概念
スーパーテイスター(概念)
supertaster
スーパーテイスター(概念)は、6-n-プロピルチオウラシルを非常に苦いと評定するテイスター集団の呼称。口腔感覚全般が増幅されていると提案されたが、この用語と PROP による操作的定義には異論がある。
模式図 — 写真ではなく、根拠をもとに苦味研究所が組んだ説明図

模式図(苦味研究所作成)· CC BY 4.0
「スーパーテイスター」——用語の由来と、その後の批判
PROP を強烈に苦く感じる人を指す supertaster という語が業界誌の記事で生まれた経緯と、温度で味を感じる人や刺激物から苦味の側味を報告する人の応答亢進は PROP の苦味と独立しているため概念と操作化を区別すべきだという後の批判を左右に並べ、PROP の感受性は受容体 TAS2R38 の型で大部分が説明できることを帯に記した図。この概念は「争いあり」として扱う。
根拠: ev-hayes-keast-term-origin · ev-hayes-keast-supertasting-critique · ev-bufe-genotype-psychophysics
概念 / concept-supertaster
↑苦味を読む
スーパーテイスターとは、6-n-プロピルチオウラシル(PROP)という苦味物質を非常に強い苦味と評定する一群の呼び名である。ある味覚試験では、PROPや他の口腔刺激への感じ方の強さを段階づけたところ、PROPをことのほか強く苦いと評定する集団が浮かび上がり、この集団は苦味物質や甘味物質でもより強い味を感じ、アルコールやカプサイシンからもより強い灼熱感を覚える傾向があり、女性でこの集団の頻度が高いとされた。ただしこの説明は抄録レベルの記述で、人数や採点方法、効果の大きさまでは踏み込めていない。
スーパーテイスターという語が初めて活字になったのは、1991年に業界誌へ載ったある記事だとされる。その記事のもとになった研究室では、PROPを苦く感じない人たちが比較的均質な集団であるのに対し、PROPを苦く感じる側ははるかにばらつきが大きく、そのなかにPROPを強烈な苦味と評定する一群が含まれることが観察されていた。これは用語の由来をたどる二次的な記述であり、1991年の記事そのものはこの調べでは読めていない。
もっとも、PROPへの強い苦味反応を、口の中の感覚全般が増幅された体質のしるしとみなす見方には異論がある。2011年の批判的な総説は、温度による味の変化を強く感じる人や、刺激物から苦味の側味を報告する人の反応の亢進はPROPの苦味そのものとは別物であり、PROPの苦味に関わる遺伝子の型ではこうした亢進を説明できないと指摘した。著者らはこの議論をふまえ、口腔感覚全般が広く高まっている状態を指すなら、PROPによる操作的な定義から切り離した別の呼び名を使うべきだと提案している。
参加者243名がPROPを5段階の濃度で評定した研究では、TAS2R38の遺伝子型が最高濃度(3.2mM)での苦味評定の分散の29.3%を説明した(F(1,216) = 89.4、p < 0.0001)。これとは独立に、TAS2R4の遺伝子型も同じ濃度で分散の7.7%を追加的に説明した(F(1,206) = 17.20、p < 0.0001)。TAS2R38・TAS2R4のいずれも低機能型ホモ接合だった26人の平均評定は18.4(±3.9)、両者とも高機能型ホモ接合だった27人では56.8(±3.9)で、約3.1倍の差があった。
同じ研究のin vitro実験では、TAS2R4を発現させた細胞をカルシウムイメージングで調べたところ、3ミリモルのPROPは弱いTAS2R4のアゴニストだった。この応答は高濃度でのみ弱く確認されたもので、著者ら自身、生理的な意義については今後の検証が必要だと述べている。
この説明の根拠
PTC/PROP tasting: anatomy, psychophysics, and sex effects
この本文で確認した範囲: PROP強評定者が他の苦味・甘味・刺激物でも反応が強まる点を本文で確認
Two decades of supertasting: where do we stand?
この本文で確認した範囲: 用語が1991年の業界誌記事に初出という経緯を本文で確認/TAS2R38型では亢進を説明できないという批判を本文で確認
この本文で確認した範囲: TAS2R38とTAS2R4それぞれの分散説明率の内訳/TAS2R4がPROPの弱いアゴニストである所見
構造化された主張 — 節を開くと、主張ごとの確度・根拠・限界が読めます
感覚(2)
範囲: ヒトにおける PROP の閾上強度スケーリング。一般化の主張は PROP から他の口腔刺激へ拡張するもの
注記: Bartoshuk 系列が支持する一般化を Hayes and Keast (2011) が正面から批判: 苦味以外の高応答は PROP 苦味と独立で、TAS2R38 アリルはスーパーテイスティングを説明できない。彼らは概念を hyperguesia として PROP から切り離すことを提案。
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concept-supertaster —is_identified_by→ "PROP の高い知覚苦味を、全般的に増幅された口腔感覚世界のマーカーとみなす見方(多様な苦味・甘味物質でより強い味、アルコールとカプサイシンでより強い灼熱感)"範囲: 層: 溶液。参加者243名がPROP濃度5段階(0.032・0.1・0.32・1.0・3.2 mM)を重複呈示され、一般化ラベル強度尺度(gLMS)で苦味を評定。唾液DNAからTAS2R38・TAS2R4の遺伝子型を判定。
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concept-supertaster —has_perceived_bitterness_associated_with→ receptor-tas2r38機構・受容体(1)
範囲: 層: 細胞。TAS2R4 を異種発現させた HEK293T 細胞のカルシウムイメージング(同じ研究の in vitro 実験)。
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concept-supertaster —activates→ "TAS2R4を異種発現させたHEK293T細胞のカルシウムイメージングでは、3 mMのPROPは弱いTAS2R4アゴニストだった。"文化(1)
範囲: Hayes and Keast(2011)の批判的レビューで語られた概念の歴史
注記: 概念史の記録。查読誌ではなく業界誌初出という点も概念の批判史の一部。
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concept-supertaster —has_term_first_appearing_in→ "業界誌 Food Technology における Linda Bartoshuk の1991年の記事"