主題ハブ — 2026-10-22
カカオは、発酵・乾燥・焙煎のしかたで苦味が変わるのか
先に断っておくと、カカオの発酵・乾燥・焙煎の条件を変えて人が苦味を比べた研究のうち、探した範囲で条件まで確かめられたものは多くない。そのうえ、収録した研究の一部では、比べた処理のほかに発酵の時間や乾燥を始めた時刻が同時に違っていて、一つの工程の効果に分けられない。施設の違いも、同じ施設の中の比較と施設をまたぐ比較を分けて読む必要がある。この頁の骨は、その分けられなさの方にある。 焙煎では、砂糖を加えないチョコレートで、焙煎が強いほど苦味が下がるというモデルの予測がある。発酵の日数では、苦味の増減が研究と施設で分かれた。乾燥の温度では、高い温度の方が苦味の平均が高かったが、有意だった比較は一部だった。 ここでいう発酵と乾燥は、カカオの農園や加工施設が豆に施す製造の工程で、家庭でする下ごしらえではない。 この頁では、収録した研究を、試料・処理・出し方・評価した人と尺度、という条件と一緒に並べる。 そのうえで、同じ実験の中で確かめられたことと、研究のあいだの違いから考えられる説明の候補と、 この比較だけでは分けられないことを、分けて書く。 ここで扱うのは味の感じ方の研究で、チョコレートの選び方や健康についての話ではない。カカオ分の違いはカカオ分の頁で扱い、この頁は処理の違いに限る。
このページの内容(10 節)
この頁でわかること
- 砂糖を加えないチョコレートでは、焙煎の温度が高いほど苦味が下がるというモデルの予測があること。値はモデルの予測で、処理ごとの実測の平均ではないこと。
- 発酵の日数を変えた研究では苦味の増減が研究と施設で分かれ、検定の結果が書かれていない組もあること。乾燥の温度を変えた比較では高い温度の方が苦味の平均が高かったが、有意だったのは一部で、その組では乾燥を始めた時刻も違ったこと。
- 収録した発酵や乾燥の比較の一部で、発酵の時間・乾燥を始めた時刻などが同時に違い、どの工程が効いたかを分けられないこと。施設をまたいでは比べられないこと。
- 焙煎した豆から取った殻のティザンは高い温度ほど苦味の順位が高かったが、殻は豆とは別物で、豆の結果と合わせて読まないこと。
収録した研究で言える範囲
- 焙煎では、豆から作った砂糖を加えないチョコレート(McClure ら 2022、消費者 145 名)で、焙煎が強いほど苦味が下がるという結果があった。著者は、温度の 1 標準偏差(42 °C)の係数を、平均 26.9 を基準に約 1.56 低い値に換算している(係数は平方根の尺度のもので、時間との交互作用もある)。値はモデルの予測で、処理ごとの実測の平均ではない。砂糖を加えたビターチョコレートの研究(飯田ら 2018)は、低い温度で長く焙煎した方が「なめ始めの苦味」が強いと考察に書くが、図に有意の印は無く、値は図から読めない。 [表の行: McClure ら 2022 焙煎の温度が 1 標準偏差(42 °C)高い 対 平均/飯田ら 2018 低温・長時間の焙煎 対 高温の焙煎(なめ始めの苦味)]
- 発酵と乾燥は、カカオの製造者(農園や加工施設)が豆に施す工程で、家庭でする下ごしらえではない。発酵の日数を変えた研究では、苦味の増減が研究と施設で分かれた。発酵 0 日と 6 日を比べた研究(Haruna ら 2024)では 0 日の方が苦かった(苦味の品質点 2.6 と 6.3、高いほど苦味が気にならない。有意)。発酵 4 日と 7 日を比べた研究(Ramírez González ら 2024)では、施設によって 7 日の方が苦い所と 4 日の方が苦い所があり、検定の結果は書かれていない。乾燥の温度を比べた三つの比較(Streule ら 2024 の二か所と Streule ら 2023 の一組)では、どれも高い温度の方が苦味の平均が高かったが、有意だったのは一つだけで、その 80 °C の区は乾燥を早く始めていた。 [表の行: Haruna ら 2024 発酵 6 日 対 0 日(予備乾燥なし)/Ramírez González ら 2024 発酵 7 日 対 4 日(ASA)/Ramírez González ら 2024 発酵 7 日 対 4 日(CMI)/Ramírez González ら 2024 発酵 7 日 対 4 日(COC)/Streule ら 2024 乾燥 80 °C 対 60 °C(F)/Streule ら 2024 乾燥 80 °C 対 60 °C(A)/Streule ら 2023 高い温度で乾燥 対 低い温度で乾燥(A)]
- 研究ごとに試料と出し方が違い(砂糖を加えない 100% チョコレートやリカー、砂糖を加えたチョコレート、カカオケーキ、殻の浸出液)、尺度も強さ・品質点・苦い〜甘いをひとつにした尺度・順位と違うので、値を研究をまたいで比べられない。収録した研究の一部では、比べた処理のほかに発酵の時間や乾燥を始めた時刻が同時に違い、一つの工程の効果に分けられない。施設の違いについては、同じ施設の中の比較と施設をまたぐ比較を分けて読む必要があり、施設どうしは比べられない。焙煎した豆から取った殻のティザン(Gumelar ら 2022)では高い温度ほど苦味の順位が高かったが、殻は豆とは別物で、豆の結果と合わせて読まない。 [表の行: McClure ら 2022 焙煎の温度が 1 標準偏差(42 °C)高い 対 平均/Gumelar ら 2022 殻:140 °C 18 分 対 100 °C 20 分(豆のまま焙煎)]
苦味の評価の一覧
人の苦味の評価の結果だけを抜き出した。研究ごとに試料と出し方が違う(砂糖を加えないリカーやチョコレート、砂糖を加えたチョコレート、カカオケーキ、殻の浸出液)ので、値どうしを研究をまたいで比べない。 尺度も研究ごとに違う。「向き」の欄は、どちらが苦かったかを「〜の方が苦い」で示す。多くの行では値の大きい方だが、「品質点(高いほど苦味が気にならない)」と「極めて苦い〜極めて甘い」の尺度の行では値が小さい方が苦い(その行の単位の欄の頭に「値が小さいほど苦い」と書いた)。値の性質は単位の欄に書き、モデルの予測値や図から読めない値はそう断った。 殻のティザンの行(豆ではない)と、焙煎がほぼ同じで産地が違う組の行も、見分けられるように一覧に残した。 差が有意かどうかは「向き・検定」の欄の検定の段で見る。研究名を押すと、条件の詳しい表へ移る。渋味の行は、研究ごとの詳しい表にある。
人が苦味を評価した結果だけを抜き出した一覧。値の出所(表の値か図からの目測か)は各行に書いた。研究ごとに尺度も測り方も違うので、行の中で比べ、行どうしは比べない。
| 研究 | 比べた組・条件 | 測り方 | 処理を変えた試料 | 比べた相手 | 向き・検定 |
|---|---|---|---|---|---|
| McClure ら 2022 | 焙煎の温度が 1 標準偏差(42 °C)高い 対 平均 マダガスカル・ガーナ・ペルーの発酵・乾燥済みの豆を 24〜171 °C・0〜80 分の範囲で焙煎し、砂糖を加えない 100% チョコレートにした。カカオ分の頁でも同じ研究を引くが、そこでは「カカオ分を変えていない試料」として置き、この頁では焙煎の温度と時間を変えた比較として読む | gLMS(145 名)。モデルの係数からの換算で、処理ごとの実測の平均ではない | 平均 26.9 から 1.56 低い(著者の換算) | 26.9(平均) | 比べた相手の方が苦い 検定あり・有意 |
| McClure ら 2022 | 試験した範囲で苦味が最も低い所 対 最も高い所(ガーナ産) マダガスカル・ガーナ・ペルーの発酵・乾燥済みの豆を 24〜171 °C・0〜80 分の範囲で焙煎し、砂糖を加えない 100% チョコレートにした。カカオ分の頁でも同じ研究を引くが、そこでは「カカオ分を変えていない試料」として置き、この頁では焙煎の温度と時間を変えた比較として読む。苦味が最も低い領域は 135〜171 °C、最も高いのは生(0 分・24 °C)から軽い焙煎(55 分・64 °C)の付近 | gLMS(モデルの予測値で、処理ごとの実測の平均ではない。図 2 の応答曲面と本文の値) | 22 | 30 | 比べた相手の方が苦い 検定の記載なし |
| McClure ら 2022 | 試験した範囲で苦味が最も低い所 対 最も高い所(マダガスカル産) マダガスカル・ガーナ・ペルーの発酵・乾燥済みの豆を 24〜171 °C・0〜80 分の範囲で焙煎し、砂糖を加えない 100% チョコレートにした。カカオ分の頁でも同じ研究を引くが、そこでは「カカオ分を変えていない試料」として置き、この頁では焙煎の温度と時間を変えた比較として読む。苦味が最も低い領域は 135〜171 °C、最も高いのは生(0 分・24 °C)から軽い焙煎(55 分・64 °C)の付近 | gLMS(モデルの予測値で、処理ごとの実測の平均ではない。図 2 の応答曲面と本文の値) | 25.8 | 28.2 | 比べた相手の方が苦い 検定の記載なし |
| McClure ら 2022 | 試験した範囲で苦味が最も低い所 対 最も高い所(ペルー産) マダガスカル・ガーナ・ペルーの発酵・乾燥済みの豆を 24〜171 °C・0〜80 分の範囲で焙煎し、砂糖を加えない 100% チョコレートにした。カカオ分の頁でも同じ研究を引くが、そこでは「カカオ分を変えていない試料」として置き、この頁では焙煎の温度と時間を変えた比較として読む。苦味が最も低い領域は 135〜171 °C、最も高いのは生(0 分・24 °C)から軽い焙煎(55 分・64 °C)の付近 | gLMS(モデルの予測値で、処理ごとの実測の平均ではない。図 2 の応答曲面と本文の値) | 27 | 30 | 比べた相手の方が苦い 検定の記載なし |
