研究ノート 043 — 2026-09-04
阿波晩茶・碁石茶・石鎚黒茶——後発酵の日本茶
徳島県の阿波晩茶、高知県の碁石茶、愛媛県の石鎚黒茶は、いずれも茶葉を発酵させてから仕上げる後発酵茶である。ただし発酵のさせ方は三者で同じではない。碁石茶と石鎚黒茶はカビによる好気発酵のあとに桶へ漬け込んで乳酸菌による嫌気発酵を重ねる二段階を踏み、阿波晩茶は茶葉を茹でて酸化発酵を止めたのち、乳酸発酵だけを一段で起こす。工程の違いは、味覚センサーによる浸出液の測定でも渋味・酸味という別々の軸に表れている。このノートは三つの茶の工程を並べ、そこに関わる微生物と味覚センサーの結果を読んだあと、堆積発酵によるプーアル茶の変化と比べる。
この頁でわかること
- 碁石茶と石鎚黒茶は、カビによる好気発酵のあとに乳酸菌による嫌気発酵を重ねる二段階の工程で作られると記録されている。
- 阿波晩茶は、茶葉を熱処理して酸化発酵を止めたあと、乳酸発酵だけを一段で起こす工程だと記録されている。
- 味覚センサーの測定では、碁石茶は他の茶やコーヒーより渋味とうま味が弱く、酸味が強いという結果が一つの報告で示されている。
- 三つの茶について、苦味そのものを対象にした味覚センサー測定や官能評価は、まだ行われていない。
碁石茶——二段階発酵と、そこに関わる微生物
碁石茶は高知県大豊町に伝わる茶で、蒸したのち二段階の発酵を経て作られる。
範囲: 高知県大豊町の碁石茶
注記: 受田(2015)による工程解説。査読付き原著論文ではなく講演会記録だが、地域連携研究者による整理として収載。
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process-goishi-cha-fermentation —is_prepared_by→ "原料茶葉を約2時間蒸したのち、土間の筵の上に高さ約50-70cmで堆積させ7-10日間の好気的発酵(カビ付け、前発酵)を行う。続けて茶葉を桶に漬け込み重石を載せて10-20日間の嫌気的発酵(後発酵)を行い、裁断後に天日で2-3日間乾燥させて製品とする。"この発酵に関わる微生物は、rDNA解析による単離同定で報告されている。カビ付けと漬け込みという二つの発酵段階には、それぞれ別の微生物が関わり、それぞれが別の香気成分の生成に関与すると報告されている。
範囲: 碁石茶(産地不特定の試料)のGC-O/AEDAによる香気成分分析と単離菌の同定
注記: 抄録のみ確認。受田(2015)の講演会記録は前発酵(カビ付け)の主体をAspergillus fumigatusと記すが、小山ほか(2019)の単離同定はAspergillus nigerであり、報告菌種が資料間で一致しない。本entryは単離同定を行った小山ほか(2019)を採用し、不一致の存在を明記する。同定手法・採取時期の違いによるものかは未確認。
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process-goishi-cha-fermentation —is_prepared_by→ "rDNA解析による単離同定で、碁石茶の発酵に関わる微生物としてAspergillus niger、Pichia manshurica、Lactobacillus plantarumの3種が報告されている。A. nigerはエチルフラネオール及びチアゾリン化合物、P. manshuricaはエステル類・アルコール類・フェノール類(4-エチルフェノール、4-エチル-2-メトキシフェノールを含む)、L. plantarumはヘキサン酸・ブタン酸などの有機酸及びラクトンの生成にそれぞれ関与すると報告されている。"碁石茶がいつから作られていたかについては、江戸期の記録が引かれている。
範囲: 高知県大豊町
注記: 受田(2015)による記載。引用元とされる『土佐幽考』(谷泰山門下)『南路志』そのものは今回未確認で、受田(2015)の孫引きとして収載する。
