主題ハブ — 2026-10-21
夏みかんの苦味は、酵素(ナリンギナーゼ)や冷凍・缶詰の処理で減るのか
先に断っておくと、夏みかんの苦味を処理を変えて人が比べた研究は、探した範囲では少なく、どれも半世紀ほど前の国内の研究で、評価した人の数が少ないか書かれていない。 苦味の成分(ナリンギン)が処理で減ることを測った研究は多いが、この頁では成分が減ったことを苦味が減ったとは書かず、人が苦味を評価した結果と分けて並べる。 夏みかんの苦味は、缶詰や果汁を作る工場で酵素を使って抜く研究が重ねられてきた。冷凍で苦味が減るのかも、ここで確かめる。 では、酵素・冷凍・缶詰の処理を変えて、人が夏みかんの苦味を比べた研究は何と答えているか。 この頁では、収録した研究を、試料・処理・食べた状態・評価した人と尺度、という条件と一緒に並べる。 そのうえで、同じ実験の中で確かめられたことと、研究のあいだの違いから考えられる説明の候補と、 この比較だけでは分けられないことを、分けて書く。 ここで扱うのは味の感じ方の研究で、食べ方の助言や健康についての話ではない。皮をゆでこぼしたり水にさらしたりする下処理は、柑橘の皮の苦味の頁で扱う。
このページの内容(10 節)
この頁でわかること
- 収録した二本の研究の条件では、凍らせた果肉は生果より苦く、冷凍で苦味が減った結果は無かったこと。
- じょうのうを付けたまま凍らせるとより苦く、液体窒素で凍らせると苦味の増え方が小さかったこと。
- 缶詰に酵素を加えると苦味が弱まる向きだったが、同じ脱皮法の中で酵素の有無を比べた組のうち、人の順位で有意だったのは一組だけだったこと。缶詰にすることそのものの効果は比べられていないこと。
- 凍結でナリンギンの測られた全量は近い値のまま、食べたときに出てくる量が変わる、という説明は候補で、苦味の差をそれだけで説明できるとは確かめられていないこと。
収録した研究で言える範囲
- 収録した 2 本の研究の条件では、冷凍で苦味は減らず、凍らせた夏みかんの果肉は生果より苦かった(岩田ら 1976 は −20 ℃で 4 日、対比較 28 回のすべてで凍結果がより苦く、評点 +2.9 対 −2.0。間苧谷ら 1979 は −10 ℃で凍らせた 7 個とも「極めて苦い」、生果 7 個とも「普通」)。液体窒素で凍らせると、−20 ℃で静置して凍らせるより苦くないと判定され、1 日・100 日・200 日の貯蔵で有意だった(10 日は有意差なし)。 [表の行: 岩田ら 1976 凍結果 対 生果/間苧谷ら 1979 凍結果 対 生果/岩田ら 1976 −20 ℃で静置して凍結 対 液体窒素で凍結(1 日貯蔵)/岩田ら 1976 −20 ℃で静置して凍結 対 液体窒素で凍結(10 日貯蔵)/岩田ら 1976 −20 ℃で静置して凍結 対 液体窒素で凍結(100 日貯蔵)/岩田ら 1976 −20 ℃で静置して凍結 対 液体窒素で凍結(200 日貯蔵)]
- 缶詰に酵素(ナリンギナーゼ)を加えると、苦味が弱まる向きだった。ただし、同じ脱皮法の中で酵素の有無を比べたこの頁の 4 組のうち、7 名の順位で有意だったのは三共ナリンギナーゼと酵素なしの 1 組だけで(−0.55 対 +0.29、5% 水準)、ほかの 3 組は有意ではなかった。論文は脱皮法をまたぐ組も含めて 7 組を有意としている。 [表の行: 津坂 1965 三共ナリンギナーゼを缶に加えた(B)対 加えない(A)/津坂 1965 クミタナーゼを缶に加えた(C)対 加えない(A)/津坂 1965 冷酸法で脱皮し三共ナリンギナーゼを加えた(E)対 加えない(D)/津坂 1965 冷酸法で脱皮しクミタナーゼを加えた(F)対 加えない(D)]
- この表に収録した、処理を変えて人が夏みかんの苦味を比べた研究は四本で、どれも半世紀ほど前の国内の研究で、評価した人の数が少ないか書かれていない。ほかに、人数や方法の書かれていない味見の記述だけがある研究がある。缶詰にすることそのものの効果は比べられておらず、比べたのは缶詰の中で酵素を働かせるかどうかである。苦味の成分(ナリンギン)が処理で減ることは多くの研究で測られているが、成分が減ったことは苦味が減ったことと同じではない。
苦味の評価の一覧
人の苦味の評価の結果だけを抜き出した。「処理した試料」と「比べた相手」の値は、論文の表のまま。 回数・評点・順位・区分・希釈の倍率と、研究ごとに尺度が違うので、値どうしを研究をまたいで比べない。「向き」はどちらが苦かったかで書いた。差が有意かどうかは「向き・検定」の欄の検定の段で見る。研究名を押すと、条件の詳しい表へ移る。 ナリンギンの量の行は、研究ごとの詳しい表にある。
人が苦味を評価した結果だけを抜き出した一覧。値の出所(表の値か図からの目測か)は各行に書いた。研究ごとに尺度も測り方も違うので、行の中で比べ、行どうしは比べない。
| 研究 | 比べた組・条件 | 測り方 | 処理した試料 | 比べた相手 | 向き・検定 |
|---|---|---|---|---|---|
| 岩田ら 1976 | 凍結果 対 生果 果実を丸ごと −20 ℃で凍らせて 4 日置き、果肉を約 0 ℃(表面が解ける直前)で生果の果肉と食べ比べた。対比較 28 回 | 対比較で「より苦い」とされた回数/苦味の評点(−4 苦くない〜+4 極めて苦い) | 28 回、評点 +2.9 | 0 回、評点 −2.0 | 処理した試料の方が苦い 検定あり・有意 |
