではそのワインで優勢だった感覚は苦味ではなく渋味の口内感触だった。測定手法(DA/TIとTDS)によって『どちらが優勢か』の結論が食い違いうることを示す例として収載。

果皮上で完全発酵させたワインは時間強度法・記述分析では最も苦味が強かったが、感覚支配時間法(TDS)では優勢な感覚は苦味でなく渋味だった。品種間でも果皮浸漬に対する反応の幅が異なった。
限界: 品種2種・特定の醸造条件に限定。手法によって『何が優勢か』の結論が変わりうることを主張自体が含む。
データを表示ingredient-wine —has_perceived_bitterness_affected_by→ process-skin-contact-maceration
claim: clm-sokolowsky-2015-skin-contact-bitter-astringent-riesling-gewurztraminer / type: sensory / 更新: 2026-09-01
ワインの知覚苦味と関連する要因: スキンコンタクト(果皮浸漬)予備的

範囲: アルメニア産Mskhali種・ジョージア原産で同国でも広く栽培されるRkatsiteli種、低介入・自然発酵によるスキンコンタクト(オレンジワイン)仕込み。アルメニア・イタリアの2パネルによる記述評価。WAC-IVAS 2026学会ポスター発表(2026-06-25付、DOI未確認)。

注記: 2パネルが共有した記述子として、ドライフルーツ・煮りんご・杏・くるみ・蜂蜜・青い(vegetal)ノート・オレンジブロッサムに加え、『中程度の苦味』と『紅茶様の渋味』が挙げられた。査読の有無が資料上明記されておらず、ポスター形式・小規模である点を踏まえ preliminary とする。

アルメニア・イタリアの2パネルが共有した記述子に『中程度の苦味』と『紅茶様の渋味』が含まれた。全文で醸造条件(自然発酵・野生酵母・果帽管理1日2-3回・約1年熟成・無添加/無亜硫酸)、化学分析値(アルコール10.7-11.9%、滴定酸4.20-5.83 g/L、pH3.52-4.07)、Rkatsiteliの高フェノール含量、ブレンド(Yerevak Orange Natural)がMskhali単体よりも構造化された紅茶様タンニン感を持つという品種間比較を確認。
限界: 査読状況不明、小規模・ポスター形式、DOI未確認。
出典: Comparative analytical and sensory profiling of Armenian orange wines from widely cultivated grape varieties under low-intervention skin-contact vinification(Mikayelyan M; Kazumyan K; Baghdasaryan J; Petrozziello M; Piano F; Asproudi A; Tsolakis C; Bonello F, 2026)・全文確認
自然発酵・低介入のスキンコンタクト醸造(果帽管理1日2-3回、無亜硫酸、約1年熟成)で造られたアルメニア産Mskhali単一品種、Rkatsiteli単一品種、および両者のブレンド(Yerevak Orange Natural)を、アルメニア・イタリアの2パネルが評価。品種間で化学組成(アルコール10.7-11.9%、滴定酸4.20-5.83 g/L、pH3.52-4.07)に幅があり、Rkatsiteliはフェノール含量が高いと報告された。感覚面では、ブレンドがMskhali単体よりも『より構造化された、紅茶様のタンニン感』を持つとされ、フェノール含量の品種差と渋味の質的差が対応している可能性を示唆する(ただし統計的相関の提示はない)。
限界: 査読の有無不明、ポスター形式、DOI未確認。フェノール含量と渋味・苦味知覚の対応は記述レベルの示唆であり、定量的相関や統計検定は提示されていない。品種別entity(Mskhali種・Rkatsiteli種)はentities.csvに未登録のため、品種別claimは起こさず本行に収載。
出典: Comparative analytical and sensory profiling of Armenian orange wines from widely cultivated grape varieties under low-intervention skin-contact vinification(Mikayelyan M; Kazumyan K; Baghdasaryan J; Petrozziello M; Piano F; Asproudi A; Tsolakis C; Bonello F, 2026)・全文確認
データを表示ingredient-wine —has_perceived_bitterness_associated_with→ process-skin-contact-maceration
claim: clm-mikayelyan-2026-armenian-orange-wine-bitter-astringent-descriptors / type: sensory / 更新: 2026-09-01
ワインの苦味の帰属先: 単量体フラバノール(果皮接触で増えるとする報告書の仮説段階の帰属)。予備的

範囲: 同報告書1.2.3節末尾。カテキン以外の代表的な単量体フラバン-3-オール(エピカテキン、エピカテキンガレート、エピガロカテキン)についての記述。

注記: 報告書は『(意図的・非意図的を問わず)発酵前に果皮・種子との接触があった場合には特に、これら単量体フラバノールの苦味が白ワインの苦味にさらに寄与しうる』という趣旨を、断定形ではなく推論(likely to)として記す。直接の実験結果ではなく報告書著者の推論的記述であることを明示して収載。

