化合物
サンショオール
hydroxy-alpha-sanshool (sanshool alkylamides)
サンショオールは、Zanthoxylum のチクチク感に関連するアルキルアミド。ヒト精神物理学ではしばしば安定誘導体 IBA が用いられる。
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サンショウ(Zanthoxylum piperitum)の果実と種子。hydroxy-alpha-sanshool を含むサンショオールアルキルアミド類はこの植物のチクチク感に関連するとされ、化合物そのものではなく給源となる果実・種子の写真である。
原料写っているもの: Zanthoxylum piperitum(サンショウ)部位・状態: 果実と種子
写真: Didier Descouens/ CC BY-SA 4.0/ 原画像/ 台帳の原画像
写真の範囲と来歴
被写体の確認: 原典の記載による同定。ingredient-sansho-fruit で使用した写真とは別ファイル(重複回避)。
掲載画像: Wikimedia Commons の原寸ファイルを sips で長辺2400pxに縮小。苦味研究所では切り抜き・色調変更なし(リサイズのみ)。 表示用には幅1200px上限のWebPを配信し、台帳の原画像は上のリンクから確認できます。
化合物 / compound-hydroxy-alpha-sanshool
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ヒドロキシ-アルファ-サンショオールは、サンショウ属(Zanthoxylum)の果実に含まれるアルキルアミド類の一つで、口の中に独特のチクチク・しびれる感覚を引き起こす成分である。これは甘味・酸味・苦味のような「味」ではなく、痛みや温度感覚に近い、口の中で感じる化学的な刺激感覚にあたる。ヒトを対象にした精神物理学の実験の多くは、天然のサンショオールそのものではなく、より安定した誘導体IBAを使って行われている。
この感覚は、単なる痛みの一種ではなく、触覚とも絡み合っている。舌の前方3分の1にIBAを塗ると、触覚の識別しやすさを示すR-indexが、ある力のvon Freyフィラメントで93.8から84.3へ、別のフィラメントで86.9から75.2へ低下し、触覚が鈍くなった。対照として使われたカプサイシンには同じ効果がなかった。逆に、唇に持続的な圧をかけるとサンショオールによるチクチク感そのものがベースラインのおよそ24.7%まで抑えられるという実験もあり、チクチク感と触覚は互いに影響し合う関係にある。
このチクチク感がどの受容体を通じて起きるのかは、研究間で意見が分かれている。あるマウスの実験では、サンショオールは感覚ニューロンの52.3%を興奮させ、なかでも二孔性カリウムチャネルのKCNK3とKCNK18への効き目が強く(IC50はそれぞれ30.3、50.2 uM)、TRPV1とTRPA1の両方を欠くマウスでも応答は変わらなかった。ところが別の研究では、ヒドロキシ-アルファ-サンショオールはTRPV1をEC50 1.1 uM、TRPA1をEC50 69 uMで活性化する作動薬と報告され、TRPV1を欠くマウスでは1 mMのサンショオールへの忌避行動がほぼ消えたとされている。ヒトの実験では、カプサイシンやマスタードオイルで痛み受容チャネルを慣れさせてもサンショオールのチクチク感は弱まらず、唇でのしびれは触覚に近い神経経路(RA1)に位置づけられている。著者の一人は、この食い違いが試験温度の違いによる可能性を指摘しており、機構はまだ決着していない。
山椒の辛み成分としてのサンショオールは、古い歴史をもつ研究対象でもある。1931年の原著論文は、日本の山椒(Xanthoxylum piperitum D.C.)の果実からエーテル抽出物を取り、還元・分留・分解という当時の手法で粗サンショオールを単離したと記録している。現代の分析でひとつの化合物として同定・定量した研究ではなく、あくまで歴史的な最初の一歩として位置づけられる。
この説明の根拠
この本文で確認した範囲: ヒト精神物理でIBA誘導体が用いられる実験設計を確認/IBAで触覚閾値R-indexが93.8→84.3等へ低下する数値を確認/カプサイシン前処理でもチクチク感が弱まらない結果を確認
この本文で確認した範囲: 持続圧でチクチク感が24.7%まで抑制される結果を確認
この本文で確認した範囲: KCNK3・KCNK18のIC50値と二重KOでの応答維持を確認
この本文で確認した範囲: TRPV1・TRPA1のEC50とKOでの忌避消失を確認
Food vibrations: Asian spice sets lips trembling
この本文で確認した範囲: しびれ感覚がRA1経路に位置づけられる周波数実験を確認
この本文で確認した範囲: 1931年原著による粗サンショオール単離の記録を確認
実測値(5)
| 種別 | 化合物 | 対象 | 値 | 条件 | 出典 |
|---|---|---|---|---|---|
| 受容体EC50 | サンショオール | TRPV1 | 1.1 µM | 異種発現系(機構は係争中) | Riera CE, 2009 |
| 受容体EC50 | サンショオール | TRPA1 | 69 µM | 異種発現系(機構は係争中) | Riera CE, 2009 |
| 受容体IC50 | サンショオール | KCNK3 | 30.3±4.9 µM | 異種発現系(機構は係争中) | Bautista DM, 2008 |
| 受容体IC50 | サンショオール | KCNK18 | 50.2±1.9 µM | 異種発現系 | Bautista DM, 2008 |
| 受容体IC50 | サンショオール | KCNK9 | 450±30.1 µM | 異種発現系 | Bautista DM, 2008 |
値は各出典の報告値そのまま(単位・条件を併記)。閾値・EC50はパネル・手法依存で、単一の真値ではありません。
構造化された主張 — 節を開くと、主張ごとの確度・根拠・限界が読めます
組成・含有(1)
範囲: 1931年原著で Xanthoxylum piperitum D.C. の果実を材料とした単離研究
注記: 原著は粗サンショオールを扱う歴史的研究であり、現代の化学同定・含量測定としては限定的。
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ingredient-sansho-fruit —contains→ compound-hydroxy-alpha-sanshool感覚(2)
範囲: 皮膚・唇部位への IBA を用いたヒト精神物理学
注記: チクチク感が純粋な侵害受容ではなく機械感覚チャネルを介することを示唆。
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compound-hydroxy-alpha-sanshool —reduces→ "適用中の触覚感度(von Frey 閾値)。カプサイシンとは異なる"範囲: ヒト官能。現象レベルの観察であり、受容体機構は関連する記録(contested)を参照
注記: 現象と機構の分割(playbook規則)による分離。
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compound-hydroxy-alpha-sanshool —can_elicit→ sensation-tingling機構・受容体(1)
範囲: 安定サンショオール誘導体 IBA を用いたヒト精神物理学と、それを支持する神経生理学
注記: 機構は係争中: KCNK(2P型Kチャネル)阻害説(TRPV1/TRPA1二重KOでも神経応答不変)vs TRPV1主経路説(KOで忌避ほぼ消失)。方法差・温度依存が相違候補。現象(しびれ・チクチク自体)は争われていない。
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compound-hydroxy-alpha-sanshool —has_currently_proposed_mechanisms→ "機械感受性ニューロン上の KCNK 2Pドメインカリウムチャネルの阻害。TRPV1/TRPA1 経路とは別"