| 飯田ら 2018 | 低温・長時間の焙煎 対 高温の焙煎(なめ始めの苦味) 同じ配合(カカオ分 60%・砂糖 40%)のビターチョコレート。ベネズエラ産は 125 °C 一定、エクアドル産は 115 °C 一定で 70〜80 分(低温)と、どちらも最高 147 °C で 45〜50 分(高温)。温度と時間が同時に違う | 7 段階の評点(−3 弱い〜+3 強い)。図 7 は縦軸が途中で省略され、目盛りの数字の一部が欠けているので、値は採用しない | 図から読めない | 図から読めない | 処理を変えた試料の方が苦い 検定あり・有意差なし |
| 飯田ら 2018 | ベネズエラ産(高温)対 ガーナ産(対照)(苦味の後味の強さ) 同じ配合のビターチョコレート。焙煎はガーナ産が最高 147 °C で 40〜50 分、ベネズエラ産(高温)が最高 147 °C で 45〜50 分とほぼ同じで、主に産地が違う | 7 段階の評点(−3 弱い〜+3 強い)。図 7 は縦軸が途中で省略され、目盛りの数字の一部が欠けているので、値は採用しない | 図から読めない | 図から読めない | 処理を変えた試料の方が苦い 検定あり・有意 |
| Haruna ら 2024 | 発酵 6 日 対 0 日(予備乾燥なし) 予備乾燥 0 時間の豆を山積みで自然発酵。途中は 2 日 4.3(H)、4 日 5.3(EFG) | 値が小さいほど苦い。苦味の品質点(0〜10。苦味は感じた強さの逆に付け、高いほど苦味が気にならない。7.5 が最適とされる) | 6.3(BCD) | 2.6(I) | 比べた相手の方が苦い 検定あり・有意 |
| Ramírez González ら 2024 | 発酵 7 日 対 4 日(ASA) 同じ施設の同じ発酵箱から 4 日目と 7 日目に豆を採り(本文の記述)、各施設の方法で乾燥した。官能用の焙煎は豆の大きさと水分に応じて設定され、温度と時間は記載なし。施設ごとに豆の量・切り返し・乾燥の日数・クローンが違う | 0〜10 の尺度。補足表の箱ごとの値(かっこ内)を読み手が平均した | 2.67(3, 3, 2) | 2.00(2, 2, 2) | 処理を変えた試料の方が苦い 検定の記載なし |
| Ramírez González ら 2024 | 発酵 7 日 対 4 日(CMI) 同じ施設の同じ発酵箱から 4 日目と 7 日目に豆を採り(本文の記述)、各施設の方法で乾燥した。官能用の焙煎は豆の大きさと水分に応じて設定され、温度と時間は記載なし。施設ごとに豆の量・切り返し・乾燥の日数・クローンが違う | 0〜10 の尺度。補足表の箱ごとの値(かっこ内)を読み手が平均した | 2.33(3, 2, 2) | 3.33(4, 2, 4) | 比べた相手の方が苦い 検定の記載なし |
| Ramírez González ら 2024 | 発酵 7 日 対 4 日(COC) 同じ施設の同じ発酵箱から 4 日目と 7 日目に豆を採り(本文の記述)、各施設の方法で乾燥した。官能用の焙煎は豆の大きさと水分に応じて設定され、温度と時間は記載なし。施設ごとに豆の量・切り返し・乾燥の日数・クローンが違う | 0〜10 の尺度。補足表の箱ごとの値(かっこ内)を読み手が平均した | 3.0(3, 3) | 2.5(3, 2) | 処理を変えた試料の方が苦い 検定の記載なし |
| Streule ら 2024 | 乾燥 80 °C 対 60 °C(F) さやの保管 0 日の豆を同じ日に発酵し、80 °C(PS0_H)と 60 °C(PS0_L)で乾燥。80 °C の区は約 8〜10 時間早く乾燥を始め、乾燥機の積み方も違う | 0〜10 の線尺度(8 名の平均) | 5.6(a) | 4.3(c) | 処理を変えた試料の方が苦い 検定あり・有意 |
| Streule ら 2024 | 乾燥 80 °C 対 60 °C(A) さやの保管 0 日の豆を同じ日に発酵し、80 °C(PS0_H)と 60 °C(PS0_L)で乾燥。80 °C の区は約 8〜10 時間早く乾燥を始め、乾燥機の積み方も違う | 0〜10 の線尺度(8 名の平均) | 5.6(ab) | 4.8(bc) | 処理を変えた試料の方が苦い 検定あり・有意差なし |
| Streule ら 2023 | 高い温度で乾燥 対 低い温度で乾燥(A) ジュート袋・予備乾燥あり・切り返しなしで 4 日目まで(約 63 時間)発酵し、乾燥の温度だけを変えた(JpT 対 Jp) | 10 cm の VAS(9 名の平均。2 回分を混ぜた試料) | 6.6(ab) | 5.9(abc) | 処理を変えた試料の方が苦い 検定あり・有意差なし |
| Streule ら 2023 | 発酵を 1 日短く 対 4 日目まで(どちらも高い温度で乾燥、A) ジュート袋・予備乾燥あり・切り返しなし・高い温度で乾燥。発酵を 3 日目まで(約 40 時間)にした区(JpsT)は乾燥を 3 日目に始め、4 日目まで(約 63 時間)の区(JpT)は 4 日目に始めた | 10 cm の VAS(9 名の平均。2 回分を混ぜた試料) | 7.1(a) | 6.6(ab) | 処理を変えた試料の方が苦い 検定あり・有意差なし |
| Streule ら 2023 | 短い発酵・高い温度で乾燥 対 木箱で切り返す発酵・低い温度で乾燥(A) JpsT(ジュート袋・予備乾燥あり・切り返しなし・3 日目まで約 40 時間・高い温度)と対照の Wt(木箱・2・3 日目に切り返し・予備乾燥なし・4 日目まで約 63 時間・低い温度)。容器・切り返し・予備乾燥・発酵の時間・乾燥の温度が同時に違う | 10 cm の VAS(9 名の平均。2 回分を混ぜた試料) | 7.1(a) | 4.6(cde) | 処理を変えた試料の方が苦い 検定あり・有意 |
| Ponka ら 2020 | ナトロン 1.442 g 対 0 g(カカオケーキ 200 g あたり) 同じカカオケーキ 200 g にナトロンを混ぜ、弱火で 10 分。途中の量は 0.961 g が 2.72(ab)、1.082 g が 3.47(cd)、1.202 g が 3.25(bc)、1.322 g が 3.58(cd) | 値が小さいほど苦い。9 段階(1 極めて苦い・5 苦くも甘くもない・9 極めて甘い)の平均。値が大きいほど苦くない | 4.14(d) | 2.47(a) | 比べた相手の方が苦い 検定あり・有意 |
| Gumelar ら 2022 | 殻:140 °C 18 分 対 100 °C 20 分(豆のまま焙煎) 豆を焙煎してから取った殻のティザンで、豆ではない。120 °C 20 分は 37.8 | 苦味の平均順位(Kruskal–Wallis、紅茶 3 種を含む 6 試料。大きいほど強い) | 54.7 | 17.4 | 処理を変えた試料の方が苦い 検定あり・有意差の報告はあるが、どの組の差かは不明 |
研究ごとの条件と結果
研究ごとに、試料・処理・出し方・評価した人の条件と、測った結果を並べる。行の単位は「研究×測定結果」で、 同じ研究の中の別の比較は別の行にした。各行の下に、論文での位置と、 その行が「発酵・乾燥・焙煎などの製造の工程の条件で、人が感じるカカオの苦味が変わるか」の比較に使えるかを、理由と一緒に書いた。 産地の比較の行や渋味の行も、この比較に使えないことが分かるように残した。 空欄にせず、「記載なし」(論文に書かれていない)、「読んでいない」、「該当しない」を書き分けている。
McClure ら 2022 官能だけ
Optimizing consumer acceptability of 100% chocolate through roasting treatments and effects on bitterness and other important sensory characteristics. Current Research in Food Science — doi:10.1016/j.crfs.2022.01.005
- 原文の確認の深さ
- 全文で確認 — Europe PMC の全文(表 1A、結果 3.1) 確かめた者: LLM(読み取りの係が抜き出し、別の者が原典で照合。人の確認は無い)、2026-10-21。
- 試料
- マダガスカル・ガーナ・ペルーの豆の 100% チョコレート(砂糖などを加えていない)。カカオ分は変えていない
- 加工・調理
- 焙煎は 8 条件と中心条件の重複を 3 産地に当てた計 27 処理(生の対照を含む、24〜171 °C・0〜80 分)
- 出し方・食べ方
- 約 0.3 g の円盤
- 誰が・どの尺度で
- 消費者 145 名を募集(初日に短い訓練)。1 試料あたり平均 104 名・148 回の評価。gLMS、混合効果モデル(平方根に変換)
| 測ったもの | 比べた組・条件 | 処理を変えた試料 | 比べた相手 | 単位 | 向き・検定 |
|---|---|---|---|---|---|
