化合物
シニグリン
sinigrin
シニグリンは、脂肪族グルコシノレート(2-プロペニル/アリルグルコシノレート)。芽キャベツ・キャベツ・カリフラワー・ケールに豊富。
模式図 — 写真ではなく、根拠をもとに苦味研究所が組んだ説明図

模式図(苦味研究所作成)· CC BY 4.0
シニグリン — 苦いのは配糖体そのもの、辛いのは分解物
アブラナ科のグルコシノレートであるシニグリンについて、芽キャベツの好みとの関係(シニグリンとプロゴイトリンの合計含量が 2.2 g/kg を超える場合に嗜好と負に相関し、品種への総合嗜好の 64% と 86% を説明)と、分解物 AITC との感覚の違い(64 名の主試験で、シニグリンは苦味、AITC は辛味。検知閾値はシニグリン水系 10.928 mg/100 ml、AITC 水系 0.121〜0.135 mg/100 ml)を並べた図。配糖体と分解物を取り違えない。
根拠: ev-sprout-preference-threshold · ev-sprout-bitterness-fenwick · ev-sinigrin-vs-aitc
化合物 / compound-sinigrin
↑苦味を読む
シニグリンはアブラナ科野菜に含まれる脂肪族グルコシノレートの一種で、2-プロペニル(アリル)型の側鎖を持つ。芽キャベツやキャベツ、カリフラワー、ケールに広く見られ。水系・油系での官能試験では、この化合物自体がAITCとは異なる感覚質として位置づけられており、シニグリンはまず苦味として知覚される点が出発点になる。
芽キャベツの品種間の味の違いを追った試験では、シニグリンとプロゴイトリンの合計含有量が2.2 g/kgを超える範囲でのみ、両者の量が消費者の総合的な嗜好と負の相関を示した(2つの試験デザインでそれぞれ64%・86%を説明)。合計含量がその閾値を下回る品種群では含量と嗜好の関係は消えたが、苦味そのものとの相関は検討した全範囲で保たれていた。含量の多寡がそのまま「嫌われる度合い」に翻訳されるわけではなく、苦味という感覚と、それを避けるという行動が別の変数であることを示す実例になっている。
この芽キャベツの苦味とシニグリン・プロゴイトリンの結びつけは、1998年の試験より15年早い1983年の研究で既に、当該品種の苦味がこの2つのグルコシノレートの存在と結びつくと記述されており、シニグリン自体は苦く、プロゴイトリンの苦味はその分解生成物であるゴイトロゲンに由来するとされる。ただしいずれの試験も抄録レベルの確認にとどまり、消費者パネルの人数などの詳細、また試験間で栽培年代・デザインが異なる点から、2.2 g/kgという区切り値を普遍的な閾値と決めつけることはできない。
水系・油系でAITCと閾値を比較した官能試験では、64名のパネルがシニグリンを主に苦味、AITCを主に辛味の感覚質として区別して回答した(シニグリン水系のBET値は10.928 mg/100ml)。両者は同じグルコシノレート-イソチオシアネート系に属しながら知覚される感覚質が異なるため、シニグリンの苦味を別の化合物であるアリルイソチオシアネート(AITC)の辛味と混同しないことが、アブラナ科野菜の苦味を読み解くうえでの前提になる。
この説明の根拠
この本文で確認した範囲: 苦味とAITCの辛味を区別した範囲/苦味と辛味の感覚質差を確認した範囲
この本文で確認した範囲: 2.2g/kg閾値の嗜好相関を確認
この本文で確認した範囲: 苦味の由来を示す1983年知見の限界
構造化された主張 — 節を開くと、主張ごとの確度・根拠・限界が読めます
感覚(2)
範囲: 1989〜1995年に実施された4回の味覚試験における芽キャベツ品種。消費者パネル2つと分析パネル1つ
注記: 単調でなく、閾値依存の条件付き関係。2.2 g/kg 未満で苦味と嗜好が乖離しており、低濃度域でグルコシノレート含量を嗜好の代用指標として扱うことへの注意となる。
データを表示
compound-sinigrin —reduces_taste_preference_for→ ingredient-brassica範囲: 水系・油系の3-AFC検知閾値試験と感覚質の回答
注記: パネリストはシニグリンを主に苦味、AITCを主に辛味として位置づけた。
データを表示
compound-sinigrin —is_not_perceptually_interchangeable_with→ compound-allyl-isothiocyanate