化合物群
グルコシノレート類
glucosinolates
グルコシノレート類は、アブラナ目に特徴的な含硫植物代謝産物。
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クロガラシ(Brassica nigra)の種子。グルコシノレート類はアブラナ目に特徴的な含硫代謝産物で、代表的な給源作物であるマスタード種子の写真を採用した。
原料写っているもの: Brassica nigra(クロガラシ)の種子部位・状態: 種子
写真: Sanjay Acharya/ CC BY-SA 3.0/ 原画像/ 台帳の原画像
写真の範囲と来歴
被写体の確認: 原典の記載による同定。化合物そのものの写真ではなく給源となる種子。
掲載画像: Wikimedia Commons の原寸ファイル。苦味研究所では切り抜き・色調変更なし。 表示用には幅1200px上限のWebPを配信し、台帳の原画像は上のリンクから確認できます。
化合物群 / compound-glucosinolates
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グルコシノレート類は、アブラナ科の植物(ブロッコリー、芽キャベツ、カリフラワー、キャベツなど)に共通して含まれる、硫黄を含む一群の化合物である。すべてのグルコシノレートが等しく苦いわけではない。たとえば芽キャベツに含まれるシニグリンはそれ自体が苦いのに対し、同じく含まれるプロゴイトリンはそれ自体でなく分解産物(ゴイトリン)が苦味の原因とされる。個々の化合物によって苦味への関わり方が異なる例である。
そのため、グルコシノレートの総含量だけで苦味の強さを予測できるかどうかには、研究間で見解の相違がある。芽キャベツやカリフラワーを対象にした研究では、シニグリンとプロゴイトリンの合計、あるいはシニグリンとネオグルコブラシシンの含量が、パネルが評定した苦味と相関すると報告された。一方、蒸したカブを対象にした研究では、含まれる12種のグルコシノレートの総量と苦味の相関は有意ではなく(r = 0.47)、有意な相関を示したのは4-メトキシグルコブラシシンのみで(グルコブラシシンは僅差で有意水準に届かなかった)、むしろ濃度の低い個別の化合物だった。この食い違いは、対象とした野菜やサンプル数の違いにもよるとみられる。
調理法によって残存量は大きく変わる。ブロッコリーや芽キャベツなど複数のアブラナ科野菜を対象にした研究では、茹でると調理水への溶出によって有意な損失が生じ、失われた分のおよそ90%が調理水中から検出された一方、蒸す・電子レンジ・炒めるといった調理法では有意な損失は見られなかった。また切り方や保存も影響し、千切りにした野菜は放置時間とともに含量が下がり、6時間で最大75%減少した例が報告される一方、傷つけていない野菜を7日間常温または冷蔵で保存した場合の損失は9〜26%にとどまった。
野菜の種類による差も大きい。日本国内で流通するアブラナ科野菜15品目を比較した調査では、なばな(菜花)はグルコナピンとグルコブラシカナピンの含量がいずれも調査対象中で最も高く、グルコシノレート総量ではブロッコリースプラウトに次いで多かった。ただしこれは成分組成の調査であり、苦味の官能評価は行われていない。
この説明の根拠
Taste and Flavor Perceptions of Glucosinolates, Isothiocyanates, and Related Compounds
この本文で確認した範囲: 特定のグルコシノレートが苦味を与える一方で一律でない旨を確認した/アブラナ科野菜の特徴的成分としての位置づけを確認した
この本文で確認した範囲: シニグリンとプロゴイトリンの苦味への関わり方の違いを確認した
Effect of storage, processing and cooking on glucosinolate content of Brassica vegetables
この本文で確認した範囲: 複数のアブラナ科野菜での定量による構成成分実証を確認した/茹でによる調理水への溶出と約90%検出の記述を確認した/千切り後6時間で最大75%減少する記述を確認した
この本文で確認した範囲: 芽キャベツでの含量と苦味評定の相関を確認した
Flavor-active compounds potentially implicated in cooked cauliflower acceptance
この本文で確認した範囲: カリフラワーでの苦味原因化合物の同定を確認した
この本文で確認した範囲: 蒸しカブでの総量と苦味の非有意な相関(r=0.47)を確認した
この本文で確認した範囲: 蒸す・過熱蒸気での有意な損失なしの記述を確認した
秋から冬に市販される日本産アブラナ科野菜のグルコシノレート組成および含有量
この本文で確認した範囲: なばなの含量が調査15品目中最高である記述を確認した
構造化された主張 — 節を開くと、主張ごとの確度・根拠・限界が読めます
組成・含有(2)
範囲: Brassicaceae vegetables
注記: 個別グルコシノレートのプロファイルは作物と加工により異なる。 / 2026-08-31: 支持根拠に全文確認由来がないため established から supported へ較正降格。全文確認後に再昇格可。
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ingredient-brassica —contains→ compound-glucosinolates範囲: 日本市場のなばな(福島 2008年12月・2010年12月、香川 2011年2月)。脱硫 GSL の LC-MS 法