| 苦味の強さ(官能) | 焙煎の温度が 1 標準偏差(42 °C)高い 対 平均 マダガスカル・ガーナ・ペルーの発酵・乾燥済みの豆を 24〜171 °C・0〜80 分の範囲で焙煎し、砂糖を加えない 100% チョコレートにした。カカオ分の頁でも同じ研究を引くが、そこでは「カカオ分を変えていない試料」として置き、この頁では焙煎の温度と時間を変えた比較として読む | 平均 26.9 から 1.56 低い(著者の換算) | 26.9(平均) | gLMS(145 名)。モデルの係数からの換算で、処理ごとの実測の平均ではない | 比べた相手の方が苦い 検定あり・有意 |
| 混合効果モデルで温度の係数は有意(平方根の尺度で −0.15290、p≤0.05)。時間の係数(−0.02853)は有意ではなく、時間×温度の交互作用(−0.06640)は有意なので、下がり方は焙煎の時間によって違う。温度の 1 標準偏差は 42 °C 原典の位置: 表 1A、結果の最初の節 発酵・乾燥・焙煎などの製造の工程の条件で、人が感じるカカオ(豆から作ったリカーやチョコレート)の苦味が変わるかの比較に: 限られる — 同じ豆で焙煎の温度と時間を変え、消費者 145 名が苦味を評価したが、値はモデルの係数からの換算で、砂糖を加えないチョコレート | |||||
| 苦味の強さ(官能) | 試験した範囲で苦味が最も低い所 対 最も高い所(ガーナ産) マダガスカル・ガーナ・ペルーの発酵・乾燥済みの豆を 24〜171 °C・0〜80 分の範囲で焙煎し、砂糖を加えない 100% チョコレートにした。カカオ分の頁でも同じ研究を引くが、そこでは「カカオ分を変えていない試料」として置き、この頁では焙煎の温度と時間を変えた比較として読む。苦味が最も低い領域は 135〜171 °C、最も高いのは生(0 分・24 °C)から軽い焙煎(55 分・64 °C)の付近 | 22 | 30 | gLMS(モデルの予測値で、処理ごとの実測の平均ではない。図 2 の応答曲面と本文の値) | 比べた相手の方が苦い 検定の記載なし |
| 範囲の両端を比べた検定は無い。予測のもとのモデルでは焙煎の温度の項と時間×温度の項が有意(同じ研究の温度の行) 原典の位置: 結果の最初の節、図 2A 発酵・乾燥・焙煎などの製造の工程の条件で、人が感じるカカオ(豆から作ったリカーやチョコレート)の苦味が変わるかの比較に: 限られる — 焙煎の範囲の両端の苦味だが、モデルの予測値で、処理ごとの実測の平均ではない | |||||
| 苦味の強さ(官能) | 試験した範囲で苦味が最も低い所 対 最も高い所(マダガスカル産) マダガスカル・ガーナ・ペルーの発酵・乾燥済みの豆を 24〜171 °C・0〜80 分の範囲で焙煎し、砂糖を加えない 100% チョコレートにした。カカオ分の頁でも同じ研究を引くが、そこでは「カカオ分を変えていない試料」として置き、この頁では焙煎の温度と時間を変えた比較として読む。苦味が最も低い領域は 135〜171 °C、最も高いのは生(0 分・24 °C)から軽い焙煎(55 分・64 °C)の付近 | 25.8 | 28.2 | gLMS(モデルの予測値で、処理ごとの実測の平均ではない。図 2 の応答曲面と本文の値) | 比べた相手の方が苦い 検定の記載なし |
| 範囲の両端を比べた検定は無い。予測のもとのモデルでは焙煎の温度の項と時間×温度の項が有意(同じ研究の温度の行) 原典の位置: 結果の最初の節、図 2B 発酵・乾燥・焙煎などの製造の工程の条件で、人が感じるカカオ(豆から作ったリカーやチョコレート)の苦味が変わるかの比較に: 限られる — 焙煎の範囲の両端の苦味だが、モデルの予測値で、処理ごとの実測の平均ではない | |||||
| 苦味の強さ(官能) | 試験した範囲で苦味が最も低い所 対 最も高い所(ペルー産) マダガスカル・ガーナ・ペルーの発酵・乾燥済みの豆を 24〜171 °C・0〜80 分の範囲で焙煎し、砂糖を加えない 100% チョコレートにした。カカオ分の頁でも同じ研究を引くが、そこでは「カカオ分を変えていない試料」として置き、この頁では焙煎の温度と時間を変えた比較として読む。苦味が最も低い領域は 135〜171 °C、最も高いのは生(0 分・24 °C)から軽い焙煎(55 分・64 °C)の付近 | 27 | 30 | gLMS(モデルの予測値で、処理ごとの実測の平均ではない。図 2 の応答曲面と本文の値) | 比べた相手の方が苦い 検定の記載なし |
| 範囲の両端を比べた検定は無い。予測のもとのモデルでは焙煎の温度の項と時間×温度の項が有意(同じ研究の温度の行) 原典の位置: 結果の最初の節、図 2C 発酵・乾燥・焙煎などの製造の工程の条件で、人が感じるカカオ(豆から作ったリカーやチョコレート)の苦味が変わるかの比較に: 限られる — 焙煎の範囲の両端の苦味だが、モデルの予測値で、処理ごとの実測の平均ではない | |||||
飯田ら 2018 官能だけ
カカオ豆のロースト条件とビターチョコレート嗜好の関連性. 日本官能評価学会誌 22(2):98-107 — doi:10.9763/jjsse.22.98
- 原文の確認の深さ
- 全文で確認 — J-STAGE の PDF の全文 10 頁(2-2 節、表 3、図 7、3-2 節、4 考察)。図 7 は縦軸が途中で省略され、目盛りの数字の一部が欠けるので、値は読まない 確かめた者: LLM(読み取りの係が抜き出し、別の者が原典で照合。人の確認は無い)、2026-10-22。
- 試料
- ガーナ産(対照)・ベネズエラ産・エクアドル産の豆のビターチョコレート 5 種。配合はどれもカカオ分 60%(ココアバターとカカオマスの合計)・砂糖 40%・バニラ香料微量(ロッテ中央研究所が作成)
- 加工・調理
- ガーナ産は最高 147 °C で 40〜50 分。ベネズエラ産とエクアドル産は高温(最高 147 °C で 45〜50 分)と低温(ベネズエラ産 125 °C 一定、エクアドル産 115 °C 一定で 70〜80 分)の 2 通り。低温は時間も長い
- 出し方・食べ方
- 1.9×3.8×0.8 cm の片を室温(20 °C)で。項目ごとに 3 口、味はなめて評価
- 誰が・どの尺度で
- 日本女子大学の食物学科の学生 193 名と訓練パネル 9 名の計 202 名(すべて女性、18〜22 歳)。「なめ始めの苦味」「苦味の後味の強さ」など 12 項目を −3〜+3 の 7 段階(+3 強い)で。一元配置分散分析と Tukey 法(p<0.05)
| 測ったもの | 比べた組・条件 | 処理を変えた試料 | 比べた相手 | 単位 | 向き・検定 |
|---|---|---|---|---|---|
| 苦味の強さ(官能) | 低温・長時間の焙煎 対 高温の焙煎(なめ始めの苦味) 同じ配合(カカオ分 60%・砂糖 40%)のビターチョコレート。ベネズエラ産は 125 °C 一定、エクアドル産は 115 °C 一定で 70〜80 分(低温)と、どちらも最高 147 °C で 45〜50 分(高温)。温度と時間が同時に違う | 図から読めない | 図から読めない | 7 段階の評点(−3 弱い〜+3 強い)。図 7 は縦軸が途中で省略され、目盛りの数字の一部が欠けているので、値は採用しない | 処理を変えた試料の方が苦い 検定あり・有意差なし |
| 図 7 のなめ始めの苦味には有意の印が無い(印は p<0.05 の組だけに付く。一元配置分散分析と Tukey 法)。向きは考察の記述(ベネズエラ産・エクアドル産とも低温の方が「なめ始めの苦味」が強い)による 原典の位置: 図 7、表 3、4 考察 発酵・乾燥・焙煎などの製造の工程の条件で、人が感じるカカオ(豆から作ったリカーやチョコレート)の苦味が変わるかの比較に: 限られる — 同じ産地の豆で焙煎を変えて人が苦味を評価したが、温度と時間が同時に違い、値は図から読めず、向きは考察の記述による | |||||
| 苦味の強さ(官能) | ベネズエラ産(高温)対 ガーナ産(対照)(苦味の後味の強さ) 同じ配合のビターチョコレート。焙煎はガーナ産が最高 147 °C で 40〜50 分、ベネズエラ産(高温)が最高 147 °C で 45〜50 分とほぼ同じで、主に産地が違う | 図から読めない | 図から読めない | 7 段階の評点(−3 弱い〜+3 強い)。図 7 は縦軸が途中で省略され、目盛りの数字の一部が欠けているので、値は採用しない | 処理を変えた試料の方が苦い 検定あり・有意 |
| 図 7 で 2 つの棒の間に印(p<0.05)があり、本文 3-2 節もベネズエラ産(高温)の苦味の後味の強さが対照より高いと書く。同じ図でベネズエラ産(高温)とエクアドル産(高温)の間にも印がある。同じ産地の高温と低温の間には印が無い 原典の位置: 図 7、3-2 節、表 3 発酵・乾燥・焙煎などの製造の工程の条件で、人が感じるカカオ(豆から作ったリカーやチョコレート)の苦味が変わるかの比較に: 使えない — 焙煎の条件がほぼ同じで、主に産地の比較 | |||||
Haruna ら 2024 官能だけ
Effects of Predrying and Spontaneous Fermentation Treatments on Nib Acidification, Fermentation Quality, and Flavour Attributes of Ghanaian Cocoa (Theobroma cacao) Beans. International Journal of Food Science 2024:5198607 — doi:10.1155/2024/5198607