| 岩田ら 1976 | じょうのう付きで凍結 対 じょうのうを除いて凍結 果皮を除いて袋(セグメント)のまま、またはじょうのうを手で除いた果肉を −20 ℃で 10 日貯蔵。じょうのう付きで凍らせた試料も凍ったままじょうのうを除き、表面が解ける直前の果肉を食べ比べた | 対比較で「より苦い」とされた回数/苦味の評点(−4 苦くない〜+4 極めて苦い) | 14 回、評点 +3.4 | 0 回、評点 +1.6 | 処理した試料の方が苦い 検定あり・有意 |
| 岩田ら 1976 | −20 ℃で静置して凍結 対 液体窒素で凍結(1 日貯蔵) 袋(セグメント)に分けて凍らせ、どちらも −20 ℃で 1 日貯蔵。食べる時にじょうのうを除いた | 対比較で「より苦い」とされた回数/苦味の評点(−4 苦くない〜+4 極めて苦い) | 15 回、評点 +1.8 | 5 回、評点 +1.0 | 処理した試料の方が苦い 検定あり・有意 |
| 岩田ら 1976 | −20 ℃で静置して凍結 対 液体窒素で凍結(10 日貯蔵) 袋(セグメント)に分けて凍らせ、どちらも −20 ℃で 10 日貯蔵。食べる時にじょうのうを除いた | 対比較で「より苦い」とされた回数/苦味の評点(−4 苦くない〜+4 極めて苦い) | 12 回、評点 +3.1 | 8 回、評点 +2.9 | 処理した試料の方が苦い 検定あり・有意差なし |
| 岩田ら 1976 | −20 ℃で静置して凍結 対 液体窒素で凍結(100 日貯蔵) 袋(セグメント)に分けて凍らせ、どちらも −20 ℃で 100 日貯蔵。食べる時にじょうのうを除いた | 対比較で「より苦い」とされた回数/苦味の評点(−4 苦くない〜+4 極めて苦い) | 16 回、評点 +1.6 | 4 回、評点 +0.7 | 処理した試料の方が苦い 検定あり・有意 |
| 岩田ら 1976 | −20 ℃で静置して凍結 対 液体窒素で凍結(200 日貯蔵) 袋(セグメント)に分けて凍らせ、どちらも −20 ℃で 200 日貯蔵。食べる時にじょうのうを除いた | 対比較で「より苦い」とされた回数/苦味の評点(−4 苦くない〜+4 極めて苦い) | 17 回、評点 +2.3 | 3 回、評点 +1.3 | 処理した試料の方が苦い 検定あり・有意 |
| 間苧谷ら 1979 | 凍結果 対 生果 同じ 1 樹の果実を −10 ℃で凍らせて 4 ℃で解かしたものと、4 ℃で冷蔵した生果の果肉 | 表 2 の苦味の記載(「普通」「極めて苦い」。図 4 では 3 区分) | 7 個とも「極めて苦い」 | 7 個とも「普通」 | 処理した試料の方が苦い 検定の記載なし |
| 間苧谷ら 1979 | 凍結果の砂じょう: 水洗いしない 対 水洗い 凍結果の砂じょうをほぐし、10 g を室温で脱塩水 100 mL で洗ったものと洗わないもの | より苦いと選んだ人数(12 名) | 10 名 | 2 名 | 処理した試料の方が苦い 検定の記載なし |
| 津坂 1965 | 三共ナリンギナーゼを缶に加えた(B)対 加えない(A) 常法で脱皮した果肉のシロップ漬け缶詰。酵素液を缶に入れて 65 ℃ 30 分殺菌し、缶の中で働かせた。製造後 3 か月 | 苦味の順位を正規数に変えた調整平均(+ が苦い)、判定人 7 名 | −0.55 | +0.29 | 比べた相手の方が苦い 検定あり・有意 |
| 津坂 1965 | クミタナーゼを缶に加えた(C)対 加えない(A) 同じ(常法で脱皮、缶の中で酵素を働かせた、製造後 3 か月) | 苦味の順位を正規数に変えた調整平均(+ が苦い)、判定人 7 名 | −0.40 | +0.29 | 比べた相手の方が苦い 検定あり・有意差なし |
| 津坂 1965 | 冷酸法で脱皮し三共ナリンギナーゼを加えた(E)対 加えない(D) 冷酸法で脱皮した果肉の缶詰(ほかは同じ)。D は表 6 の酵素の欄が空欄 | 苦味の順位を正規数に変えた調整平均(+ が苦い)、判定人 7 名 | +0.38 | +0.71 | 比べた相手の方が苦い 検定あり・有意差なし |
| 津坂 1965 | 冷酸法で脱皮しクミタナーゼを加えた(F)対 加えない(D) 同じ(冷酸法で脱皮した果肉の缶詰) | 苦味の順位を正規数に変えた調整平均(+ が苦い)、判定人 7 名 | −0.04 | +0.71 | 比べた相手の方が苦い 検定あり・有意差なし |
| 津坂 1965 | 酵素を缶に加えた 対 加えない(実験 2 の味見) 実験 2 の缶詰、製造後 1 か月(区 1・3・4 と、それぞれに酵素を加えた 1A・3A・4A) | 味見の記述(人数の記載なし) | 「幾分少ない」(1A)、「かなり少ない」(3A・4A) | 「強し」(1・3・4) | 比べた相手の方が苦い 検定の記載なし |
| 野村ら 1963 | 酵素剤を加えた 対 加えない(果皮のリモノイドの液) 果皮から取り出したリモノイドの液に酵素剤(ナリンギナーゼ A・G、スクラーゼ、強力スクラーゼ)1% を加え 20 ℃で 20 時間(表の見出しでは一夜)。果肉や缶詰ではない | 苦味を感じなくなるまで薄めた倍率(大きいほど苦い) | 2〜5 倍 | 6 倍 | 比べた相手の方が苦い 検定の記載なし |
研究ごとの条件と結果
研究ごとに、試料・処理・食べた状態・評価した人の条件と、測った結果を並べる。行の単位は「研究×測定結果」で、 同じ研究の中の別の比較は別の行にした。各行の下に、論文での位置と、 その行が「酵素・冷凍・缶詰などの処理で、人が感じる夏みかんの苦味が変わるか」の比較に使えるかを、理由と一緒に書いた。 成分だけの行も、苦味の比較に使えないことが分かるように残した。 空欄にせず、「記載なし」(論文に書かれていない)、「読んでいない」、「該当しない」を書き分けている。
岩田ら 1976 官能と成分
