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化合物

GIV3727

4-(2,2,3-trimethylcyclopentyl)butanoic acid

GIV3727は、ハイスループットスクリーニングで同定された低分子のヒト苦味受容体アンタゴニスト。in vivo 有効性が報告された最初の hTAS2R アンタゴニスト。

模式図 — 写真ではなく、根拠をもとに苦味研究所が組んだ説明図

左右二枚の札。左は「細胞」の札で、スクリーニングの規模と IC50、阻害した受容体、鍵の残基の三行。右は「人」の札で、苦味の低下の割合と評定、甘味が変わらないこと、水との三点試験の三行。下に「受容体の遮断は同じ大きさの知覚の遮断にならない」の帯。

模式図(苦味研究所作成)· CC BY 4.0

GIV3727 — 試験管では消えた受容体の応答が、人の舌では「減った」止まり

苦味受容体の拮抗薬 GIV3727 について、細胞での阻害(IC50 はアセスルファム K に対し 6.4 ± 2.4 µM、サッカリンに対し 7.9 ± 6.1 µM、25 µM で 18 受容体中 6 つを阻害)と、人に飲ませた試験(2 mM アセスルファム K 溶液に 30 ppm を加えるとパネルの 95% が最も苦くないと選択、甘味は変わらず、水中 30 ppm は水と区別できない)を並べた図。受容体の遮断は同じ大きさの知覚の遮断にならない。

根拠: ev-slack-giv3727-invitro · ev-slack-giv3727-human · ev-slack-invitro-invivo-gap

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化合物 / compound-giv3727

このページの内容(7 節)
  1. 説明
  2. この説明の根拠(1)
  3. 主題ハブ
  4. 関連をたどる
  5. 関連項目(10)
  6. 感覚(1)
  7. 機構・受容体(1)
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苦味を読む

GIV3727は、ハイスループットスクリーニングによって見つかった低分子で、特定のヒト苦味受容体の働きを抑えるアンタゴニスト(拮抗薬)である。生体を使った試験で効果が確認された、最初のヒト苦味受容体アンタゴニストとされる。約17,854種類の化合物を苦味受容体TAS2R31に対してスクリーニングした中から見つかり、候補となる拮抗薬139種類のうちの一つだった。GIV3727は、人工甘味料アセスルファムKに対してIC50 6.4±2.4マイクロモル、サッカリンに対して7.9±6.1マイクロモルという濃度でこの受容体を阻害した。

試験した25種類のヒト苦味受容体サブタイプのうち18種類に対して調べたところ、GIV3727はTAS2R31を含む6種類の受容体を阻害し、残りは阻害しなかった(ただしTAS2R7については正確なEC90作動薬濃度を確立できず、真のEC90での阻害かどうかは不確実とされる)。この阻害は培養液を洗い流すと元に戻る可逆的なものだった。TAS2R46の骨格をもとにした受容体変異体を使った実験では、7.39番目の位置にある塩基性のアミノ酸残基が、GIV3727への感受性に関わる重要な接触点として示された。ただし同じ残基を持つ別の受容体(TAS2R50)は感受性を示さなかったため、この残基だけで感受性が決まるわけではない。

人での味覚試験でも、この受容体阻害効果が苦味を弱めることを確かめている。2ミリモルのアセスルファムK溶液を使った二択式の試験では、パネルの95%が、30ppm(150マイクロモル)のGIV3727を加えた方を「より苦くない」として選び、苦味の強さは中程度からかろうじて分かる程度まで下がったと評定された。甘味には目立った影響がなく、対照より甘いと答えたのは55%にとどまり、甘味の強さの評定にも差はなかった。3ミリモルのサッカリンでも同じ方向の効果が確認されている。

ただし、細胞レベルでの受容体阻害の完全さと、実際にヒトが感じる苦味の減り方は、必ずしも一致しなかった。パネリスト全員が苦味の完全な消失を報告したわけではなく、著者らは、口の中でこの化合物が受容体まで届く経路に制約がある可能性、TAS2R43やTAS2R31の遺伝子に個人差がある可能性、そして甘味料自体が甘味と苦味の両方の感覚を引き起こすために区別が難しくなる可能性という、3つの仮説を挙げている。いずれもこの論文自体では検証されていない。

この説明の根拠

  1. Modulation of bitter taste perception by a small molecule hTAS2R antagonist

    Slack JP; Brockhoff A; Batram C; Menzel S; Sonnabend C; Born S; Galindo MM; Kohl S; Thalmann S; Ostopovici-Halip L; Simons CT; Ungureanu I; Duineveld K; Bologa CG; Behrens M; Furrer S; Oprea TI; Meyerhof W / 2010 / 学術論文 / 全文確認

    この本文で確認した範囲: 17,854化合物のスクリーニングと139候補、IC50数値による受容体阻害の確認/25種中18種への試験と6受容体の阻害、変異体実験での接触点の確認/2択式試験での95%選択と苦味強度低下、甘味への影響なしの数値確認/細胞実験とヒト評定の不一致と著者らが挙げる3つの仮説の確認

関連をたどる

GIV3727 →拮抗阻害する→ TAS2R31

構造化された主張 — 節を開くと、主張ごとの確度・根拠・限界が読めます

感覚(1)

GIV3727は2 mM アセスルファムKおよび 3 mM サッカリン溶液: パネリストの 95% が 30 ppm(150 uM)の GIV3727 を含むサンプルを最も苦くないと選択(p < 0.001)。評定苦味強度は moderate から辛うじて認知できる程度まで低下の知覚苦味を低減する支持あり