- 原文の確認の深さ
- 全文で確認 — PMC の全文(2.1・2.2.3・2.2.4 節、3.3.1 節、表 6) 確かめた者: LLM(読み取りの係が抜き出し、別の者が原典で照合。人の確認は無い)、2026-10-22。
- 試料
- ガーナ・ココア研究所(CRIG)の試験圃場の混合交雑種の豆(2022 年 10 月)
- 加工・調理
- 豆を天日で 0・2・4・6・8 時間予備乾燥し、プランテンの葉の上に約 60 kg を積んで 0・2・4・6 日自然発酵(48 時間ごとに切り返し、各 3 反復)。水分 7.5% 以下まで天日で乾燥し、118 °C で 23 分焙煎
- 出し方・食べ方
- ニブをミキサーでリカーにし、約 1 g を 35 °C で溶かして提示
- 誰が・どの尺度で
- 経験のある訓練された 7 名(女 4・男 3)。0〜10 の品質点(0 極めて悪い、10 秀逸)。苦味など好ましくない属性は感じた強さの逆の品質点で付け、苦味は 7.5 が最適とされる。分散分析と LSD(5%)
| 測ったもの | 比べた組・条件 | 処理を変えた試料 | 比べた相手 | 単位 | 向き・検定 |
|---|---|---|---|---|---|
| 苦味の強さ(官能) | 発酵 6 日 対 0 日(予備乾燥なし) 予備乾燥 0 時間の豆を山積みで自然発酵。途中は 2 日 4.3(H)、4 日 5.3(EFG) | 6.3(BCD) | 2.6(I) | 値が小さいほど苦い。苦味の品質点(0〜10。苦味は感じた強さの逆に付け、高いほど苦味が気にならない。7.5 が最適とされる) | 比べた相手の方が苦い 検定あり・有意 |
| 表 6 の文字が重ならない(分散分析と LSD、p<0.05)。品質点で、苦味の強さそのものではない。「向き」の「〜が高い」は苦味が強い方を示し、ここでは値と逆になる(0 日の方が苦い) 原典の位置: 表 6、3.3.1 節 発酵・乾燥・焙煎などの製造の工程の条件で、人が感じるカカオ(豆から作ったリカーやチョコレート)の苦味が変わるかの比較に: 限られる — 同じ豆で発酵の日数を変えて訓練した 7 名が評価したが、苦味の強さでなく品質点 | |||||
Ramírez González ら 2024 官能だけ
Fermentation and its effect on the physicochemical and sensory attributes of cocoa beans in the Colombian Amazon. PLOS ONE 19(10):e0306680 — doi:10.1371/journal.pone.0306680
- 原文の確認の深さ
- 全文で確認 — Europe PMC の全文(2.1・2.2・2.3.5・2.4 節、3.5 節、図 3)と補足の表 S1 の官能の表(箱ごとの値)。平均は読み手が計算した 確かめた者: LLM(読み取りの係が抜き出し、別の者が原典で照合。人の確認は無い)、2026-10-22。
- 試料
- コロンビア・カケタ県の 3 つの加工施設(ASA・CMI・COC)の豆。ASA と CMI は CCN51・ICS1・ICS95・TSH565・FEAR5 などのクローンの混合。COC はクローンの記載なし
- 加工・調理
- 木箱で発酵し、同じ箱から 4 日目と 7 日目に豆を採った。各施設のやり方で乾燥(施設ごとに豆の量・切り返し・乾燥の日数が違う)。焙煎は豆の大きさと水分で曲線を決めたとあり、温度と時間は記載なし
- 出し方・食べ方
- 焙煎した豆をメランジャーで精製したカカオペースト(リカー)。量と温度は記載なし
- 誰が・どの尺度で
- 訓練された 5 名。国際的なカカオの評価尺度 0〜10。施設ごとに発酵箱 3 つ(補足表の COC は 2 行ずつ)。官能の値に検定の結果は記載なし(方法の節は混合モデルと Fisher の LSD を書く)
| 測ったもの | 比べた組・条件 | 処理を変えた試料 | 比べた相手 | 単位 | 向き・検定 |
|---|---|---|---|---|---|
| 苦味の強さ(官能) | 発酵 7 日 対 4 日(ASA) 同じ施設の同じ発酵箱から 4 日目と 7 日目に豆を採り(本文の記述)、各施設の方法で乾燥した。官能用の焙煎は豆の大きさと水分に応じて設定され、温度と時間は記載なし。施設ごとに豆の量・切り返し・乾燥の日数・クローンが違う | 2.67(3, 3, 2) | 2.00(2, 2, 2) | 0〜10 の尺度。補足表の箱ごとの値(かっこ内)を読み手が平均した | 処理を変えた試料の方が苦い 検定の記載なし |
| 官能の値に検定の結果は書かれていない。本文 3.5 節の「ASA と COC で苦味と渋味が増え、CMI で減った」と苦味の向きは合う 原典の位置: 補足表 S1(Sensory)、3.5 節、図 3 発酵・乾燥・焙煎などの製造の工程の条件で、人が感じるカカオ(豆から作ったリカーやチョコレート)の苦味が変わるかの比較に: 限られる — 同じ発酵箱の豆で発酵の日数を比べたが、検定が無く、値は補足表から読み手が計算した平均で、評価者は 5 名 | |||||
| 苦味の強さ(官能) | 発酵 7 日 対 4 日(CMI) 同じ施設の同じ発酵箱から 4 日目と 7 日目に豆を採り(本文の記述)、各施設の方法で乾燥した。官能用の焙煎は豆の大きさと水分に応じて設定され、温度と時間は記載なし。施設ごとに豆の量・切り返し・乾燥の日数・クローンが違う | 2.33(3, 2, 2) | 3.33(4, 2, 4) | 0〜10 の尺度。補足表の箱ごとの値(かっこ内)を読み手が平均した | 比べた相手の方が苦い 検定の記載なし |
| 官能の値に検定の結果は書かれていない。本文 3.5 節の「ASA と COC で苦味と渋味が増え、CMI で減った」と苦味の向きは合う。渋味は補足表で 4 日目と 7 日目がどちらも 3.00 で、本文の「CMI で渋味が減った」と合わない 原典の位置: 補足表 S1(Sensory)、3.5 節、図 3 発酵・乾燥・焙煎などの製造の工程の条件で、人が感じるカカオ(豆から作ったリカーやチョコレート)の苦味が変わるかの比較に: 限られる — 同じ発酵箱の豆で発酵の日数を比べたが、検定が無く、値は補足表から読み手が計算した平均で、評価者は 5 名 | |||||
| 苦味の強さ(官能) | 発酵 7 日 対 4 日(COC) 同じ施設の同じ発酵箱から 4 日目と 7 日目に豆を採り(本文の記述)、各施設の方法で乾燥した。官能用の焙煎は豆の大きさと水分に応じて設定され、温度と時間は記載なし。施設ごとに豆の量・切り返し・乾燥の日数・クローンが違う | 3.0(3, 3) | 2.5(3, 2) | 0〜10 の尺度。補足表の箱ごとの値(かっこ内)を読み手が平均した | 処理を変えた試料の方が苦い 検定の記載なし |
| 官能の値に検定の結果は書かれていない。本文 3.5 節の「ASA と COC で苦味と渋味が増え、CMI で減った」と苦味の向きは合う。本文は同じ箱から採ったとするが、補足表の COC は 4 日目が反復 1・3、7 日目が反復 1・2 で番号がそろわず、本文の 3 反復とも合わない。平均は各日にある 2 行から計算した。4 日目の 1 行は CMI の 7 日目の 1 行と全項目が同じ値 原典の位置: 補足表 S1(Sensory)、3.5 節、図 3 発酵・乾燥・焙煎などの製造の工程の条件で、人が感じるカカオ(豆から作ったリカーやチョコレート)の苦味が変わるかの比較に: 限られる — 同じ発酵箱の豆で発酵の日数を比べたが、検定が無く、値は補足表から読み手が計算した平均で、評価者は 5 名 | |||||
Streule ら 2024 官能だけ
Effect of Pod Storage and Drying Temperature on Fermentation Dynamics and Final Bean Quality of Cacao Nacional in Ecuador. Foods 13:1536 — doi:10.3390/foods13101536
- 原文の確認の深さ
- 全文で確認 — Europe PMC の全文(2.1・2.2.9・2.3 節、3.9 節、表 5、4.2 節) 確かめた者: LLM(読み取りの係が抜き出し、別の者が原典で照合。人の確認は無い)、2026-10-22。
- 試料
- エクアドルの Cacao Nacional。マナビ(A)とグアヤス(F)の 2 か所で、それぞれ独立に 3 回(2021 年 9〜11 月)
- 加工・調理
- 最初の一晩はプラスチックの袋に入れ、翌日の予備乾燥のあとジュート袋に移して発酵。さやの保管 0・3・5 日の豆を 60 °C で、保管 0 日の豆を 80 °C で乾燥。80 °C の区は約 8〜10 時間早く乾燥を始め、乾燥機の有効面積の 1/3 に入れた回がある(2・3 回目)
- 出し方・食べ方
- 3 回分を混ぜた豆のカカオリカー。45 °C で提示
- 誰が・どの尺度で
- ZHAW の訓練パネル 8 名(10 回の訓練)。10 cm の線尺度(0 感じない〜10 とても強い)、3 反復。二元配置分散分析(評価者は変量)と Fisher の LSD(p<0.05)