ナツミカン果実の凍結による苦味の増大について. 園芸学会雑誌 45(2):187-191 — doi:10.2503/jjshs.45.187
- 原文の確認の深さ
- 全文で確認 — J-STAGE の PDF 全 5 頁(要約・方法・結果・考察)。表 1〜9 は頁画像で数値まで確認した 確かめた者: LLM(読み取りの係が抜き出し、別の者が原典で照合。人の確認は無い)、2026-10-21。
- 試料
- 広島産ナツミカン(Citrus natsudaidai)の果実。6 ℃で保存しながら使用。生果・凍結果の果肉、じょうのう付き/除去の果肉、果汁(ミキサー破砕後にパルプを除いたもの、リーマー搾汁)。個数は記載なし
- 加工・調理
- −20 ℃の冷凍庫に静置(緩慢凍結)、または液体窒素に浸して超急速凍結したのち −20 ℃で貯蔵。厚さ 0.05 mm のポリエチレン袋に密封。貯蔵は 4 日(表 1)、10 日(表 2)、1・10・100・200 日(表 3)。じょうのうは手で除くか、塩酸と水酸化ナトリウムで除いた。じょうのう付きで凍らせた試料も、評価の前に凍ったままじょうのうを除いた
- 出し方・食べ方
- 果肉の表層が解凍する直前の状態で食べて比べた(0 ℃の冷蔵庫で調整。試料の実測温度は記載なし)。量・容器は記載なし
- 誰が・どの尺度で
- 人数は記載なし(パネルメンバーとだけ書かれ、表 1 の注に対比較 28 回の繰り返しとある)。対比較識別法で 2 試料ずつ比べ、苦味を −4(苦くない)〜+4(極めて苦い)で評点。有意水準は「より苦い」の判定回数に付いた表の印(5%・1%・0.1%)で、検定の名前と評点の差の検定は記載なし。表 2 の評点に付く印は対比の効果の注
| 測ったもの | 比べた組・条件 | 処理した試料 | 比べた相手 | 単位 | 向き・検定 |
|---|---|---|---|---|---|
| 苦味の強さ(官能) | 凍結果 対 生果 果実を丸ごと −20 ℃で凍らせて 4 日置き、果肉を約 0 ℃(表面が解ける直前)で生果の果肉と食べ比べた。対比較 28 回 | 28 回、評点 +2.9 | 0 回、評点 −2.0 | 対比較で「より苦い」とされた回数/苦味の評点(−4 苦くない〜+4 極めて苦い) | 処理した試料の方が苦い 検定あり・有意 |
| 「より苦い」の判定回数に 0.1% 水準の印(検定の名前は記載なし。評点の差の検定は記載なし)。生果の評点が低いのは凍結果と比べたためと著者が注記 原典の位置: 表 1(p.188) 酵素・冷凍・缶詰などの処理で、人が感じる夏みかんの苦味が変わるかの比較に: 使える — 同じ産地の果実の凍結の有無で、果肉の苦味を対比較で比べた | |||||
| 苦味の強さ(官能) | じょうのう付きで凍結 対 じょうのうを除いて凍結 果皮を除いて袋(セグメント)のまま、またはじょうのうを手で除いた果肉を −20 ℃で 10 日貯蔵。じょうのう付きで凍らせた試料も凍ったままじょうのうを除き、表面が解ける直前の果肉を食べ比べた | 14 回、評点 +3.4 | 0 回、評点 +1.6 | 対比較で「より苦い」とされた回数/苦味の評点(−4 苦くない〜+4 極めて苦い) | 処理した試料の方が苦い 検定あり・有意 |
| 「より苦い」の判定回数に 0.1% 水準の印(評点の差の検定は記載なし)。じょうのうを除いて凍らせても評点は +1.6 で、苦味はかなり残った。同じ試料の評点が相手で変わるのは対比の効果と著者が注記 原典の位置: 表 2(p.188) 酵素・冷凍・缶詰などの処理で、人が感じる夏みかんの苦味が変わるかの比較に: 使える — 同じ凍結の条件で、じょうのうの有無だけを変えた | |||||
| 苦味の強さ(官能) | −20 ℃で静置して凍結 対 液体窒素で凍結(1 日貯蔵) 袋(セグメント)に分けて凍らせ、どちらも −20 ℃で 1 日貯蔵。食べる時にじょうのうを除いた | 15 回、評点 +1.8 | 5 回、評点 +1.0 | 対比較で「より苦い」とされた回数/苦味の評点(−4 苦くない〜+4 極めて苦い) | 処理した試料の方が苦い 検定あり・有意 |
| 「より苦い」の判定回数に 5% 水準の印(評点の差の検定は記載なし) 原典の位置: 表 3(p.189) 酵素・冷凍・缶詰などの処理で、人が感じる夏みかんの苦味が変わるかの比較に: 限られる — 凍らせ方で苦味の増え方が違うかの比較で、生果と比べてはいない | |||||
| 苦味の強さ(官能) | −20 ℃で静置して凍結 対 液体窒素で凍結(10 日貯蔵) 袋(セグメント)に分けて凍らせ、どちらも −20 ℃で 10 日貯蔵。食べる時にじょうのうを除いた | 12 回、評点 +3.1 | 8 回、評点 +2.9 | 対比較で「より苦い」とされた回数/苦味の評点(−4 苦くない〜+4 極めて苦い) | 処理した試料の方が苦い 検定あり・有意差なし |
| 有意差なし。夏の高温の時期に試験し、解けやすかった影響と著者が書く 原典の位置: 表 3(p.189) 酵素・冷凍・缶詰などの処理で、人が感じる夏みかんの苦味が変わるかの比較に: 限られる — 凍らせ方で苦味の増え方が違うかの比較で、生果と比べてはいない | |||||
| 苦味の強さ(官能) | −20 ℃で静置して凍結 対 液体窒素で凍結(100 日貯蔵) 袋(セグメント)に分けて凍らせ、どちらも −20 ℃で 100 日貯蔵。食べる時にじょうのうを除いた | 16 回、評点 +1.6 | 4 回、評点 +0.7 | 対比較で「より苦い」とされた回数/苦味の評点(−4 苦くない〜+4 極めて苦い) | 処理した試料の方が苦い 検定あり・有意 |