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ingredient-goishi-cha —has_historical_origin→ "現存最古とされる記録は1745年(延享2年)の安養寺禾麿の著作にみられる『長岡郡豊永郷 碁石茶 六蔵茶とあわせ茶高30斤入り3154丸』との記述、及び『南路志』(1815年頃編纂)にある『茶 韭生郷 大抜茶 本川郷 碁石茶』との記述であり、これらから1745年以前にはすでに碁石茶が生産されていたと考えられている。"石鎚黒茶——同じ二段階をたどり、指定された技術になった
愛媛県西条市の石鎚地区に伝わる石鎚黒茶も、碁石茶と同じ二段階の発酵を踏む。
範囲: 愛媛県西条市小松町石鎚地区
注記: 西条市公式サイトの記載。
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process-ishizuchi-kurocha-fermentation —is_prepared_by→ "摘採、殺青、カビ付け(糸状菌による好気発酵、約1週間)、揉捻、漬け込み(乳酸菌による嫌気発酵、約2週間)、天日乾燥、選別の各工程を経て作られる。主に7-8月に製造される。"この製造技術は、重要無形民俗文化財として指定されている。
範囲: 愛媛県西条市
注記: 文化庁「文化遺産オンライン」の原本記載(heritage id 589236)を直接確認して収載。
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process-ishizuchi-kurocha-fermentation —is_registered_as→ "重要無形民俗文化財『石鎚黒茶の製造技術』として2023年3月22日指定。伝承地域は愛媛県西条市小松町の石鎚地区。保護団体は石鎚黒茶製造技術保存会。"阿波晩茶——茹でて止め、漬け込みで乳酸発酵だけを起こす
徳島県上勝町・那賀町・美波町に伝わる阿波晩茶は、碁石茶や石鎚黒茶とは発酵の組み方が違う。茶葉をあらかじめ熱処理して酸化発酵が起きないようにしたうえで、漬け込みによる乳酸発酵だけを起こす。
範囲: 徳島県上勝町・那賀町・美波町
注記: 文化庁「文化遺産オンライン」の原本記載(heritage id 541631)を直接確認して収載。
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process-awa-bancha-fermentation —is_prepared_by→ "夏の遅い時期に採取した硬い茶葉を大釜で茹でるなどの熱処理で酸化発酵が生じないようにしたのち、桶や樽に漬け込んで新たな乳酸発酵を促す。茶摘み・茶茹で・茶摺り・漬け込み・茶干し・選別の工程を経る。"阿波晩茶の製造技術もまた、重要無形民俗文化財として指定されている。
範囲: 徳島県上勝町・那賀町・美波町
注記: 文化庁「文化遺産オンライン」の原本記載(heritage id 541631)を直接確認して収載。
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process-awa-bancha-fermentation —is_registered_as→ "重要無形民俗文化財『阿波晩茶の製造技術』として2021年3月11日指定。伝承地域は徳島県勝浦郡上勝町、那賀郡那賀町、海部郡美波町。保護団体は阿波晩茶の製造技術保存会(各町の保存会)。"味覚センサーが映す、渋味の弱さと酸味の強さ
碁石茶の浸出液を味覚センサーで測定し、緑茶・紅茶・ほうじ茶・コーヒー・赤ワインと比べた報告がある。渋味とうま味が他の茶やコーヒーより弱く、酸味が強いという結果になり、このパターンは赤ワインとよく似ていたと述べられている。
範囲: 碁石茶(産地不特定の試料)と対照飲料6種の味センサー比較
注記: 受田(2015)自身が行った味センサー計測。パネル人数・反復回数の記載なし。単一試料の比較でありプーアル茶を含む茶種一般への一般化はしない。