| 測ったもの | 比べた組・条件 | 処理を変えた試料 | 比べた相手 | 単位 | 向き・検定 |
|---|---|---|---|---|---|
| 苦味の強さ(官能) | 乾燥 80 °C 対 60 °C(F) さやの保管 0 日の豆を同じ日に発酵し、80 °C(PS0_H)と 60 °C(PS0_L)で乾燥。80 °C の区は約 8〜10 時間早く乾燥を始め、乾燥機の積み方も違う | 5.6(a) | 4.3(c) | 0〜10 の線尺度(8 名の平均) | 処理を変えた試料の方が苦い 検定あり・有意 |
| 文字が重ならない(二元配置分散分析と Fisher の LSD、p<0.05)。著者は、80 °C の区は乾燥を早く始めたので乾燥の温度より発酵の時間の差が効いたかもしれないとし、乾燥の温度・時間と苦味などの関係は分からないとする 原典の位置: 表 5、3.9 節、4.2 節 発酵・乾燥・焙煎などの製造の工程の条件で、人が感じるカカオ(豆から作ったリカーやチョコレート)の苦味が変わるかの比較に: 限られる — 乾燥の温度を変えて訓練した 8 名が苦味を評価したが、80 °C の区は乾燥を約 8〜10 時間早く始め、乾燥機の積み方も違う | |||||
| 苦味の強さ(官能) | 乾燥 80 °C 対 60 °C(A) さやの保管 0 日の豆を同じ日に発酵し、80 °C(PS0_H)と 60 °C(PS0_L)で乾燥。80 °C の区は約 8〜10 時間早く乾燥を始め、乾燥機の積み方も違う | 5.6(ab) | 4.8(bc) | 0〜10 の線尺度(8 名の平均) | 処理を変えた試料の方が苦い 検定あり・有意差なし |
| 文字 b を共有し、有意差は検出されず。要旨は 80 °C と 60 °C の間に有意差があり 80 °C の方が苦く渋かったと書くが、A の苦味は表 5 では有意でない 原典の位置: 表 5、3.9 節、4.2 節 発酵・乾燥・焙煎などの製造の工程の条件で、人が感じるカカオ(豆から作ったリカーやチョコレート)の苦味が変わるかの比較に: 限られる — 乾燥の温度を変えて訓練した 8 名が苦味を評価したが、80 °C の区は乾燥を約 8〜10 時間早く始め、乾燥機の積み方も違う | |||||
| 渋味(官能) | 乾燥 80 °C 対 60 °C(A、渋味) さやの保管 0 日の豆を同じ日に発酵し、80 °C(PS0_H)と 60 °C(PS0_L)で乾燥。80 °C の区は約 8〜10 時間早く乾燥を始め、乾燥機の積み方も違う | 5.8(a) | 4.9(cd) | 0〜10 の線尺度(8 名の平均) | 処理を変えた試料が高い 検定あり・有意 |
| 渋味で、苦味ではない。文字が重ならない。F でも 5.8(ab)と 4.3(d)で有意 原典の位置: 表 5、3.9 節、4.2 節 発酵・乾燥・焙煎などの製造の工程の条件で、人が感じるカカオ(豆から作ったリカーやチョコレート)の苦味が変わるかの比較に: 使えない — 渋味で、苦味ではない | |||||
Streule ら 2023 官能だけ
Variations in Ecuadorian Cocoa Fermentation and Drying at Two Locations: Implications for Quality and Sensory. Foods 13(1):137 — doi:10.3390/foods13010137
- 原文の確認の深さ
- 全文で確認 — PMC の全文(2.1・2.3.6・2.4 節、3.6 節、表 1・3・6) 確かめた者: LLM(読み取りの係が抜き出し、別の者が原典で照合。人の確認は無い)、2026-10-22。
- 試料
- エクアドルの Cacao Nacional。マナビ(A)とロスリオス(E)の 2 か所(2018 年 4〜8 月)。約 50 kg ずつに分けて 9 通りの処理
- 加工・調理
- 発酵の容器(木箱・ジュート袋・プラスチックの袋)、予備乾燥、切り返し、発酵の時間(4 日目まで約 63 時間、3 日目まで約 40 時間)、乾燥の温度(高い・低い)を組み合わせた。A の乾燥の最高温度の平均は低い区 94.5 °C・高い区 96.3 °C、平均の温度は 59.0 °C と 73.2 °C
- 出し方・食べ方
- 2 回分を混ぜた豆のカカオリカー(A は 1・2 回目、E は 3・4 回目)。作り方は前報により、提示の温度はこの論文に記載なし
- 誰が・どの尺度で
- Lindt & Sprüngli のカカオパネル 9 名(ISO 8586 で選抜・訓練)。10 cm の VAS、別の 3 回のセッション。混合分散分析(評価者は変量)と Tukey HSD。表 6 は同じ文字なら有意差なし(脚注は p<0.001)
| 測ったもの | 比べた組・条件 | 処理を変えた試料 | 比べた相手 | 単位 | 向き・検定 |
|---|---|---|---|---|---|
| 苦味の強さ(官能) | 高い温度で乾燥 対 低い温度で乾燥(A) ジュート袋・予備乾燥あり・切り返しなしで 4 日目まで(約 63 時間)発酵し、乾燥の温度だけを変えた(JpT 対 Jp) | 6.6(ab) | 5.9(abc) | 10 cm の VAS(9 名の平均。2 回分を混ぜた試料) | 処理を変えた試料の方が苦い 検定あり・有意差なし |
| 文字を共有し、有意差は検出されず(混合分散分析と Tukey HSD)。高い区と低い区の乾燥の温度は、表 3 では区の群ごとの値しかない 原典の位置: 表 6、表 1・3、2.1 節 発酵・乾燥・焙煎などの製造の工程の条件で、人が感じるカカオ(豆から作ったリカーやチョコレート)の苦味が変わるかの比較に: 限られる — 乾燥の温度だけを変えて訓練した 9 名が苦味を評価したが、2 回分を混ぜた試料で、高い区と低い区の温度は区の群の値しかない | |||||
| 苦味の強さ(官能) | 発酵を 1 日短く 対 4 日目まで(どちらも高い温度で乾燥、A) ジュート袋・予備乾燥あり・切り返しなし・高い温度で乾燥。発酵を 3 日目まで(約 40 時間)にした区(JpsT)は乾燥を 3 日目に始め、4 日目まで(約 63 時間)の区(JpT)は 4 日目に始めた | 7.1(a) | 6.6(ab) | 10 cm の VAS(9 名の平均。2 回分を混ぜた試料) | 処理を変えた試料の方が苦い 検定あり・有意差なし |
| 文字 a を共有し、有意差は検出されず(混合分散分析と Tukey HSD) 原典の位置: 表 6、表 1・3、2.1 節 発酵・乾燥・焙煎などの製造の工程の条件で、人が感じるカカオ(豆から作ったリカーやチョコレート)の苦味が変わるかの比較に: 限られる — 発酵を短くしたときの比較だが、乾燥を始めた日も違い、2 回分を混ぜた試料 | |||||
| 苦味の強さ(官能) | 短い発酵・高い温度で乾燥 対 木箱で切り返す発酵・低い温度で乾燥(A) JpsT(ジュート袋・予備乾燥あり・切り返しなし・3 日目まで約 40 時間・高い温度)と対照の Wt(木箱・2・3 日目に切り返し・予備乾燥なし・4 日目まで約 63 時間・低い温度)。容器・切り返し・予備乾燥・発酵の時間・乾燥の温度が同時に違う | 7.1(a) | 4.6(cde) | 10 cm の VAS(9 名の平均。2 回分を混ぜた試料) | 処理を変えた試料の方が苦い 検定あり・有意 |
| 文字が重ならない(混合分散分析と Tukey HSD)。要旨は、袋で予備乾燥も切り返しもしない区や、ジュート袋で発酵を短くした区は発酵の最高温度が低く、リカーが苦く渋かったと書く 原典の位置: 表 6、表 1・3、2.1 節、要旨 発酵・乾燥・焙煎などの製造の工程の条件で、人が感じるカカオ(豆から作ったリカーやチョコレート)の苦味が変わるかの比較に: 限られる — 有意差はあるが、容器・切り返し・予備乾燥・発酵の時間・乾燥の温度が同時に違い、どの工程の効果かは分けられない | |||||
Ponka ら 2020 官能だけ
The reduction of cocoa cake bitterness using natron and its effects on chocolate nutritive value. Food Science & Nutrition 8(7):3425-3434 — doi:10.1002/fsn3.1624
- 原文の確認の深さ
- 全文で確認 — PMC の全文(材料と方法、結果の最初の節、表 4) 確かめた者: LLM(読み取りの係が抜き出し、別の者が原典で照合。人の確認は無い)、2026-10-22。
- 試料
- カメルーンの村(Fegmimbang)で集めた混合のカカオ豆(農家が天日で乾燥。発酵の記載なし)
- 加工・調理
- 豆 5 kg を小鍋の弱火で 30〜40 分煎り、割って皮を除き、すりつぶして水 5 L と混ぜて加熱し、油を除いた残り(カカオケーキ)。その 200 g にナトロン(炭酸ナトリウム・硫酸ナトリウム・塩化ナトリウムなどの塩の混合物と著者は書く)0・0.961・1.082・1.202・1.322・1.442 g を混ぜ、弱火で 10 分。1.202 g は農家の使う量
- 出し方・食べ方
- ナトロンで処理したカカオケーキを味見(量と温度は記載なし)