カテキン以外の代表的単量体フラバン-3-オール(エピカテキン、エピカテキンガレート、エピガロカテキン)の苦味が、意図的・非意図的な果皮・種子接触があった場合には特に、白ワインの苦味にさらに寄与しうると推論する。
限界: 報告書自身が断定形ではなく推論(likely to)として記す。査読誌論文ではない。
出典: Identification of the major drivers of 'phenolic' taste in white wines (Final Report, AWRI Project 0901)(Smith PA; Waters EJ (Principal Investigators); The Australian Wine Research Institute, 2012)・全文確認
データを表示ingredient-wine —has_bitterness_attributed_to→ "単量体フラバノール(果皮接触で増えるとする報告書の仮説段階の帰属)。"
claim: clm-awri-monomeric-flavanol-skin-contact-bitterness-hypothesis / type: sensory / 更新: 2026-09-01
ワインの感覚特性: 2008年収穫のCabernet Sauvignonワイン(瓶熟12ヶ月後)を訓練パネルが記述的官能分析(2010年実施)。FD区ワインは色調彩度が最も高く紫色調が強く、粗さ(roughness)・乾いた収斂感(dryness)・粗野さ(harshness)といった口腔内質感属性も最も強く、ED区が僅差で続いた。IS区・LD区は彩度が低く褐色・赤色調が強かった。分析対象の7属性はいずれも渋み・色に関わる記述子で構成され、『苦味(bitterness)』という独立の記述子は選定されていない。支持あり

範囲: Cabernet Sauvignon、2008年収穫ワイン、瓶熟12ヶ月後

注記: 本研究の記述的官能分析(DA)で用いられた7属性はいずれも渋み・色関連の質感/外観記述子であり、苦味を直接測定した記述子は含まれていない。序論部でタンニンが渋みに加え苦味も引き起こしうる旨の一般論が引用されているが、これは本研究自体の測定結果ではない。

FD区ワインは色調彩度が最高で粗さ・乾いた収斂感・粗野さが強い。7属性に苦味の独立記述子は含まれない。
限界: 官能分析の対象は2008年物(平均的な気候の年として選定された1年分)のみ。7属性は色・渋み関連の記述子で構成され、苦味を直接測定した記述子ではない。
データを表示ingredient-wine —has_sensory_attribute→ "2008年収穫のCabernet Sauvignonワイン(瓶熟12ヶ月後)を訓練パネルが記述的官能分析(2010年実施)。FD区ワインは色調彩度が最も高く紫色調が強く、粗さ(roughness)・乾いた収斂感(dryness)・粗野さ(harshness)といった口腔内質感属性も最も強く、ED区が僅差で続いた。IS区・LD区は彩度が低く褐色・赤色調が強かった。分析対象の7属性はいずれも渋み・色に関わる記述子で構成され、『苦味(bitterness)』という独立の記述子は選定されていない。"
claim: clm-cabernet-sauvignon-rdi-wine-mouthfeel-not-bitterness / type: sensory / 更新: 2026-09-02

文化(1)

ワインの苦味の質に影響する要因: ナパのカベルネ・ソーヴィニヨンでは、過去10年ほどでタンニンが総じてより繊細・滑らかになったとされ、それに伴い仕上がりに残る苦味が減ったとワイン専門家に評されている文脈資料

範囲: Napa Valley Cabernet Sauvignon、過去10年ほどのスタイル変化についてのMaster of Wine Benjamin Lewin自身の分析記事

注記: 著者自身(Benjamin Lewin MW)の記述として “they are finer and silkier, and because there is less bitterness on the finish, the fruits seem purer on young wines” とあり、これを『過去10年間でナパにおける最大の進歩』と評する。美食・高級ワイン生産の側が意図的にタンニンの苦味を弱める方向へ様式を変えてきたと読める、『美食も苦味を抜いている』側の資料。化学分析や官能パネルによる裏付けではなく、専門家個人の様式観察であることに注意。

タンニンがより繊細・滑らかになり仕上がりの苦味が減ったという、過去10年ほどのナパ・カベルネ・ソーヴィニヨンのスタイル変化をMaster of Wine Benjamin Lewinが自身の分析として述べる。
限界: 化学分析・官能パネルの裏付けを伴わない専門家個人の観察であり、定量的な苦味低減の程度は示されない。
出典: Tannins and Approachability: A Sea Change in the World of Wine(Lewin, Benjamin (MW), 2023)・全文確認
データを表示ingredient-wine —has_bitterness_character_influenced_by→ "ナパのカベルネ・ソーヴィニヨンでは、過去10年ほどでタンニンが総じてより繊細・滑らかになったとされ、それに伴い仕上がりに残る苦味が減ったとワイン専門家に評されている"
claim: clm-h10-lewin-napa-cabernet-less-bitter-finish / type: cultural / 更新: 2026-09-02

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