概念
服用受容性(パラタビリティ)
palatability (medicinal product)
服用受容性(パラタビリティ)は、匂い・味・後味・テクスチャーとの関係における経口医薬品の総合的な受容性(EMA/CHMP/QWP/805880/2012 Rev. 2)。WHO TRS 970 Annex 5 は同じ構成概念に服用量またはサイズを加える。
模式図 — 写真ではなく、根拠をもとに苦味研究所が組んだ説明図

根拠の数値を図にしたもの(苦味研究所作成)· CC BY 4.0
服用受容性(パラタビリティ)— 規制の定義と、子どもが薬を拒む理由
経口医薬品の palatability について、欧州のガイドラインの定義(におい・味・後味・食感に関する総合的な受け止め)と要求、WHO の附属書の立場(用量の体積や大きさも含め、アドヒアランスにとって決定的になりうる)と、3〜10 歳の回答者 153 名のうち 89 名(58.2%)が服薬拒否を経験し、理由を挙げた 86 名のうち 73 名(84.9%)が味またはフレーバー、7 名(8.1%)が嚥下や喉つまりを挙げたことを並べた図。味とアドヒアランスの量的な結びつきは測られていない。
根拠: ev-ema-palatability-requirement · ev-ema-acceptability-adherence · ev-who-palatability-adherence · ev-mennella-taste-refusal-reasons · ev-mennella-magnitude-unknown
概念 / concept-palatability
↑苦味を読む
パラタビリティ(服用受容性)は、におい・味・後味・口当たりという観点から見た、経口医薬品全体の受け入れられやすさを表す言葉で、EMAのガイドライン(EMA/CHMP/QWP/805880/2012 Rev. 2)が定義している。WHOの技術報告書(TRS 970 附属書5)も同じ考え方を使っており、こちらは服用量や剤形の大きさも合わせて評価の対象に含めている。苦味はこの受け入れられやすさを左右する味の要素の一つであり、医薬品の苦味を測ったり和らげたりする研究の多くは、最終的にこのパラタビリティという受容性の枠組みの中で評価されることになる。
EUの小児用医薬品開発ガイドラインは、原薬のパラタビリティに関する情報を、専用の成人パネルや既存の文献などから早い段階で得ておくべきだとし、特に理由がない限り、小児用製剤そのものが食品や飲料と混ぜなくても満足できる味・口当たりであるべきだと定めている。同じガイドラインは、小児用製剤がキャンディのように魅力的になりすぎてはならないとも警告しており、それが偶発中毒の発生率を高めることが知られているためだとしている。
WHOとEMAはいずれも、パラタビリティが患者の受容性、そしてそれを通じたアドヒアランス(服薬の継続)に大きく影響するという立場を示している。WHOの附属書は、パラタビリティがアドヒアランスにとって決定的になりうるとし、原薬の味が剤形の選び方や、味をマスキングする成分を含めた設計そのものに影響しうるとも述べる。実際に、米国フィラデルフィアの3-10歳児172名と母親130名を対象にした面接調査では、回答した子どものうち89名(58.2%)が服薬を拒否した経験を語り、理由を挙げた86名のうち84.9%(73名)が味やフレーバーを理由に挙げていた一方、嚥下やのどのつまりを理由にしたのは8.1%(7名)にとどまっている。
もっとも、この面接調査の著者ら自身も、実際に服薬がうまくいかなくなった出来事のうちどれだけが薬の味の悪さだけによるのかは分かっておらず、個人差の役割を理解するには前向きな研究が必要だと述べている。パラタビリティが苦味とアドヒアランスを結び付ける重要な概念であることは規制当局の文書で繰り返し述べられているが、その結びつきの強さそのものは、ここで確認できた資料の範囲ではまだ測定によって裏付けられていない。
医薬品製剤の官能評価に関する方法論の指針は、実際の苦味と、酸味や収斂味といった類似の感覚との混同が、官能評価における用語の取り違えとして最も一般的だと指摘し、パネリストが理解できる語彙を選ぶことが製品の風味特性を的確に捉えるうえで重要だと述べている。同じ指針は、原薬が口腔内の味蕾に直接触れる剤形では味が製剤の受容性を左右する主要な要因の一つになるとし、小児は甘味とは異なり生来忌避的な性質を持つ苦味に対して成人より敏感であるという先行研究を紹介している。
同じ経口崩壊錠の研究では、苦味だけでなく総合的な受け入れやすさ(パラタビリティ)も測られている。崩壊中の総合的なパラタビリティのVASスコアは、クエン酸無添加相当の38〜46に対し、クエン酸5%・10%配合ではそれぞれ26・20まで下がった。苦味そのものを抑えても、高濃度のクエン酸配合はかえって総合的なパラタビリティを損なう結果になっている。一方、吐き出し後の評価では、クエン酸0.1%・2.5%配合の総合パラタビリティスコア(54・55)は無添加(44)より高かった。
この説明の根拠