範囲: アンカー付きラインスケール強度評定を伴うヒト2肢強制選択試験。薬剤製品でなく甘味料水溶液

注記: 甘味は影響を受けず(55% が対照をより甘いと選択し、評定に有意差なし)、水中 30 ppm の GIV3727 は三点試験で水と識別できなかった(n = 50, p = 0.196)。よって効果は苦味に特異的。

アンカー付き線尺度評定の2選択肢強制選択試験で、パネルの95%が 30 ppm(150 uM)GIV3727 入りの 2 mM アセスルファムK溶液を最も苦くないとして選び(p < 0.001)、苦味は moderate から merely recognizable へ低下したと評定した。甘味は影響を受けなかった: 対照をより甘いと選んだのは55%のみで甘味強度評定に差はなく、GIV3727 入りの7%スクロース試料はスクロース参照と識別できなかった。水中 30 ppm の GIV3727 は三点試験で水と識別できなかった(n = 50、p = 0.196)。3 mM サッカリンでも同方向の効果が得られた。
限界: 2-AFC 苦味試験のパネル人数は読んだ本文に記載がない。刺激は水中の甘味料であり医薬品ではないため、苦味 API への転移はここでは未検証。
出典: Modulation of bitter taste perception by a small molecule hTAS2R antagonist(Slack JP; Brockhoff A; Batram C; Menzel S; Sonnabend C; Born S; Galindo MM; Kohl S; Thalmann S; Ostopovici-Halip L; Simons CT; Ungureanu I; Duineveld K; Bologa CG; Behrens M; Furrer S; Oprea TI; Meyerhof W, 2010)・全文確認
限定: 著者らは、GIV3727 が in vitro で hTAS2R43/31 の活性化を消失させた一方、in vivo ではすべてのパネリストが苦味の完全な低減を検出したわけではなく、強度評定は苦味が低減されたが完全には消失していないことを示すと指摘している。候補となる説明として3つを挙げている: 口腔内での化合物の到達を制限する解剖学的制約、少数の個人における TAS2R43/31 の非同義 SNP またはゲノム欠失、そして甘味料が甘味と苦味の両方の感覚を引き起こすため弁別が妨げられる可能性である。
限界: 3つの説明は仮説であり、いずれも本論文では検証されていない。受容体レベルの遮断は、同じ大きさの知覚レベルの遮断には変換されない。
出典: Modulation of bitter taste perception by a small molecule hTAS2R antagonist(Slack JP; Brockhoff A; Batram C; Menzel S; Sonnabend C; Born S; Galindo MM; Kohl S; Thalmann S; Ostopovici-Halip L; Simons CT; Ungureanu I; Duineveld K; Bologa CG; Behrens M; Furrer S; Oprea TI; Meyerhof W, 2010)・全文確認
データを表示compound-giv3727 —reduces_perceived_bitterness_of→ "2 mM アセスルファムKおよび 3 mM サッカリン溶液: パネリストの 95% が 30 ppm(150 uM)の GIV3727 を含むサンプルを最も苦くないと選択(p < 0.001)。評定苦味強度は moderate から辛うじて認知できる程度まで低下"
claim: clm-giv3727-human-bitterness-reduction / type: sensory / 更新: 2026-08-30

機構・受容体(1)

GIV3727はTAS2R31を拮抗阻害する支持あり

範囲: キメラ G タンパク質 G16gust44 とともに単一の hTAS2R を安定または一過性に発現する HEK293 細胞のカルシウムイメージング。パネルスクリーニングでは 25 uM でアンタゴニストを試験

注記: 17,854 化合物のスクリーニングから同定され、候補アンタゴニスト139個が得られた。著者らはオルソステリックかつ克服不能型のアンタゴニストである可能性が高いと結論する: 25 uM の GIV3727 はアゴニストの EC50 を3〜10倍シフトさせ、最大シグナル振幅を35〜70%低下させた。

hTAS2R31に対する17,854化合物のハイスループットカルシウムイメージングスクリーニングで候補拮抗薬139件が得られ、うちGIV3727はアセスルファムKに対しIC50 6.4 +/- 2.4 uM、サッカリンに対し7.9 +/- 6.1 uM(n = 3)を示した。阻害は洗浄により可逆的であった。既知の作動薬をもつ25種のhTAS2Rのうち18種に対して25 uMで試験したところ、GIV3727は6受容体(hTAS2R4、7、40、43、31、20)を有意に阻害し、残りは阻害しなかった。変異導入により、7.39位の塩基性残基(Lys265)がhTAS2R46骨格における鍵となる接触点であることが示された。
限界: 4受容体(hTAS2R3/5/7/13)では正確なEC90作動薬濃度を確立できず、代わりにアーティファクトを生じない最大作動薬濃度を用いたため、真のEC90でのhTAS2R7阻害は不確実である。7.39位のリジンは感受性の十分条件ではなく、hTAS2R50も同残基をもつが非感受性である。
出典: Modulation of bitter taste perception by a small molecule hTAS2R antagonist(Slack JP; Brockhoff A; Batram C; Menzel S; Sonnabend C; Born S; Galindo MM; Kohl S; Thalmann S; Ostopovici-Halip L; Simons CT; Ungureanu I; Duineveld K; Bologa CG; Behrens M; Furrer S; Oprea TI; Meyerhof W, 2010)・全文確認
データを表示compound-giv3727 —antagonizes→ receptor-tas2r31
claim: clm-giv3727-tas2r-antagonism / type: mechanism / 更新: 2026-08-30

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