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ingredient-goishi-cha —has_sensory_attribute→ "味センサー(渋味・苦味・うま味・酸味・苦味の余韻・渋味の余韻・うま味の余韻から成るレーダーチャート)で緑茶・紅茶・ほうじ茶・コーヒー・赤ワインと比較したところ、碁石茶は他の茶やコーヒーと比べて渋みとうま味が弱く、酸味が強い特徴が浮き彫りになった。このパターンは比較した嗜好性飲料の中では赤ワインと極めて類似していた。"石鎚黒茶・阿波晩茶・煎茶・紅茶の四種を同じ味覚センサーで比較した報告では、酸味の出力値は石鎚黒茶が最も高く、阿波晩茶がそれに続いた。報告はこの酸味を、好気発酵で生じた微生物の栄養源をもとに嫌気発酵が旺盛になり、乳酸などの代謝物が増えたためと考察している。
範囲: 石鎚黒茶・阿波晩茶・煎茶・紅茶の浸出液比較(徳島県立工業技術センター、味覚センサーSA402B)
注記: 単一試料間の比較で、反復数・統計検定の記載はない。酸味が前面に出るという記述をそのまま収載し、苦味軸へは曲げない。
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ingredient-ishizuchi-kurocha —has_sensory_attribute→ "味覚センサー(SA402B)による浸出液測定で、酸味の出力値は阿波晩茶・石鎚黒茶・煎茶・紅茶の4種のうち石鎚黒茶が最も高く、阿波晩茶が続いた。報告書はこれを、嫌気発酵前のカビによる好気発酵で茶葉が酵素分解されて微生物の栄養源が生成され、嫌気発酵が旺盛になって乳酸等の代謝物が多くなったためと考察している。"同じ四種の比較で、阿波晩茶は煎茶や紅茶より渋味刺激とうま味の出力値が低く、酸味の出力値は石鎚黒茶に次ぐ高さだった。
範囲: 阿波晩茶・石鎚黒茶・煎茶・紅茶の浸出液比較(徳島県立工業技術センター、味覚センサーSA402B)
注記: 単一試料間の比較で、反復数・統計検定の記載はない。
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ingredient-awa-bancha —has_sensory_attribute→ "味覚センサー(SA402B)による浸出液測定で、阿波晩茶は煎茶や紅茶と比べて渋味刺激やうま味の出力値が低かった。酸味の出力値は石鎚黒茶に次いで高かった。これらの結果から、阿波晩茶は酸味のあるスッキリとした味わいであることが示されたと報告されている。"渋味に関わる主要な化学成分を数値で追った分析もある。阿波晩茶・石鎚黒茶・煎茶・紅茶の茶葉を分析すると、タンニン含量は煎茶が最も多く、阿波晩茶と石鎚黒茶はそれより少なく、紅茶はさらに少なかった。カフェイン含量は紅茶が最も多く、煎茶がそれに次ぎ、阿波晩茶と石鎚黒茶は少なかった。
範囲: 阿波晩茶・石鎚黒茶(いずれも後発酵茶)、煎茶(不発酵茶)、紅茶(発酵茶)の茶葉分析
注記: 徳島県立工業技術センターの全文(表2)を確認して収載。試料数・産地ロットの詳細記載はない。
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ingredient-awa-bancha —has_composition→ "食品表示基準(平成27年内閣府令第10号)準拠の分析で、タンニン含量は阿波晩茶8.1g/100g、石鎚黒茶7.5g/100g、煎茶11.4g/100g、紅茶6.5g/100gであり、カフェイン含量は阿波晩茶1.5g/100g、石鎚黒茶1.4g/100g、煎茶2.1g/100g、紅茶3.0g/100gだった。阿波晩茶は煎茶と比べてタンパク質・カフェイン・タンニンが少なく、紅茶と比べてタンパク質・カフェインが少なかった。"碁石茶については、熱水抽出物のカテキン類と没食子酸の合計量を他の茶と比べた分析があり、緑茶やウーロン茶・紅茶よりも大きく少ないという結果になっている。
範囲: 碁石茶を含む各種茶の熱水抽出物比較
注記: 受田(2015)による記載で、原著は森山洋憲・片山泰幸・中林錦一・受田浩之・沢村正義、食科工49, 679(2002)とされる。一次資料(2002年論文)そのものは今回未確認のため孫引きとして収載する。