- 誰が・どの尺度で
- 35 名(訓練の記載なし)。9 段階(1 極めて苦い・5 苦くも甘くもない・9 極めて甘い)。一元配置分散分析と Duncan 法(p<0.05)
| 測ったもの | 比べた組・条件 | 処理を変えた試料 | 比べた相手 | 単位 | 向き・検定 |
|---|---|---|---|---|---|
| 苦味の強さ(官能) | ナトロン 1.442 g 対 0 g(カカオケーキ 200 g あたり) 同じカカオケーキ 200 g にナトロンを混ぜ、弱火で 10 分。途中の量は 0.961 g が 2.72(ab)、1.082 g が 3.47(cd)、1.202 g が 3.25(bc)、1.322 g が 3.58(cd) | 4.14(d) | 2.47(a) | 値が小さいほど苦い。9 段階(1 極めて苦い・5 苦くも甘くもない・9 極めて甘い)の平均。値が大きいほど苦くない | 比べた相手の方が苦い 検定あり・有意 |
| 文字が重ならない(一元配置分散分析と Duncan 法、p<0.05)。量の順に並ばない所がある(1.082 g の方が 1.202 g より高い)。苦いから甘いまでをひとつの尺度で評価していて、苦味が弱まったのか甘く感じたのかを分けられない。「向き」の「〜が高い」は苦味が強い方を示し、ここでは値と逆になる(0 g の方が苦い) 原典の位置: 表 4、結果の最初の節 発酵・乾燥・焙煎などの製造の工程の条件で、人が感じるカカオ(豆から作ったリカーやチョコレート)の苦味が変わるかの比較に: 限られる — 同じカカオケーキにアルカリの塩を加えて 35 名が評価したが、工業のアルカリ処理ではなく農家の技法で、尺度は苦い〜甘いをひとつにした尺度 | |||||
Gumelar ら 2022 官能だけ
Antioxidant Content of Tisane of Cocoa Bean Shells as Affected by Roasting Temperatures. Pelita Perkebunan 38(3):200–210 — doi:10.22302/iccri.jur.pelitaperkebunan.v38i3.524
- 原文の確認の深さ
- 全文で確認 — 全文の PDF 11 頁(方法の焙煎・殻の分離・官能、表 3)。表 3 は頁画像で確認 確かめた者: LLM(読み取りの係が抜き出し、別の者が原典で照合。人の確認は無い)、2026-10-22。
- 試料
- インドネシアのコーヒー・カカオ研究所(ICCRI)の試験場のトリニタリオ種の豆 0.5 kg を焙煎し、脱殻して取った殻(豆ではない)。比べる相手に紅茶 3 種
- 加工・調理
- 豆のまま 100 °C 20 分・120 °C 20 分・140 °C 18 分で焙煎してから殻を分けた
- 出し方・食べ方
- 殻 2 g に沸騰した湯 150 mL、5 分置いて濾し、25 mL を砂糖・乳なしで
- 誰が・どの尺度で
- 訓練していない 20 名から基本の味の識別(苦味はカフェイン 0.25% と 0.5%)で選んだ 15 名。強さを評価し、Kruskal–Wallis 検定の平均順位(表 3)。焙煎温度どうしの組の比較は無い
| 測ったもの | 比べた組・条件 | 処理を変えた試料 | 比べた相手 | 単位 | 向き・検定 |
|---|---|---|---|---|---|
| 苦味の強さ(官能) | 殻:140 °C 18 分 対 100 °C 20 分(豆のまま焙煎) 豆を焙煎してから取った殻のティザンで、豆ではない。120 °C 20 分は 37.8 | 54.7 | 17.4 | 苦味の平均順位(Kruskal–Wallis、紅茶 3 種を含む 6 試料。大きいほど強い) | 処理を変えた試料の方が苦い 検定あり・有意差の報告はあるが、どの組の差かは不明 |
| 苦味は 6 試料全体で有意(p<0.05)と本文にあるが、焙煎温度どうしの組の比較は無い。紅茶は 58.5・62.3・42.3 原典の位置: 表 3、結果の官能の節 発酵・乾燥・焙煎などの製造の工程の条件で、人が感じるカカオ(豆から作ったリカーやチョコレート)の苦味が変わるかの比較に: 使えない — 殻のティザンで、豆やチョコレートの苦味ではない | |||||
実験の中で確かめられたこと
同じ研究の中の比較で観察された結果だけを書く。豆の結果と殻の結果は分けて書く。
- 同じ 3 産地の豆で焙煎の温度と時間だけを変えると、苦味は焙煎が強いほど下がり、温度の効き方が時間より大きかった(温度の係数は有意、時間の係数は有意ではなく、時間×温度の交互作用は有意)。試験した範囲の両端で、モデルの予測はガーナ産 30 から 22、マダガスカル産 28.2 から 25.8、ペルー産 30 から 27 だった。苦味が最も低い領域は 135〜171 °C だった。 [表の行: McClure ら 2022 焙煎の温度が 1 標準偏差(42 °C)高い 対 平均/McClure ら 2022 試験した範囲で苦味が最も低い所 対 最も高い所(ガーナ産)/McClure ら 2022 試験した範囲で苦味が最も低い所 対 最も高い所(マダガスカル産)/McClure ら 2022 試験した範囲で苦味が最も低い所 対 最も高い所(ペルー産)]
- 予備乾燥をしない豆で自然発酵の日数を 0・2・4・6 日にすると、苦味の品質点は 2.6・4.3・5.3・6.3 と上がり(高いほど苦味が気にならない)、0 日と 6 日には有意差があった。 [表の行: Haruna ら 2024 発酵 6 日 対 0 日(予備乾燥なし)]
- 同じ施設で 4 日目と 7 日目に採った豆では(本文は同じ箱から採ったとするが、COC は補足表の反復の番号がそろわない)、苦味の値(読み手が計算した平均)は ASA で 2.00 から 2.67、COC で 2.5 から 3.0 と上がり、CMI で 3.33 から 2.33 と下がった。官能の値に検定の結果は書かれていない。 [表の行: Ramírez González ら 2024 発酵 7 日 対 4 日(ASA)/Ramírez González ら 2024 発酵 7 日 対 4 日(CMI)/Ramírez González ら 2024 発酵 7 日 対 4 日(COC)]
- 同じ日に発酵を始めた豆を 60 °C と 80 °C で乾燥すると、80 °C の方が苦味の値が高かった(F は 4.3 と 5.6 で有意、A は 4.8 と 5.6 で有意差なし)。渋味は A でも有意に高かった(4.9 と 5.8)。80 °C の区は乾燥を約 8〜10 時間早く始めていた。 [表の行: Streule ら 2024 乾燥 80 °C 対 60 °C(F)/Streule ら 2024 乾燥 80 °C 対 60 °C(A)/Streule ら 2024 乾燥 80 °C 対 60 °C(A、渋味)]
- 同じやり方(ジュート袋・予備乾燥あり・切り返しなし)で発酵した豆で乾燥の温度だけを高くすると、苦味の値は 5.9 から 6.6 で有意差はなかった。さらに発酵を 1 日短くしても 6.6 から 7.1 で有意差はなかった。木箱で切り返して発酵し低い温度で乾燥した対照(4.6)と、発酵を短くし高い温度で乾燥した区(7.1)の間には有意差があったが、容器・切り返し・予備乾燥・発酵の時間・乾燥の温度が同時に違う。 [表の行: Streule ら 2023 高い温度で乾燥 対 低い温度で乾燥(A)/Streule ら 2023 発酵を 1 日短く 対 4 日目まで(どちらも高い温度で乾燥、A)/Streule ら 2023 短い発酵・高い温度で乾燥 対 木箱で切り返す発酵・低い温度で乾燥(A)]
- 同じカカオケーキにナトロンを加えると、苦味の評点は 0 g の 2.47 から 1.442 g の 4.14 に上がり(1 極めて苦い・5 苦くも甘くもない・9 極めて甘い)、苦味が弱まる向きで有意だった。途中の量では順に並ばない所がある(1.082 g が 3.47、1.202 g が 3.25)。 [表の行: Ponka ら 2020 ナトロン 1.442 g 対 0 g(カカオケーキ 200 g あたり)]
- 殻を取る前の豆を 100 °C 20 分・120 °C 20 分・140 °C 18 分で焙煎すると、殻のティザンの苦味の平均順位は 17.4・37.8・54.7 と、高い温度ほど高かった。検定は紅茶を含む 6 試料全体のもので、焙煎温度どうしの組の比較は無い。 [表の行: Gumelar ら 2022 殻:140 °C 18 分 対 100 °C 20 分(豆のまま焙煎)]
結果の違いの説明の候補
研究のあいだで違う条件のうち、苦味の結果の違いを説明しうるもの。 複数の条件が同時に違うので、どれが効いたかは分からない。ここに書くのは候補で、原因ではない。
- 観察として、Haruna ら 2024 は発酵 0 日の豆のリカーを不快に苦く極めて渋いと書く(官能の結果の記述)。著者の解釈として、Streule ら 2024 は 80 °C の区の苦味と渋味が強かったことを、乾燥を早く始めて発酵が弱かったことと合うとし、Ramírez González ら 2024 は苦味と渋味が増えた施設を発酵が進みすぎた可能性と結びつける。そのうえでのこの頁の候補として、発酵や乾燥の条件で苦味の向きが分かれたのは、発酵がどこまで進んだかの違いで説明しうる。これはこの頁の推論で、確かめられてはいない。 [表の行: Haruna ら 2024 発酵 6 日 対 0 日(予備乾燥なし)/Streule ら 2024 乾燥 80 °C 対 60 °C(F)/Ramírez González ら 2024 発酵 7 日 対 4 日(ASA)]