| 「より苦い」の判定回数に 1% 水準の印(評点の差の検定は記載なし) 原典の位置: 表 3(p.189) 酵素・冷凍・缶詰などの処理で、人が感じる夏みかんの苦味が変わるかの比較に: 限られる — 凍らせ方で苦味の増え方が違うかの比較で、生果と比べてはいない | |||||
| 苦味の強さ(官能) | −20 ℃で静置して凍結 対 液体窒素で凍結(200 日貯蔵) 袋(セグメント)に分けて凍らせ、どちらも −20 ℃で 200 日貯蔵。食べる時にじょうのうを除いた | 17 回、評点 +2.3 | 3 回、評点 +1.3 | 対比較で「より苦い」とされた回数/苦味の評点(−4 苦くない〜+4 極めて苦い) | 処理した試料の方が苦い 検定あり・有意 |
| 「より苦い」の判定回数に 1% 水準の印(評点の差の検定は記載なし) 原典の位置: 表 3(p.189) 酵素・冷凍・缶詰などの処理で、人が感じる夏みかんの苦味が変わるかの比較に: 限られる — 凍らせ方で苦味の増え方が違うかの比較で、生果と比べてはいない | |||||
| ナリンギン(すぐ苦い) | 凍結果 対 生果(果肉のナリンギン) −20 ℃で静置して凍らせ 200 日貯蔵した果肉と、凍らせていない果肉 | 可溶性 61.0、全量 84.5 | 可溶性 60.7、全量 82.5 | mg/100 g | ほぼ同じ 検定の記載なし |
| 表に検定の方法・統計量はない。本文は生果と凍結果の含量に有意な差はみられなかったとし、苦味の差をナリンギンの量だけでは説明できないと書く 原典の位置: 表 4(p.189) 酵素・冷凍・缶詰などの処理で、人が感じる夏みかんの苦味が変わるかの比較に: 使えない — 成分の量で、苦味の評価ではない | |||||
間苧谷ら 1979 官能と成分
カンキツの苦味に関する研究. 園芸学会雑誌 47(4):546-552 — doi:10.2503/jjshs.47.546
- 原文の確認の深さ
- 全文で確認 — J-STAGE の PDF 全 7 頁。表 2〜4 と図 4 は頁画像で確認 確かめた者: LLM(読み取りの係が抜き出し、別の者が原典で照合。人の確認は無い)、2026-10-21。
- 試料
- 果樹試験場安芸津支場の 17 年生の川野系ナツダイダイ 1 樹から、凍害の来る前の 1 月 13 日に採った果実。果肉(じょうのうを除いた砂じょう)。官能の表 2 は生果 7 個と凍結果 7 個
- 加工・調理
- 生果は 4 ℃で冷蔵。凍結果は生果を −10 ℃の低温室で凍らせ、4 ℃で解かした。ナリンギンを測る果汁は、完全に磨り潰す・手動の搾り器で普通の握力で果汁が出なくなるまで押す(圧搾)・弱い握力で押す(軽圧搾)・水で抽出する方法で調製
- 出し方・食べ方
- 果肉(表 3 は凍結果の砂じょう 10 g を室温で脱塩水 100 mL で洗ったものと洗わないもの)。食べた量・温度は記載なし
- 誰が・どの尺度で
- パネル 12 名(表 3 の注と図 4。表 2 は人数の記載なし)、訓練の記載なし。表 2 は苦味を「普通」「極めて苦い」と記載、図 4 は「普通」「明らかに苦い」「極めて苦い」の 3 区分、表 3 はどちらが苦いかを選んだ。官能の評価の統計の検定は記載なし(成分の表 4 は Duncan の多重検定 5%)
| 測ったもの | 比べた組・条件 | 処理した試料 | 比べた相手 | 単位 | 向き・検定 |
|---|---|---|---|---|---|
| 苦味の強さ(官能) | 凍結果 対 生果 同じ 1 樹の果実を −10 ℃で凍らせて 4 ℃で解かしたものと、4 ℃で冷蔵した生果の果肉 | 7 個とも「極めて苦い」 | 7 個とも「普通」 | 表 2 の苦味の記載(「普通」「極めて苦い」。図 4 では 3 区分) | 処理した試料の方が苦い 検定の記載なし |
| 官能の評価の統計の検定は記載なし。表 2 には評価した人数の記載がない 原典の位置: 表 2(p.548) 酵素・冷凍・缶詰などの処理で、人が感じる夏みかんの苦味が変わるかの比較に: 限られる — 同じ 1 樹の果実で凍結の有無を比べたが、表 2 の評価は「普通」「極めて苦い」の記載だけで、人数と検定の記載がない | |||||
| どちらが苦いかを選んだ人数(官能) | 凍結果の砂じょう: 水洗いしない 対 水洗い 凍結果の砂じょうをほぐし、10 g を室温で脱塩水 100 mL で洗ったものと洗わないもの | 10 名 | 2 名 | より苦いと選んだ人数(12 名) | 処理した試料の方が苦い 検定の記載なし |
| 検定の記載なし。洗っても洗わなくても、12 名全員が「極めて苦い」と判定した 原典の位置: 表 3(p.548) 酵素・冷凍・缶詰などの処理で、人が感じる夏みかんの苦味が変わるかの比較に: 限られる — 凍結果どうしの比較で、水で洗っても苦味は残った。生果とは比べていない | |||||
| ナリンギン(すぐ苦い) | 凍結果 対 生果(搾り器で押し切った果汁のナリンギン) 果肉を手動の搾り器で、普通の握力で果汁が出なくなるまで押した果汁(弱い握力の軽圧搾とは別) | 73.0 | 23.7 | mg% | 処理した試料が高い 検定の記載なし |
| 表 4 の Duncan の多重検定(5%)の印は、生果・凍結果それぞれの行の中で搾り方を比べた印と読める。生果と凍結果のあいだの検定は記載なし 原典の位置: 表 4(p.548) 酵素・冷凍・缶詰などの処理で、人が感じる夏みかんの苦味が変わるかの比較に: 使えない — 成分の量で、苦味の評価ではない | |||||