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ingredient-goishi-cha —has_composition→ "熱水抽出物のHPLC分析で、碁石茶に含まれる主要カテキン類及び没食子酸の合計量は緑茶と比べて約1/7、ウーロン茶・紅茶と比べても約半分と、他のお茶と比較して極端に低かったと報告されている。カテキン類はお茶の渋みに関わる成分であることから、発酵過程でカテキン類が減少した碁石茶は渋みがマイルドであるとされる。"香りは重なるが、苦味や渋味は語られない
碁石茶と阿波晩茶の熱水抽出物を香気成分について比べた分析では、両者に共通する香気パターンが確認されている。ただしこの分析は香気成分だけを扱ったもので、苦味や渋味への言及は見当たらない。
プーアル茶の堆積発酵と比べると
中国のプーアル茶も堆積による発酵を経る茶で、その発酵時系列を追った研究がある。発酵の終点では、原料と比べて苦味と渋味がいずれも低くなったと報告されている。
範囲: 古樹由来日晒青毛茶の一つの36日発酵時系列
注記: RMとF4の比較。一発酵系の時系列であり、発酵一般の因果効果や効果量ではない。
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process-tea-pile-fermentation —was_observed_with→ "36日終点で原料より低い苦味と渋味"同じ終点では甘味が高まり、色は黄緑から赤褐色へ、香りは原文でfreshからstaleと記された方向へ変化した、と報告されている。
範囲: 同じ36日発酵の9名訓練パネル
注記: 複数属性が同時観察された。糖、色素、微生物の相関を各変化の単独原因へ変換しない。
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process-tea-pile-fermentation —was_observed_with→ "甘味の上昇、赤褐色化、原文でstale aromaと呼ばれた香りへの変化"この変化を成分の面から追った報告もある。同じ発酵時系列で、茶ポリフェノールおよびカテキン類の含量は発酵の進行とともに有意に減少したと報告されている。
範囲: 古樹由来日晒青毛茶から作った一つの熟茶発酵(既存clm-puer-fermentation-bitternessと同一の時系列)
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process-tea-pile-fermentation —was_observed_with→ "同じ36日発酵時系列で、茶ポリフェノール含量は原料(RM)の21.59%から発酵終点(F4)の10.58%へ有意に減少した(p<0.05)。エピカテキンガレート、エピガロカテキンガレート(EGCG)、ガロカテキンガレート、カテキン、カテキンガレートの5種のカテキンも有意に減少した(p<0.05)。テアフラビン類及びテアルビジン類の含量も発酵中に減少したと報告されている。"別のプーアル熟茶の堆積発酵を追った報告でも、茶ポリフェノール含量は発酵の進行とともに大きく減少したと述べられている。
範囲: 雲南省産小葉種プーアル熟茶、単一の堆積発酵バッチの中層
注記: 既存entity process-tea-pile-fermentationへの追加接続(重複立項なし)。単一バッチ・単一層の時系列であり因果効果や効果量は分離できない。原文の107.22mg/gが減少量・終点値いずれを指すかは今回未確定。この報告自体は渋味・苦味への言及を伴わない。