- 焙煎については、McClure らと飯田らで、高い温度で焙煎した方が苦味(飯田らはなめ始めの苦味)が低い向きは共通している。ただし、McClure らは砂糖を加えないチョコレートで温度と時間を広い範囲で変えたモデルの予測で、飯田らは砂糖 40% のチョコレートで温度と時間が同時に違う焙煎を比べたもので、図に有意の印は無い。試料・設計・有意性が違うので、同じ大きさの効果とは読まない。殻のティザンは高い温度ほど苦味の順位が高かったが、殻は豆とは別の材料で、別に扱う。 [表の行: McClure ら 2022 焙煎の温度が 1 標準偏差(42 °C)高い 対 平均/飯田ら 2018 低温・長時間の焙煎 対 高温の焙煎(なめ始めの苦味)/Gumelar ら 2022 殻:140 °C 18 分 対 100 °C 20 分(豆のまま焙煎)]
分かっていないこと——この比較だけでは分けられないこと
- 収録した研究の一部では、比べた処理のほかに条件が同時に違い、一つの工程の効果に分けられない。Streule ら 2024 の 80 °C の区は乾燥を早く始め、乾燥機の積み方も違う。Streule ら 2023 の発酵を短くした区は乾燥を始めた日も違い、対照の木箱との比較では多くの条件が同時に違う。Ramírez González ら 2024 は同じ施設の中では同じ箱の豆を比べているが、施設をまたぐと豆の量・切り返し・乾燥の日数・クローンが違い、施設どうしは比べられない。評価したのは複数回分を混ぜたリカーか施設ごとの箱の値で、同じ処理を別の時期にくり返したときに同じ向きになるかは分からない。 [表の行: Streule ら 2024 乾燥 80 °C 対 60 °C(F)/Streule ら 2023 発酵を 1 日短く 対 4 日目まで(どちらも高い温度で乾燥、A)/Streule ら 2023 短い発酵・高い温度で乾燥 対 木箱で切り返す発酵・低い温度で乾燥(A)/Ramírez González ら 2024 発酵 7 日 対 4 日(CMI)]
- 値の性質が研究ごとに違う。McClure らの値はモデルの予測値で処理ごとの実測の平均ではなく、Haruna らの値は苦味の強さでなく品質点(高いほど苦味が気にならない)、Ponka らは苦いから甘いまでをひとつにした尺度、Gumelar らは順位、Ramírez González らは補足表から読み手が計算した平均で、飯田らの値は図から読めない。値どうしを研究をまたいで比べない。 [表の行: McClure ら 2022 試験した範囲で苦味が最も低い所 対 最も高い所(ガーナ産)/Haruna ら 2024 発酵 6 日 対 0 日(予備乾燥なし)/Ponka ら 2020 ナトロン 1.442 g 対 0 g(カカオケーキ 200 g あたり)/Gumelar ら 2022 殻:140 °C 18 分 対 100 °C 20 分(豆のまま焙煎)/Ramírez González ら 2024 発酵 7 日 対 4 日(ASA)/飯田ら 2018 低温・長時間の焙煎 対 高温の焙煎(なめ始めの苦味)]
- この表の発酵・乾燥・焙煎は、カカオの製造者が豆に施す工程の比較で、買ったチョコレートやココアを家庭でどう扱うかの比較ではない。ナトロンの研究も、カメルーンの農家の技法で、工業のアルカリ処理(ダッチ処理)を比べたものではない。カカオ分の違いは別の頁で扱う。 [表の行: McClure ら 2022 焙煎の温度が 1 標準偏差(42 °C)高い 対 平均/Ponka ら 2020 ナトロン 1.442 g 対 0 g(カカオケーキ 200 g あたり)]
研究と行の数え方
根拠の行の数は、研究の数ではない。表の行・台帳の根拠の行・論文・研究グループを分けて数える。
- 表に入れた資料: 8 本。うち人が評価した苦味の結果をこの表に載せたのは 8 本。ほかは、別のもの(成分・におい)の結果だけを載せたか、条件を考える材料として入れた。
- 表の行(研究×測定結果): 18 行。うち人が感じる苦味の行: 17 行。
- この表が拠っている研究所の台帳の根拠の行: 0 行。1 本の論文から複数の行を作っている。台帳の根拠の行が無い行は、同じ論文の別の表から取った値か、この問いのために新しく読んだ資料の値である。
- 苦味の結果を載せた研究の、台帳の上の研究グループの区分の数: 7(同じ研究室の報告は 1 つと数えた。共著者や所属が重なる所もあり、独立した追試の数ではない)。
調べた範囲
この問いのために見た資料と、表に入れた・除いた理由を残す。 Europe PMC と J-STAGE で、カカオの発酵・乾燥・焙煎・アルカリ処理・コンチングの条件を変えて人が苦味を評価した研究を探し、研究所の台帳にある資料と合わせた。 全文に当たれなかった研究と、要旨までしか読んでいない研究は、その旨を書き分けた。 ここに書いた探し方は記録で、探し漏れが無いことを示すものではない。
| 資料 | 扱い | 理由 |
|---|---|---|
| Optimizing consumer acceptability of 100% chocolate through roasting treatments and effects on bitterness and other important sensory characteristics (2022) doi | 表に入れた | 3 産地の豆で焙煎の温度と時間を変え、消費者 145 名が砂糖を加えないチョコレートの苦味を評価した。全文で読んだ。カカオ分の頁でも使う |
| カカオ豆のロースト条件とビターチョコレート嗜好の関連性 (2018) doi | 表に入れた | 同じ産地の豆の高温と低温の焙煎を、202 名がビターチョコレートで評価した。図の値は読めないので、有意の印と本文の記述だけを使った。全文で読んだ |
| Effects of Predrying and Spontaneous Fermentation Treatments on Nib Acidification, Fermentation Quality, and Flavour Attributes of Ghanaian Cocoa (Theobroma cacao) Beans (2024) doi | 表に入れた | 予備乾燥と発酵の日数を変え、訓練した 7 名がリカーを品質点で評価した。全文で読んだ |
| Fermentation and its effect on the physicochemical and sensory attributes of cocoa beans in the Colombian Amazon (2024) doi | 表に入れた | 3 施設で発酵 4 日目と 7 日目の豆を訓練した 5 名が評価した。値は補足表から計算し、官能の比較の検定結果は記載なし。全文で読んだ |
| Effect of Pod Storage and Drying Temperature on Fermentation Dynamics and Final Bean Quality of Cacao Nacional in Ecuador (2024) doi | 表に入れた | 乾燥の温度(60 °C と 80 °C)とさやの保管を変え、訓練した 8 名がリカーを評価した。全文で読んだ |
| Variations in Ecuadorian Cocoa Fermentation and Drying at Two Locations: Implications for Quality and Sensory (2023) doi | 表に入れた | 発酵の容器・予備乾燥・切り返し・発酵の時間・乾燥の温度を変え、9 名のパネルがリカーを評価した。全文で読んだ |
| The reduction of cocoa cake bitterness using natron and its effects on chocolate nutritive value (2020) doi | 表に入れた | カカオケーキにナトロンを加える量を変え、35 名が評価した。工業のアルカリ処理ではない。全文で読んだ |
| Antioxidant Content of Tisane of Cocoa Bean Shells as Affected by Roasting Temperatures (2022) doi | 表に入れた | 焙煎の温度を変えた豆から取った殻のティザンを 15 名が評価した。豆ではないので、豆の行と分けた。全文で読んだ |
| The impact of controlled fermentation temperature on chemical composition and sensory properties of cacao (2025) doi | 表に入れず、文脈の資料として見た | 発酵の温度を管理して変え、処理別・品種別の官能のプロファイルは図 4(レーダー図)にあるが、正確な値と、苦味の処理間の検定は採録できていない。苦味と成分の相関は図 5 |
