うま味アミノ酸によるエステル型カテキンの苦味・渋味への影響は、電子舌の応答だけでなく、ヒト官能パネルでも同じ方向で確認されるのだろうか?
由来: 資料接続あり
注記: Liu et al.(2023)が電子舌(機器)で示した知見の、ヒト知覚への外挿可否を問う疑問。
仮説は事実主張ではありません。面白さを探索の入口として保存し、これから資料・聞き書き・観察で確かめます。
化合物
epigallocatechin gallate
エピガロカテキンガレート(EGCG)は、EGCG と略称されるガレート型茶カテキン。
模式図 — 写真ではなく、根拠をもとに苦味研究所が組んだ説明図

模式図(苦味研究所作成)· CC BY 4.0
EGCG は高温の湯で「非エピ型」に変わる
緑茶の熱湯抽出で EGCG の一部が立体構造の異なる GCG に変わるエピマー化を、エピ型と非エピ型の二つの札と矢印で描き、抽出温度と時間が高く長いほど GCG が増えるという単一研究の報告と、ほうじ茶の焙煎でも同じ向きの変化が実測されている(理由は資料に無い)ことを帯に記した図。エピ型と非エピ型の苦味の違いは扱っていない。
根拠: ev-egcg-gcg-epimerization · ev-hojicha-nonepi-catechin-increase-kochi · ev-hojicha-egcg-ecg-decrease-kochi
化合物 / compound-egcg
↑苦味を読む
緑茶浸出液を対象とした濃度別の官能評価では、エピガロカテキンガレート(EGCG)濃度は苦味と高く相関する二つのカテキン指標の一つだった。この相関は用いた浸出液や測定条件に固有のものである。別のヒトTAS2R39発現培養細胞を用いた研究では、300マイクロモルのEGCgに明確な応答が見られ(エピカテキンガレートに次ぐ強さ)、EGCgおよびエピカテキンガレートは「ヒトで強い苦味を誘発する」カテキンと位置づけられている。この受容体レベルの知見は濃度と苦味の相関という官能データとは別系統の証拠であり、両者は異なる角度からEGCGと苦味の結びつきを補強する。
紅茶の味の再構成研究では、縮約した鍵化合物の再構成系に「収斂性(渋み)かつ苦味のエピガロカテキン-3-ガレート」が明示的に含まれ、ベルベット様収斂性のフラボノール-3-配糖体や、口をすぼめる収斂性のカテキンとは区別されている。EGCGが苦味と渋味の両方を持つとしても、それらは共起する別個の感覚として扱われるべきことを示す記述である。
トルコ産の新鮮な緑茶を75・85・95度Cで1分から45分抽出した実験では、95度Cでの抽出は85度CよりもEGCG濃度が低く、これは主にEGCGから非エピ構造のガロカテキンガレート(GCG)へのエピマー化によるとされている。非エピ構造のカテキン(GCG・ガロカテキン・カテキン)は温度と時間とともに増加し続け、95度C・45分でGCGが茶液100ミリリットルあたり3.63ミリグラムに達した。別の独立した研究でも、龍井茶カテキン混合物や精製EGCGを120度Cで20分オートクレーブ処理するとEGCGから非エピ体GCGへのエピマー化が観察されており、高温加熱によりEGCGが非エピ体に変換するという同じ化学変化が、別の材料・別の温度域で確認されている。
電子舌を用いた測定では、緑茶主要な没食子酸エステル型カテキン(EGCG・ECG・GCG)の苦味強度に対する応答が、うま味アミノ酸であるテアニン・グルタミン酸・アスパラギン酸によって濃度依存的に抑制されると報告されている。テアニンとグルタミン酸はアスパラギン酸よりもエステル型カテキンと強く相互作用し、水素結合が主な相互作用力とされる。一方、渋味(電子舌応答)への影響は同じ研究で「複雑」とのみ記され、増加・減少どちらの方向が優勢かは一義的に述べられていない。
高知県産茶を用いた分析では、ほうじ茶に加工する際の焙煎の程度を深めるほど、茶液100ミリリットル中のEGCG量が単調に減少した。一番茶では荒茶20.38ミリグラムから浅煎6.29、中煎3.15、深煎1.18へ、二番茶では34.33から10.29、5.10、1.89へと変化している。エピカテキンガレートも同様の傾向で減少しており、両者(EGCGとエピカテキンガレート)はいずれもTAS2R39受容体を活性化させるガレート型カテキンとして記録されている成分だが、成分量の減少が苦味知覚の変化にどう対応するかまでは、この資料からは確認できない。
Quantitative analyses of the bitterness and astringency of catechins from green tea
この本文で確認した範囲: 浸出液のEGCG濃度と苦味の相関という官能データの根拠に使用
この本文で確認した範囲: 300マイクロモルでの受容体応答強度という記述の根拠に使用
この本文で確認した範囲: 苦味と渋味を別個の物質として区別する再構成系記述の根拠に使用
この本文で確認した範囲: 抽出温度別のEGCGとGCGの実測値という記述の根拠に使用
Degradation of green tea catechins in tea drinks
この本文で確認した範囲: 別材料でのオートクレーブ処理によるエピマー化確認の根拠に使用
この本文で確認した範囲: 電子舌によるうま味アミノ酸の苦味抑制効果という記述の根拠に使用/渋味への影響が複雑で一義的でないという限界記述の根拠に使用
この本文で確認した範囲: 焙煎程度別のEGCG・ECG実測値という段落全体の根拠に使用
関連をたどる
エピガロカテキンガレート(EGCG) →と相関する→ 苦味 →と分けて測定できる→ 渋味
エピガロカテキンガレート(EGCG) →電子舌応答を低減した処理→ L-テアニン
ほうじ茶の焙煎 →低減する→ エピガロカテキンガレート(EGCG)
うま味アミノ酸によるエステル型カテキンの苦味・渋味への影響は、電子舌の応答だけでなく、ヒト官能パネルでも同じ方向で確認されるのだろうか?