| ナリンギン(すぐ苦い) | 凍結果 対 生果(完全に磨り潰した果肉のナリンギン) 果肉をミキサーとホモジナイザーで完全に磨り潰した液 | 69.9 | 67.3 | mg% | ほぼ同じ 検定の記載なし |
| 生果と凍結果のあいだの検定は記載なし。測られた全量は近い値で、搾り器で押し切ったときに出てくる量が違った 原典の位置: 表 4(p.548) 酵素・冷凍・缶詰などの処理で、人が感じる夏みかんの苦味が変わるかの比較に: 使えない — 成分の量で、苦味の評価ではない | |||||
津坂 1965 官能と成分
ナリンギナーゼによる夏ミカンシラップ漬け罐詰の苦味除去. 日本食品工業学会誌 12(5):167-172 — doi:10.3136/nskkk1962.12.167
- 原文の確認の深さ
- 全文で確認 — J-STAGE の PDF 全 6 頁。実験 1〜3 と要約。表 3〜9 は頁画像で確認。表 1・2・10 は本文の記述で読んだ 確かめた者: LLM(読み取りの係が抜き出し、別の者が原典で照合。人の確認は無い)、2026-10-21。
- 試料
- 和歌山県有田郡産の夏みかん(実験 1: M〜L 級・1962 年 3 月、実験 2: M 級・1963 年 2 月、実験 3: M 級・1963 年 3 月購入)のシロップ漬け缶詰。官能は実験 3 の 8 試料(A〜H)。酵素剤はナリンギナーゼ AN、三共ナリンギナーゼ、クミタナーゼ(田辺製薬)。表 6 で A・D・G の酵素の欄が空欄であることは頁画像で確かめた。A・D・G を酵素なしの対照と読むのは、配置と本文からの解釈
- 加工・調理
- 脱皮は 0.7% 塩酸 40 ℃・0.6% NaOH 30 ℃など(冷酸法の区もある)。添加法は酵素液 2 mL/缶を注入シロップとともに入れて密封、65 ℃ 30 分などで殺菌し缶内で作用させる。浸漬法は果肉と同重量の 50 ℃の温水に酵素 0.4〜0.5% を入れ、1 晩(保温せず)。肉詰め 200〜250 g。製造後 1〜3 か月貯蔵して分析。官能の対象は実験 3 で、注入シロップはショ糖のみで調製し、高酸度を和らげる目的でクエン酸ナトリウム 200 mg/缶を添加、肉詰めは果肉 230 g・シロップ 85 g。著者は、酸味の違いが苦味の順位の判定に影響した可能性を述べている
- 出し方・食べ方
- 記載なし(開缶後の温度・量・容器)
- 誰が・どの尺度で
- 判定人 7 名(訓練の記載なし)。不完備型順位法(試料 8、1 ブロック 4 試料、反復 7、ブロック数 14)で苦味の順位をつけ、正規数に変換して分散分析し、最小有意差(5% 0.78、1% 1.10。表 8 の頁画像で確認)で比べた。実験 1・2 の苦味は、人数・方法の記載のない味見の記述
| 測ったもの | 比べた組・条件 | 処理した試料 | 比べた相手 | 単位 | 向き・検定 |
|---|---|---|---|---|---|
| 苦味の強さ(官能) | 三共ナリンギナーゼを缶に加えた(B)対 加えない(A) 常法で脱皮した果肉のシロップ漬け缶詰。酵素液を缶に入れて 65 ℃ 30 分殺菌し、缶の中で働かせた。製造後 3 か月 | −0.55 | +0.29 | 苦味の順位を正規数に変えた調整平均(+ が苦い)、判定人 7 名 | 比べた相手の方が苦い 検定あり・有意 |
| 本文(p.170)が A と B の差を 5% 水準で有意とする(最小有意差 5% 0.78)。著者は、酸味の違いが苦味の順位の判定に影響した可能性を述べている 原典の位置: 表 6・表 8、本文 p.170 酵素・冷凍・缶詰などの処理で、人が感じる夏みかんの苦味が変わるかの比較に: 使える — 同じ脱皮法・同じ殺菌の缶詰で、酵素の有無を 7 名が苦味の順に並べた(表 6 で A・D・G の酵素の欄はどれも空欄で、配置と本文から酵素なしの対照と読んだ) | |||||
| 苦味の強さ(官能) | クミタナーゼを缶に加えた(C)対 加えない(A) 同じ(常法で脱皮、缶の中で酵素を働かせた、製造後 3 か月) | −0.40 | +0.29 | 苦味の順位を正規数に変えた調整平均(+ が苦い)、判定人 7 名 | 比べた相手の方が苦い 検定あり・有意差なし |
| 本文が有意とした組に入っていない(差は最小有意差 5% 0.78 より小さい) 原典の位置: 表 6・表 8、本文 p.170 酵素・冷凍・缶詰などの処理で、人が感じる夏みかんの苦味が変わるかの比較に: 使える — 同じ脱皮法・同じ殺菌の缶詰で、酵素の有無を比べた(A の酵素の欄は空欄で、酵素なしの対照と読んだ) | |||||
| 苦味の強さ(官能) | 冷酸法で脱皮し三共ナリンギナーゼを加えた(E)対 加えない(D) 冷酸法で脱皮した果肉の缶詰(ほかは同じ)。D は表 6 の酵素の欄が空欄 | +0.38 | +0.71 | 苦味の順位を正規数に変えた調整平均(+ が苦い)、判定人 7 名 | 比べた相手の方が苦い 検定あり・有意差なし |
| 本文が有意とした組に入っていない 原典の位置: 表 6・表 8、本文 p.170 酵素・冷凍・缶詰などの処理で、人が感じる夏みかんの苦味が変わるかの比較に: 使える — 同じ冷酸法の脱皮・同じ殺菌の缶詰で、酵素の有無を比べた(D の酵素の欄は空欄で、酵素なしの対照と読んだ) | |||||
| 苦味の強さ(官能) | 冷酸法で脱皮しクミタナーゼを加えた(F)対 加えない(D) 同じ(冷酸法で脱皮した果肉の缶詰) | −0.04 | +0.71 | 苦味の順位を正規数に変えた調整平均(+ が苦い)、判定人 7 名 | 比べた相手の方が苦い 検定あり・有意差なし |