| High temperature and nib acidification during cacao-controlled fermentation improve cadmium transfer from nibs to testa and the liquor's flavor (2024) doi | 表に入れず、文脈の資料として見た | Calvo ら 2025 のもとの発酵試験。風味を 0〜10 の強さで評価し図 7 にプロファイルを示すが、苦味の処理間の正確な値と検定は採録していない。掲載の p 値は指標となる属性の出現頻度の解析(補足は読んでいない) |
| The impact of yeast starter cultures on the microbial communities and volatile compounds in cocoa fermentation and the resulting sensory attributes of chocolate (2015) doi | 表に入れず、文脈の資料として見た | 酵母のスターターを使った発酵と自然発酵を比べたが、苦味は時間優位感覚(TDS)の優位率で、強さの比較ではない。図には TDS の有意水準の線があるが、処理間の苦味の強さの検定ではない。人数と検定の詳しい方法は全文が取れず未確認 |
| Comparison of the drying behavior of fermented cocoa (Theobroma cacao L.) beans dried in a cocoa house, greenhouse and mechanical oven (2017) | 表に入れず、文脈の資料として見た | 乾燥の場所と方法(カカオハウス・温室・40 °C のオーブン)を比べたが、苦味は「ほとんど差が無い」という記述だけで、値も評価者の数も採録できない。学会の報告で、査読の有無は未確認 |
| Influences of Depulping, Pod Storage and Fermentation Time on Fermentation Dynamics and Quality of Ghanaian Cocoa (2024) doi | 表に入れず、文脈の資料として見た | さやの保管・果肉の除去・発酵の時間を変えたが、官能は選んだ 5 試料の合議の値で、検定が無い。3〜4 日の発酵の豆は予備の味見で強く苦く渋いとされたが、官能の評価には入っていない |
| Exploring the Impact of Fermentation Time and Climate on Quality of Cocoa Bean-Derived Chocolate: Sensorial Profile and Volatilome Analysis (2024) doi | 表に入れず、文脈の資料として見た | 発酵の時間と気候を変えたが、苦味の値は補足の図にあり、読んでいない |
| Microwave Roasting as an Alternative to Convection Roasting: Sensory Analysis and Physical Characterization of Dark Chocolate (2023) doi | 表に入れず、文脈の資料として見た | 電子レンジの焙煎と熱風の焙煎の 70% チョコレートを、消費者が当てはまる語を選ぶ方法(CATA)で評価。苦味は両方で最も多く選ばれ、味の語の選ばれ方に有意差は無かった。強さの比較ではないので表に入れなかった |
| Chemical composition and flavor of Ecuadorian cocoa liquor (2002) doi | 表に入れず、文脈の資料として見た | 要旨まで。リカーのポリフェノールと苦味・渋味の相関で、発酵・乾燥・焙煎の条件の比較ではない |
| Linking chemical composition and sensory attributes in cocoa liquors: a multivariate profiling strategy (2026) doi | 表に入れず、文脈の資料として見た | 要旨まで。地域の違うリカーの成分と苦味・渋味の関係で、処理の比較ではない |
| Comparison of the Effects of Conching Parameters on the Contents of Three Dominant Flavan3-ols, Rheological Properties and Sensory Quality in Chocolate Milk Mass Based on Liquor from Unroasted Cocoa Beans (2021) doi | 除いた | 焙煎していない豆のリカーのミルクチョコレート様の塊でコンチングの温度と時間を変えたが、評価は味の品質点で、苦味の項目は無い |
| Cocoa Shell Infusion: A Promising Application for Added-Value Beverages Based on Cocoa’s Production Coproducts (2023) doi | 除いた | 殻の浸出液の粒径と温度の比較で、発酵・乾燥・焙煎の条件の比較ではない |
| Effects of Particle Size and Extraction Methods on Cocoa Bean Shell Functional Beverage (2019) doi | 除いた | 殻の飲料の粒径と抽出法の比較で、苦味の強さの項目は無い |
| Bitter and astringent characteristics of alkalized cocoa powder: analysis using UPLC-Q-TOF-MS/MS and molecular simulation (2025) doi | 除いた | 要旨まで。アルカリ処理の前後のココアの苦味の成分を機器と計算で調べた研究で、要旨では人による処理間の苦味の比較を確かめられない。本文と訂正(2026 年)は未確認 |
| Structures, sensory activity, and dose/response functions of 2,5-diketopiperazines in roasted cocoa nibs (Theobroma cacao) (2005) doi | 除いた | 要旨まで。焙煎したニブの苦い成分の閾値で、焙煎の度合いの比較は無い |
| ビーントゥバーの製法による認知度と嗜好性について (2022) | 除いた | 1 頁の学会の要旨。焙煎の温度を変えた砂糖入りのチョコレートを関係者が評価し、高い温度ほど苦味を強く感じる人が多かったと書くが、人数と検定の記載なし |
| 発酵条件の違いがカカオ豆成分やチョコレート風味にあたえる影響の解析 (2025) | 除いた | 1 頁の学会の要旨(日本食品科学工学会 第 72 回大会)。発酵のスターターなどを変え苦味も評価したが、苦味の結果の記述は無い |
| The influence of three different types and dosage of alkaline on the inherent properties in cocoa powder (2020) doi | 全文に当たれない | 2026-10-22 に Europe PMC の全文が取れず(本文が空)、出版社の頁は取りにいかなかった。苦味の比較があるかは確かめていない |
| Volatile organic compounds and sensory profile of dark chocolates made with cocoa beans fermented with Pichia kudriavzevii and Hanseniaspora thailandica (2022) doi | 全文に当たれない | 2026-10-22 に Europe PMC の全文が取れず(本文が空)、出版社の頁は取りにいかなかった。苦味の比較があるかは確かめていない |
図鑑で読む
- カカオの発酵 — 乾燥の前に果肉と豆を発酵させる工程
- カカオ豆の乾燥 — 発酵の後に豆の水分を減らす工程
- カカオの焙煎 — 時間と温度で決まる豆やニブの加熱
- カカオ豆の殻 — 収録した殻のティザンの原料
- カカオの苦味と渋味 — 豆・加工・配合のどこで変わるか — カカオの主題ハブ
- チョコレートはカカオ分が高いほど苦いのか — カカオ分を比べた頁
出典台帳
表の各研究の出典は、研究ごとの欄からたどれる。研究所の全体の出典は出典台帳にまとめている。
この頁の引用のしかた
青木大(NIGAMI LAB)(2026). カカオは発酵・乾燥・焙煎で苦味が変わるのか — 研究ごとの条件と結果. https://nigamilab.com/topics/cocoa-processing-bitterness/
主張ごとの固定リンクは各カードの #clm-… です。データは CC BY 4.0、配布は データを使う。 データセットの DOI: 10.5281/zenodo.22739101