受容体
TAS2R31
TAS2R31は、12番染色体上の高い連鎖不平衡クラスターにコードされる5メンバーの TAS2R30-46 サブファミリーに属するヒト苦味受容体(旧称 TAS2R44)。サッカリン・アセスルファムK・キニーネに応答する。
模式図 — 写真ではなく、根拠をもとに苦味研究所が組んだ説明図

模式図(苦味研究所作成)· CC BY 4.0
TAS2R31 — 受容体の型の違いが、キニーネの苦味と好みに出る
TAS2R31 の遺伝子型で分けた成人のキニーネの苦味評価と無糖グレープフルーツジュースへの記憶上の好意度、サッカリン・アセスルファム K への応答との関連が TAS2R31 の変異との連鎖で説明されること、拮抗薬 GIV3727 の細胞での阻害を並べた図。好意度は実飲ではなく記憶に基づく評定である。
根拠: ev-grapefruit-tas2r31-hayes · ev-roudnitzky-ld-grapefruit-context · ev-roudnitzky-tas2r31 · ev-slack-giv3727-invitro
受容体 / receptor-tas2r31
↑苦味を読む
TAS2R31は、かつてTAS2R44と呼ばれていたヒトの苦味受容体で、12番染色体上に集まる5つの受容体からなるTAS2R30-46サブファミリーの一つであり、サッカリンやアセスルファムK、キニーネに応答するとされる。この遺伝子にあるVal240Ileという変異は、キニーネの苦味の感じ方とグレープフルーツジュースの好ましさの両方に関わっているらしい。成人246名を対象にした研究では、Val240のホモ接合体(同じ型の遺伝子を両親から一つずつ受け継いだ人)はキニーネの苦味を低く評価し(21.5)、Ile240のホモ接合体はより高く評価した(30.8)。同時に、無糖グレープフルーツジュースを思い出して評価した好ましさも、Val240ホモ接合体で高かった(9.3対-16.53)。著者らは、以前TAS2R19との関連として報告されていたものが、実はTAS2R31との強い連鎖不平衡(近くの遺伝子が一緒に受け継がれやすい状態)を反映していた可能性を論じている。ただしグレープフルーツの好ましさは、実際に飲んだ評価ではなく記憶に基づく点には注意が要る。
サッカリンとアセスルファムKへの苦い後味の感じ方も、TAS2R31の変異と結びつけられている。TAS2R30-46クラスター全体の遺伝子配列を調べた研究では、当初30個の指標がこれら甘味料への応答と関連していたが、この領域は連鎖不平衡が強く、詳しく調べるとその大半はTAS2R31の変異との連鎖から生じた見かけ上の関連だったという。実際にTAS2R31には、受容体の応答に独立した効果を持つ4つのミスセンス変異(アミノ酸を変える変異)が確認されている。
この受容体の働きを調べる道具としては、GIV3727という化合物が知られており、hTAS2R31を発現させた細胞でアセスルファムKに対しIC50 6.4マイクロモル、サッカリンに対し7.9マイクロモルで応答を阻害する。ただし試験した18種のヒト苦味受容体のうち、TAS2R31を含む6種を阻害しており、TAS2R31だけに選択的に効く物質ではない。
この説明の根拠
Quinine Bitterness and Grapefruit Liking Associate with Allelic Variants in TAS2R31
この本文で確認した範囲: Val240Ile変異別のキニーネ苦味評点とグレープフルーツ好意度の数値を確認した
Genomic, genetic and functional dissection of bitter taste responses to artificial sweeteners
この本文で確認した範囲: TAS2R19関連が連鎖不平衡の産物である可能性の機構的背景を確認した/30指標の関連が連鎖不平衡でTAS2R31変異に集約される結果を確認した
Modulation of bitter taste perception by a small molecule hTAS2R antagonist
この本文で確認した範囲: GIV3727のTAS2R31を含む6受容体阻害とIC50値を確認した
構造化された主張 — 節を開くと、主張ごとの確度・根拠・限界が読めます
感覚(1)
範囲: 成人246名(大半が欧州系)。無糖グレープフルーツジュースの想起嗜好を双極性快不快スケールで評定
注記: キニーネ苦味に並行する関連が見られた(21.5 対 30.8 gLMS)。著者らは、過去の TAS2R19 の関連は TAS2R31 との連鎖不平衡の反映である可能性を論じる。TAS2R31 の検証済みアゴニストはキニーネであり、ナリンギンでもリモニンでもない。
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ingredient-grapefruit-juice —has_liking_associated_with→ receptor-tas2r31機構・受容体(2)
範囲: 白人被験者60名における TAS2R30-46 の全遺伝子シークエンシング、両甘味料への味応答、受容体アレルの in vitro アッセイ。当初 P < 0.001 で関連したマーカーは30個
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receptor-tas2r31 —mediates_variation_in_bitterness_of→ compound-saccharin範囲: キメラ G タンパク質 G16gust44 とともに単一の hTAS2R を安定または一過性に発現する HEK293 細胞のカルシウムイメージング。パネルスクリーニングでは 25 uM でアンタゴニストを試験
注記: 17,854 化合物のスクリーニングから同定され、候補アンタゴニスト139個が得られた。著者らはオルソステリックかつ克服不能型のアンタゴニストである可能性が高いと結論する: 25 uM の GIV3727 はアゴニストの EC50 を3〜10倍シフトさせ、最大シグナル振幅を35〜70%低下させた。
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compound-giv3727 —antagonizes→ receptor-tas2r31