| 本文が有意とした組に入っていない 原典の位置: 表 6・表 8、本文 p.170 酵素・冷凍・缶詰などの処理で、人が感じる夏みかんの苦味が変わるかの比較に: 使える — 同じ冷酸法の脱皮・同じ殺菌の缶詰で、酵素の有無を比べた(D の酵素の欄は空欄で、酵素なしの対照と読んだ) | |||||
| ナリンギン(すぐ苦い) | 三共ナリンギナーゼを缶に加えた(B)対 加えない(A)(果肉のナリンギン) 官能と同じ缶詰、製造後 3 か月、3 缶の平均 | 15.2 | 39.2 | mg%(Davis 法) | 比べた相手が高い 検定の記載なし |
| 検定の記載なし 原典の位置: 表 7(p.170) 酵素・冷凍・缶詰などの処理で、人が感じる夏みかんの苦味が変わるかの比較に: 使えない — 成分の量で、苦味の評価ではない | |||||
| 苦味の強さ(官能) | 酵素を缶に加えた 対 加えない(実験 2 の味見) 実験 2 の缶詰、製造後 1 か月(区 1・3・4 と、それぞれに酵素を加えた 1A・3A・4A) | 「幾分少ない」(1A)、「かなり少ない」(3A・4A) | 「強し」(1・3・4) | 味見の記述(人数の記載なし) | 比べた相手の方が苦い 検定の記載なし |
| 人数・方法・検定の記載なし。果肉を酵素液に一晩浸した区(2)は「強し」のままだった 原典の位置: 表 4(p.169) 酵素・冷凍・缶詰などの処理で、人が感じる夏みかんの苦味が変わるかの比較に: 限られる — 酵素の有無を比べたが、人数・方法の記載がない味見の記述 | |||||
野村ら 1963 官能と成分
柑きつ果の完全利用に関する研究(第1報). 日本食品工業学会誌 10(4):115-118 — doi:10.3136/nskkk1962.10.4_115
- 原文の確認の深さ
- 全文で確認 — J-STAGE の PDF 全 4 頁(4 頁目の下半分は別論文の冒頭)。本文と表 1〜6 を頁画像で確認 確かめた者: LLM(読み取りの係が抜き出し、別の者が原典で照合。人の確認は無い)、2026-10-21。
- 試料
- 夏ミカンの果皮から抽出したリモノイド(乾燥果皮 400 g から約 1 g)の溶液と、市販の酵素剤の見本品(ナリンギナーゼ A・G と、本文でペクチナーゼ剤とされるスクラーゼ・強力スクラーゼ)。缶詰試験は夏ミカンの果肉(愛媛県吉田町、1962 年春)
- 加工・調理
- 表 4: リモノイド溶液に酵素剤 1% を加え 20 ℃で 20 時間(表 4 の具体的な条件は、表の本体が読めておらず未確認)。缶詰の試験: 酸・アルカリで剥皮した果肉を 1% ナリンギナーゼ液に 35 ℃で時間を変えて浸す、または 20 ℃で約 16 時間。採用した製法: 酸・アルカリ(濃度約 1%、40 ℃)で剥皮した果肉を 0.5% ナリンギナーゼ液に 20 ℃で約 16 時間浸す。5 号缶に果肉 250 g と砂糖シロップ(55°)120 mL、85 ℃ 30 分殺菌、1 か月貯蔵
- 出し方・食べ方
- 記載なし
- 誰が・どの尺度で
- 記載なし(希釈して苦味を感じなくなる倍数を判定するだけで、人数・訓練・尺度・統計は書かれていない)
| 測ったもの | 比べた組・条件 | 処理した試料 | 比べた相手 | 単位 | 向き・検定 |
|---|---|---|---|---|---|
| 苦味の閾値(官能) | 酵素剤を加えた 対 加えない(果皮のリモノイドの液) 果皮から取り出したリモノイドの液に酵素剤(ナリンギナーゼ A・G、スクラーゼ、強力スクラーゼ)1% を加え 20 ℃で 20 時間(表の見出しでは一夜)。果肉や缶詰ではない | 2〜5 倍 | 6 倍 | 苦味を感じなくなるまで薄めた倍率(大きいほど苦い) | 比べた相手の方が苦い 検定の記載なし |
| 人数・検定の記載なし 原典の位置: 表 4(p.117) 酵素・冷凍・缶詰などの処理で、人が感じる夏みかんの苦味が変わるかの比較に: 限られる — 果皮から取り出したリモノイドの液で、夏みかんの果肉や缶詰の苦味ではない | |||||
| ナリンギン(すぐ苦い) | 1% ナリンギナーゼ液に浸した 対 水洗いだけ(果肉のナリンギン) 剥皮した果肉を 20 ℃で約 16 時間浸した | 35.0 | 64.0 | mg% | 比べた相手が高い 検定の記載なし |
| 検定の記載なし 原典の位置: 表 6(p.117) 酵素・冷凍・缶詰などの処理で、人が感じる夏みかんの苦味が変わるかの比較に: 使えない — 成分の量で、苦味の評価ではない | |||||
実験の中で確かめられたこと
同じ研究の中の比較で観察された結果だけを書く。人の評価と成分の測定は分けて書く。
- 凍結の有無だけを変えると、収録した 2 本の研究とも凍結果の果肉の方が苦かった(岩田らは同じ産地の果実で −20 ℃ 4 日、対比較 28 回中 28 回。間苧谷らは同じ 1 樹の果実で −10 ℃、7 個対 7 個)。 [表の行: 岩田ら 1976 凍結果 対 生果/間苧谷ら 1979 凍結果 対 生果]
- じょうのう付きのまま凍らせると、じょうのうを除いてから凍らせた果肉より苦かった(「より苦い」14 回対 0 回、0.1% 水準。評点 +3.4 対 +1.6)。ただし、じょうのうを除いて凍らせても評点は +1.6 で、苦味はかなり残った。 [表の行: 岩田ら 1976 じょうのう付きで凍結 対 じょうのうを除いて凍結]
- 液体窒素で凍らせた果肉は、−20 ℃で静置して凍らせた果肉より苦くないと判定された回数が多く、1 日・100 日・200 日の貯蔵で有意だった(10 日は有意差なし)。どちらも生果とは比べていない。 [表の行: 岩田ら 1976 −20 ℃で静置して凍結 対 液体窒素で凍結(1 日貯蔵)/岩田ら 1976 −20 ℃で静置して凍結 対 液体窒素で凍結(10 日貯蔵)/岩田ら 1976 −20 ℃で静置して凍結 対 液体窒素で凍結(100 日貯蔵)/岩田ら 1976 −20 ℃で静置して凍結 対 液体窒素で凍結(200 日貯蔵)]