由来: 資料接続あり
注記: Liu et al.(2023)が電子舌(機器)で示した知見の、ヒト知覚への外挿可否を問う疑問。
仮説は事実主張ではありません。面白さを探索の入口として保存し、これから資料・聞き書き・観察で確かめます。
構造化された主張 — 節を開くと、主張ごとの確度・根拠・限界が読めます
範囲: 引用した定量研究における緑茶浸出液
注記: 相関は濃度・マトリクスに固有。
compound-egcg —is_correlated_with→ sensation-bitter範囲: 紅茶渋味研究におけるヒト閾値
注記: 抄録記載の比から算術的に導出した値。表中の値は直接確認していない(抄録レベルのアクセス)。
compound-egcg —has_astringency_threshold_of→ "190 umol/L(導出値: ケルセチン-3-O-ルチノシドの閾値 0.001 umol/L の190000倍と記載)"範囲: 紅茶の味再構成系。ベルベット様収斂性のフラボノール-3-配糖体、口をすぼめる収斂性のカテキンと対比
注記: EGCG の苦味と渋味を、共起するが別個の質として扱うことを支持する。
compound-egcg —has_sensory_attribute→ "収斂性と苦味の両方(原文表現: the astringent and bitter epigallocatechin-3-gallate)"範囲: 緑茶主要没食子酸エステル型カテキン(EGCG・ECG・GCG)を対象とした電子舌計測。テアニン・グルタミン酸・アスパラギン酸で試験
注記: グルタミン酸・アスパラギン酸も同様に濃度依存的に苦味強度の電子舌応答を抑制したと報告されている。ヒト官能パネルでの確認ではなく、電子舌(機器)の応答値に基づく。テアニンとグルタミン酸がアスパラギン酸よりエステル型カテキンと強く相互作用し、水素結合が主な相互作用力とされる。
compound-egcg —has_e_tongue_bitterness_reduced_by→ compound-l-theanine範囲: 同上(Liu et al. 2023)電子舌研究
注記: 原文は渋味への影響を『complicated』とのみ記し、増加・減少どちらの方向が優勢かを一義的に述べていない。アブストラクトのみの確認であり、本文の詳細(数値・条件別の方向性)は未読。
compound-egcg —has_bitter_astringency_affected_by→ "うま味アミノ酸(テアニン・グルタミン酸・アスパラギン酸)との共存。苦味は濃度依存的に抑制されたのに対し、渋味(電子舌応答)への影響は一律ではなく複雑だったと報告されている。"範囲: トルコ緑茶を 75/85/95 C で 1-45 分抽出。GCG GC C は温度・時間とともに増加を続けた(GCG 最大 3.63 mg/100 ml、95 C 45 分)
注記: 単一の茶材料(新鮮なトルコ緑茶)。著者らは葉齢・サイズ・季節・製造が結果に影響すると注記。
compound-egcg —epimerizes_to→ "高温抽出中の非エピ型ガロカテキンガレート(GCG)。95 C 抽出で EGCG が 85 C より低かった主因はこのエピマー化"注記: エピガロカテキンガレートとエピカテキンガレートは、この研究所の既存資産ではヒト苦味受容体TAS2R39を活性化するガレート型カテキンとして記録されている成分である。ただしこの高知県の資料は成分量のみを測定しており、焙煎による成分減少が苦味知覚の変化にどう対応するかはこの資料からは確認できない。
process-hojicha-roasting —reduces→ compound-egcg