注記: 両GSLの含有量は調査した日本産アブラナ科15品目中で最大、総GSL量はブロッコリースプラウトに次ぐ。組成データであり、苦味との官能対応はこの論文では扱われない。
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ingredient-nanohana —contains→ compound-glucosinolates感覚(5)
範囲: アブラナ科における特定のグルコシノレート
注記: 一部の個別グルコシノレートは苦味を与えるが、総含量は官能の代用指標として不十分。 / 2026-08-31: 支持根拠に全文確認由来がないため established から supported へ較正降格。全文確認後に再昇格可。
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compound-glucosinolates —are_not_uniformly→ sensation-bitter範囲: 訓練分析パネルが評価した加熱調理済みアブラナ科野菜(芽キャベツ、カリフラワー、カブ)
注記: 特定グルコシノレート(シニグリン、プロゴイトリン、ネオグルコブラシシン)を合算する研究は強い相関を報告する一方、蒸しカブのバッチ間で総グルコシノレート含量を相関させた研究は関係を非有意とした。サンプル単位(品種かバッチか)、合算対象、n が研究間で異なる。
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compound-glucosinolates —predicts_perceived_intensity_of→ sensation-bitter範囲: 層: 食品。同一の官能パネル9名によるデータとLC-MSによるグルコシノレート定量を対応させた分析。独立した7バッチの蒸しピューレカブ。
注記: 有意だった相関は4-メトキシグルコブラシシンのみ(r=0.82, p=0.02)(苦味・甘味間の負の相関の有意性は資料からは確認できていない)。
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ingredient-turnip-root —has_perceived_bitterness_affected_by→ compound-glucosinolates範囲: 層: 食品。デンマークで栽培した菜種の若い葉(播種後27〜29日)、白花5品種・黄花2品種を生のまま、訓練パネル(2016年11名・2017年7名)で評価。菜の花そのものではなく、洋種ナバナと同じ Brassica napus の若い葉であり、花蕾の苦味や加熱後の苦味には当てはまらない。
注記: 関連は主成分分析の図上の記述で、相関係数や検定値は本文に無い。2016年は苦味の品種間差・生活環間差とも有意でなく(生活環間は平均7.5対6.6)、2017年のみ有意。著者は寄与の大きいグルコシノレートを文献どおりのシニグリン・プロゴイトリン類でなくグルコブラシシンと述べ、グルコブラシカナピンも2017年に苦味と高い関係を示したとする。花色(白花か黄花か)による苦味の差は無かった。
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ingredient-nanohana —has_perceived_bitterness_associated_with→ compound-glucosinolates範囲: 層: 食品。中国・瀋陽で温室栽培した菜心の花茎(収穫期)の5品種、生。電子舌(TS-5000Z)と訓練パネル15名(0〜10点)。菜の花そのものではなく近縁の花茎野菜。加熱・水さらしは扱わない。
注記: 官能評価の数値は図(Fig. 2D)にあり本文に無く、本文の記述に拠る。グルコシノレートの定量は塩化パラジウム法による総量のみで、個別成分と苦味の関係は示していない。苦味の説明は著者の推測の語(may partially explain)である。電子舌の結果はヒトの官能と同一視しない。
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ingredient-nanohana —has_perceived_bitterness_associated_with→ compound-glucosinolates加工・調理でどう変わる(2)
範囲: ブロッコリー・芽キャベツ・カリフラワー・グリーンキャベツ。LC-MS/MS で主要グルコシノレート7種を定量
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process-vegetable-boiling —reduces→ compound-glucosinolates範囲: LC-MS/MS で定量したブロッコリー・芽キャベツ・カリフラワー・グリーンキャベツ
注記: ミロシナーゼを遊離させる組織破壊は、貯蔵期間や温度よりはるかに大きなグルコシノレート損失の決定因子。
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compound-glucosinolates —is_reduced_by→ "細断野菜における細断後の放置時間: 6時間で最大75%減少し、一部はイソチオシアネートとして検出された。対照的に、無傷の野菜の常温・冷蔵7日間貯蔵は9-26%の損失にとどまった"