- 測られたナリンギンの全量は、凍結果と生果で近い値だった(完全に磨り潰して 69.9 対 67.3 mg%。別の研究で全量 84.5 対 82.5 mg/100 g)。違ったのは搾り器で押し切った果汁に出てくる量で、凍結果 73.0 対 生果 23.7 mg% だった。 [表の行: 間苧谷ら 1979 凍結果 対 生果(搾り器で押し切った果汁のナリンギン)/間苧谷ら 1979 凍結果 対 生果(完全に磨り潰した果肉のナリンギン)/岩田ら 1976 凍結果 対 生果(果肉のナリンギン)]
- 酵素を缶に入れて働かせた缶詰は、酵素なしより果肉のナリンギンが少なく(15.2 対 39.2 mg%)、7 名の順位でも苦味が弱かった(−0.55 対 +0.29、5% 水準)。果皮のリモノイドの液でも、酵素剤を加えると苦味を感じなくなる倍率が 6 倍から 2〜5 倍に下がった(人数・検定の記載なし)。 [表の行: 津坂 1965 三共ナリンギナーゼを缶に加えた(B)対 加えない(A)/津坂 1965 三共ナリンギナーゼを缶に加えた(B)対 加えない(A)(果肉のナリンギン)/野村ら 1963 酵素剤を加えた 対 加えない(果皮のリモノイドの液)]
結果の違いの説明の候補
処理のあいだで違う条件のうち、苦味の違いを説明しうるもの。 複数の条件が同時に違うので、どれが効いたかは分からない。ここに書くのは候補で、原因ではない。
- 凍結で苦味が増える説明として、両研究の著者は、凍結で組織が傷みナリンギンが出やすくなることを挙げる(測られた全量は近いが、搾り器で押し切ると出る量が 73.0 対 23.7 mg%)。ただし説明の中身は違う。岩田らは溶け出したナリンギンが果肉の表面に集まることを重視し、ナリンギンの量だけでは苦味の差を説明できないとも書く。間苧谷らはそれを主な原因とは考えにくいとし、砂じょうの中への溶け出しと、噛んだときの溶け出しを重視する。じょうのうを除くと増え方が小さいことは、どちらとも矛盾しない。 [表の行: 間苧谷ら 1979 凍結果 対 生果(搾り器で押し切った果汁のナリンギン)/間苧谷ら 1979 凍結果 対 生果(完全に磨り潰した果肉のナリンギン)/岩田ら 1976 じょうのう付きで凍結 対 じょうのうを除いて凍結]
- 酸味の違いが、苦味の順位の判定に混ざった可能性がある。津坂は、ナリンギンが多いのに苦味の順位が低い試料があったこと(冷酸法の E・F より、予備加熱して浸した G・H の方が苦くないと判定された)について、G・H は酸が少なく、酸味が判定に影響した可能性を挙げ、酸味の苦味への影響はかなり大きいと書いている。酵素の差が、冷酸法の組では有意にならず常法の組で有意になったことを、酸味と分けて読むことはできない。 [表の行: 津坂 1965 三共ナリンギナーゼを缶に加えた(B)対 加えない(A)/津坂 1965 冷酸法で脱皮し三共ナリンギナーゼを加えた(E)対 加えない(D)/津坂 1965 冷酸法で脱皮しクミタナーゼを加えた(F)対 加えない(D)]
分かっていないこと——この比較だけでは分けられないこと
- 缶詰の 8 区を一括して比べると、酵素のほかに脱皮法・予備加熱・殺菌・酸の量も違う。同じ脱皮法の中では酵素の有無を比べられるが、判定人は 7 名の順位だけで、訓練の記載もない。酵素なしの対照は、表の酵素の欄が空欄の区をそう読んだものである。 [表の行: 津坂 1965 三共ナリンギナーゼを缶に加えた(B)対 加えない(A)/津坂 1965 クミタナーゼを缶に加えた(C)対 加えない(A)/津坂 1965 冷酸法で脱皮し三共ナリンギナーゼを加えた(E)対 加えない(D)/津坂 1965 冷酸法で脱皮しクミタナーゼを加えた(F)対 加えない(D)]
- リモノイドの希釈の結果は、果皮から取り出した液での話で、夏みかんの果肉や缶詰の苦味がどれだけ変わるかは、この比較からは分からない。人数も検定も書かれていない。 [表の行: 野村ら 1963 酵素剤を加えた 対 加えない(果皮のリモノイドの液)]
- 研究は薄い。凍結の 2 本は凍結の温度(−20 ℃と −10 ℃)も評価の仕方も違い、岩田らは人数を書いていない。家庭の冷凍庫の条件や、果汁にしてから凍らせた場合の苦味は、数値では比べられていない(岩田らは果汁を凍らせても苦味は増えなかったと書くが、表はない)。缶詰にすることそのものの効果も比べられていない。酵素の味見の記述(実験 2)は人数・方法が書かれていない。 [表の行: 岩田ら 1976 凍結果 対 生果/間苧谷ら 1979 凍結果 対 生果/津坂 1965 酵素を缶に加えた 対 加えない(実験 2 の味見)]
研究と行の数え方
根拠の行の数は、研究の数ではない。表の行・台帳の根拠の行・論文・研究グループを分けて数える。
- 表に入れた資料: 4 本。うち人が評価した苦味の結果をこの表に載せたのは 4 本。ほかは、別のもの(成分・におい)の結果だけを載せたか、条件を考える材料として入れた。
- 表の行(研究×測定結果): 19 行。うち人が感じる苦味の行: 14 行。
- この表が拠っている研究所の台帳の根拠の行: 6 行。1 本の論文から複数の行を作っている。台帳の根拠の行が無い行は、同じ論文の別の表から取った値か、この問いのために新しく読んだ資料の値である。