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process-tea-pile-fermentation —was_observed_with→ "雲南省産小葉種プーアル熟茶の一つの堆積発酵バッチ(発酵0-30日、15時点、各時点で茶堆の中層から6群のサンプルを採取)において、茶ポリフェノール含量は発酵の進行とともに『marked reductions, by 56.8% (107.22 mg/g)』(原文表現)を示したと報告されている。"プーアル茶を語る言葉には、回甘という語がある。茶業者の記事は、この語をプーアル茶を主題として解説している。阿波晩茶・碁石茶・石鎚黒茶の資料が味覚センサーの出力値で渋味や酸味を語るのに対し、プーアル茶の資料は回甘という時間の経過を伴う語で味を語っており、同じ「発酵した茶」でも、語り口の置き場所が違う。
注記: 普洱茶の品飲語彙を解説する茶業者記事群(回甘・生津・喉韵・回甜)は、いずれも普洱茶を主な対象として回甘を説明している。
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ingredient-puer-tea —has_defining_sensory_theme→ concept-huigan分かっていないこと
- 碁石茶・阿波晩茶・石鎚黒茶のいずれについても、苦味そのものを対象にした味覚センサー測定や官能評価の報告は見当たらない。渋味・酸味・うま味の出力値は測定されているが、苦味の出力値を三茶で比べた資料はない。
- 碁石茶と阿波晩茶の香気成分を比べた分析は、苦味・渋味に触れておらず、香りの重なりと味の重なりが同じ理由によるものかは、この資料だけでは分からない。
- 石鎚黒茶・阿波晩茶の味覚センサー測定は、報告そのものが酸味・塩味の出力を無味点以下と位置づけたうえで参考値として扱っており、試料数や反復、統計的な検定についての記載もない。
- 碁石茶の発酵微生物とその香気生成への関与は単一産地の試料にもとづくもので、産地やロットが変わったときに同じ微生物・同じ香気パターンになるかは確認されていない。
- プーアル茶の堆積発酵の研究は対照発酵槽を持たない時系列観察であり、苦味・渋味の低下を堆積発酵という工程そのものの効果として切り分けることはできない。
よく問われること
阿波晩茶と碁石茶はどう違うのか
碁石茶は、原料を蒸したあとおよそ2時間の熱処理を経て、7〜10日間ほどのカビによる好気発酵と、10〜20日間ほどの乳酸菌による嫌気発酵という二つの発酵を重ねて作られると記録されている。石鎚黒茶もこれと同じ二段階の発酵をたどると記録されている一方、阿波晩茶は熱処理で酸化発酵をあらかじめ止めたうえで、漬け込みによる乳酸発酵だけを一段で起こす点が異なる。味覚センサーで浸出液を測定した報告では、石鎚黒茶と阿波晩茶は酸味の出力値が煎茶や紅茶より高く、碁石茶は渋味とうま味が弱く酸味が強いという、それぞれ異なる結果になっている。ただしこれらの測定は試料数や反復の記載がなく、参考値としての報告にとどまる。
碁石茶やプーアル茶は発酵で苦味が減るのか
プーアル茶の堆積発酵を追った一つの時系列研究では、発酵の終点で原料と比べて苦味と渋味がいずれも有意に低くなり、同時に甘みが高まったと報告されている。一方、碁石茶や阿波晩茶、石鎚黒茶については、渋味・酸味・うま味を測った味覚センサーの報告はあるものの、苦味そのものを対象にした測定は見当たらない。碁石茶についてはカテキン類と没食子酸の合計量が緑茶よりかなり少ないという分析があり、渋味がマイルドだという記述はあるが、これも苦味を直接測ったものではない。
関連する項目:碁石茶 /石鎚黒茶 /阿波晩茶 /プーアル茶 /碁石茶の発酵 /石鎚黒茶の発酵 /阿波晩茶の発酵 /堆積発酵 /回甘
関連する主題ハブ: 苦味・渋味・えぐみ
関連する研究ノート: 苦味には、時計がある /苦味と渋味とえぐみは、何が違うのか /料理は苦味を編集する /保存は苦味をどう扱うか
出典台帳: 出典一覧
この頁の引用のしかた
青木大(NIGAMI LAB)(2026). 阿波晩茶・碁石茶・石鎚黒茶——後発酵の日本茶. https://nigamilab.com/notes/japanese-post-fermented-teas/
主張ごとの固定リンクは各カードの #clm-… です。データは CC BY 4.0、配布は データを使う。 データセットの DOI: 10.5281/zenodo.22739101