この本文で確認した範囲: パラタビリティの定義と評価対象の記述を確認/早期のパラタビリティ情報取得とキャンディ化への警告を確認/受容性とアドヒアランスへの影響というEMAの立場を確認
この本文で確認した範囲: アドヒアランスへの決定性というWHOの立場を確認
Children's perceptions about medicines: individual differences and taste
この本文で確認した範囲: 服薬拒否経験と理由の内訳の実数値を確認/味の寄与の大きさが未測定という著者自身の限界表明を確認
A Guide to Best Practice in Sensory Analysis of Pharmaceutical Formulations
この本文で確認した範囲: 苦味と酸味・収斂味の混同が最も一般的という指摘/小児が成人より苦味に敏感という先行研究の紹介
Citric Acid Suppresses the Bitter Taste of Olopatadine Hydrochloride Orally Disintegrating Tablets
この本文で確認した範囲: クエン酸濃度と総合パラタビリティの逆転する関係
構造化された主張 — 節を開くと、主張ごとの確度・根拠・限界が読めます
感覚(3)
範囲: 層: 文献(方法論ガイド)。
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concept-palatability —has_perceived_bitterness_associated_with→ "医薬品製剤の官能評価では、実際の苦味と、酸味・収斂味といった類似した感覚との混同が最も一般的な用語の取り違えであり、パネリストが理解できる語彙を選び、製品の風味特性を最適に特徴づけることが重要だと指摘されている。"範囲: 層: 文献(方法論ガイド)。
注記: 総説が先行研究を引いて述べた記述(孫引き)。
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concept-palatability —has_perceived_bitterness_associated_with→ "原薬が口腔内の味蕾に接触しうる剤形では、味は製剤の受容性を左右する主要な因子の一つであり、これは特に小児で顕著である。小児は、甘味とは異なり本来忌避的な性質を持つ苦味に対して、成人より敏感である。"範囲: 層: 食品(医薬品経口崩壊錠)。VASによるヒト官能試験。
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concept-palatability —has_perceived_bitterness_associated_with→ "苦味薬物配合の経口崩壊錠で、クエン酸5%・10%配合は崩壊中の総合パラタビリティVASスコアを無添加相当(38-46)より低い26・20に低下させ、苦味を抑制しても高濃度のクエン酸配合はかえって総合的なパラタビリティを損なった。一方、吐き出し後の評価ではクエン酸0.1%・2.5%配合の総合パラタビリティスコア(54・55)は無添加(44)より高かった。"安全・規制(2)
範囲: 欧州連合。EMA/CHMP/QWP/805880/2012 Rev. 2 の Palatability の節(2014-02-15 発効のガイドライン)
注記: 官能測定でなく申請資料上の要件。同じガイドラインは、小児用製剤が菓子のようになってはならない(偶発中毒を増やすことが知られているため)と警告する。
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concept-palatability —must_be_characterised_and_justified_in_eu_paediatric_dossiers→ "有効成分の palatability に関する情報は、専用の成人パネルや文献などから早期に取得すべきである。別途正当化されない限り、小児用製剤の palatability はそれ自体で(食品や飲料と混ぜずに)満足できるものであるべきである"範囲: WHO TRS 970 Annex 5 の 3.2 節および EMA/CHMP/QWP/805880/2012 Rev. 2 の 10 節。いずれも効果量を報告しないガイダンス文書中の立場表明
注記: 本 claim は2つの公式文書が何を主張しているかについてのもの。どちらの文書も非アドヒアランスへの味の寄与を定量していない。Mennella 2015 による限定的 evidence を参照。
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concept-palatability —is_stated_by_who_and_ema_to_materially_affect→ "患者の受容性、およびそれを通じた経口小児用医薬品のアドヒアランス"