- 苦味の結果を載せた研究の、台帳の上の研究グループの区分の数: 4(同じ研究室の報告は 1 つと数えた。共著者や所属が重なる所もあり、独立した追試の数ではない)。
調べた範囲
この問いのために見た資料と、表に入れた・除いた理由を残す。 J-STAGE と大学の保存庫で、夏みかん(ナツダイダイ・夏橙・甘夏)の苦味を、酵素・冷凍・加熱・缶詰・樹脂・品種・収穫の時期で比べた研究を探し、研究所の台帳にある資料と合わせた(J-STAGE の検索画面そのものは使っておらず、業界誌の古い記事には当たれていない)。 人の評価の無い成分だけの研究も、除いた理由と一緒に残した。ここに書いた探し方は記録で、探し漏れが無いことを示すものではない。
| 資料 | 扱い | 理由 |
|---|---|---|
| ナツミカン果実の凍結による苦味の増大について (1976) doi | 表に入れた | 凍結の有無・じょうのうの有無・凍らせ方で果肉の苦味を人が比べた。全文で読んだ |
| カンキツの苦味に関する研究 (1979) doi | 表に入れた | 第 1 報、副題は「ナツダイダイ果実の味覚に合致した苦味成分(ナリンジン)の測定法」。凍結の有無で果肉の苦味を人が判定し、搾り方ごとのナリンギンを測った。全文で読んだ |
| ナリンギナーゼによる夏ミカンシラップ漬け罐詰の苦味除去 (1965) doi | 表に入れた | 缶詰に加えた酵素の有無で、7 名が苦味の順位をつけた。全文で読んだ |
| 柑きつ果の完全利用に関する研究(第1報) (1963) doi | 表に入れた | 副題は「ナリンギナーゼを用いて脱苦味した夏ミカンのシラップ漬罐詰製造試験」。果皮のリモノイドの液で、酵素剤の有無で苦味を感じなくなる倍率を比べた。缶詰の果肉のナリンギンも測った。全文で読んだ |
| ナリンギン分解酵素による夏ミカン果汁の苦味除去 (1962) | 表に入れず、文脈の資料として見た | 呈味試験で苦味が消えるまでの時間の実測値はある(表 10・11)が、人数・方法・検定の記載がなく、比べたのは酵素の量と時間の関係で、酵素なしの果汁との比較ではないので、表の行にしなかった |
| 柑橘果実の苦味物質の含量と時期別変化 (1983) doi | 表に入れず、文脈の資料として見た | 人が評価したのは模擬の液に溶かしたナリンギンなどの閾値で、夏みかんの処理を人が比べてはいない。収穫の時期・搾り方のナリンギンは成分だけ |
| 夏ミカン利用に関する研究(第6報) ナリンギナーゼ添加による夏ミカン罐詰の脱苦味 (1966) doi | 除いた | 酵素を加えた缶詰のナリンギンの減り方だけで、人の評価がない |
| 夏ミカン利用に関する研究(第1報) 夏ミカン中のナリンギンの分布状態について (1964) doi | 除いた | 部位ごとのナリンギンの分布で、処理も人の評価もない |
| 夏ミカン利用に関する研究(第2報) 夏ミカン中のナリンギンの状態について (1964) doi | 除いた | 加熱でのナリンギンの移り方などの成分の研究で、人の評価がない |
| 夏ミカン利用に関する研究(第5報) 夏ミカン罐詰の殺菌時の温度および糖液組成の変化 (1966) | 除いた | 缶詰の殺菌時の温度と糖液の変化で、人の評価がない |
| 柑橘果の完全利用に関する研究(第4報) 市販ナリンギナーゼ製剤の性質と夏ミカン加工について (1964) | 除いた | 市販のナリンギナーゼ製剤の性質と加工で、本文にも図表にも人の苦味の評価の結果がない |
| 夏橙果実の利用に関する研究(第1報) 果汁中へのNaringin溶出に対するPectin質物の阻止作用について (1965) | 除いた | 果汁へのナリンギンの溶け出しとペクチンの成分の研究で、人の評価がない |
| 夏橙果実の利用に関する研究(第3報) 苦味除去に対する界面活性剤の効果 (1967) | 除いた | 界面活性剤での苦味の除去。官能検査の 1 文(ほとんど苦味を感じなかった)はあるが、人数・尺度・数値・比べた相手の詳細がない。刊行年は原典の頁で確かめていない |
| マーマレード作製中のナリンギン量の変化について (1971) doi | 除いた | 夏みかんのマーマレードの皮の下処理で、柑橘の皮の苦味の頁で扱う処理 |
| ナツダイダイ果実の苦味に関する研究 (1968) | 全文に当たれない | 学位論文。大学の保存庫から全文を取れなかった(岩田らの引用でも確かめた) |
| ナリンギナーゼによる夏ミカン脱苦味の研究(第1報・第2報) (1965) | 全文に当たれない | 缶詰の業界誌の 2 報で、全文に当たれない(岩田らの引用で知った) |
| 夏ミカンの苦味とその脱苦味について (1962) | 全文に当たれない | 業界誌で、全文に当たれない(岩田らの引用で確かめた) |
図鑑で読む
- 夏みかん — この問いの果物
- ナリンギン — 夏みかんの苦味の主な成分
- ナリンギナーゼによる果汁の脱苦味 — 酵素で苦味の成分を分ける処理
- 柑橘の皮の苦味は、ゆでこぼしや水さらしで下がるのか — 皮の下処理を比べた頁
出典台帳
表の各研究の出典は、研究ごとの欄からたどれる。研究所の全体の出典は出典台帳にまとめている。
この頁の引用のしかた
青木大(NIGAMI LAB)(2026). 夏みかんの苦味は、酵素や冷凍・缶詰の処理で減るのか — 研究ごとの条件と結果. https://nigamilab.com/topics/natsumikan-processing-bitterness/
主張ごとの固定リンクは各カードの #clm-… です。データは CC BY 4.0、配布は データを使う。 データセットの DOI: 10.5281/zenodo.22739101