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化合物

ラクチュシン

lactucin

ラクチュシンは、チコリーに存在するセスキテルペンラクトン。

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青い花びらを持つチコリーの花が接写されている写真

チコリー(Cichorium intybus)の花。lactucin はこの植物に存在するセスキテルペンラクトンであり、化合物そのものではなく給源植物の写真である。

原料写っているもの: Cichorium intybus(チコリー)部位・状態: 花

写真: Secretlondon/ CC BY-SA 4.0/ 原画像/ 台帳の原画像

写真の範囲と来歴

被写体の確認: 原典の記載による同定。ingredient-chicory・compound-lactucopicrin で使用した写真とは別ファイル(重複回避)。

掲載画像: Wikimedia Commons の原寸ファイルを sips で長辺2400pxに縮小。苦味研究所では切り抜き・色調変更なし(リサイズのみ)。 表示用には幅1200px上限のWebPを配信し、台帳の原画像は上のリンクから確認できます。

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化合物 / compound-lactucin

このページの内容(10 節)
  1. 説明
  2. この説明の根拠(3)
  3. 主題ハブ
  4. 関連をたどる
  5. 関連項目(10)
  6. 実測値(2)
  7. 組成・含有(1)
  8. 感覚(1)
  9. 機構・受容体(1)
  10. 加工・調理でどう変わる(1)
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苦味を読む

ラクチュシンは、チコリーに含まれるセスキテルペンラクトン(苦味を持つことが多い、テルペン由来の環状ラクトン構造を持つ化合物群)の一つである。培養細胞を使った受容体の実験では、ラクチュシンは苦味受容体の一つTAS2R43を、閾値10マイクロモル、EC50(反応が半分になる濃度)14.9 +/- 2.5マイクロモルで活性化させ、別の受容体TAS2R46もEC50 8.85 +/- 1.17マイクロモルで活性化させた。同じ実験で調べたラクチュコピクリンはさらに低い濃度(閾値0.1マイクロモル、EC50 0.46 +/- 0.08マイクロモル)でTAS2R43を活性化させており、論文はラクチュコピクリンを最も強く、ラクチュシンを中程度、11β,13-ジヒドロラクチュシンを最も弱いと順位づけている。

チコリーの生の根にはラクチュシンが1グラムあたり42.13 +/- 4.10マイクロモル、焙煎したチコリー代用コーヒーの粉には32.48 +/- 5.87マイクロモル、抽出液には1.35 +/- 0.10マイクロモルの濃度で含まれていた。この抽出液中の濃度は、受容体を活性化させるのに必要なEC50の値よりおよそ一桁低く、飲料の苦味をラクチュシン単独の受容体作用だけに帰することはできない。さらに、TAS2R43の遺伝子は人によって0から2個までコピー数が異なり、世界52集団946人の調査では欠失した型が世界頻度は0.33に達し、ヨーロッパでは20%を超える被験者がこの遺伝子を持っていなかった。細胞実験で測った効力の順位を、そのまま万人に共通する苦味の強さの順位として扱うことはできない。

チコリーに含まれるセスキテルペンラクトンの量は、素材に固定された性質ではなく、加工によって大きく変わる。生食用チコリー(witloof)を使った洗浄実験では、どの洗浄方法でもセスキテルペンラクトンの総量と苦味が有意に減少し、温水での洗浄では総量がおよそ60.9〜64.5%減った。また貯蔵が進むと、11(S),13-ジヒドロラクチュシンという別の関連化合物の割合が増えていくことも記録されている。この研究はラクチュシン単独の濃度までは示していないが、チコリーの苦味成分の量が調理・保存の条件によって動くことを裏づけている。

この説明の根拠

  1. Overlapping activation pattern of bitter taste receptors affect sensory adaptation and food perception

    Lang R; Lang T; Dunkel A; Ziegler F; Behrens M / 2022 / 学術論文 / 全文確認

    この本文で確認した範囲: TAS2R43のEC50値と化合物間の効力順位を確認/TAS2R46のEC50 8.85マイクロモルでの活性化を確認/根・粉・抽出液中のラクチュシン濃度を確認/チコリー各段階でのラクチュシン濃度測定を確認

  2. Copy Number Variation in TAS2R Bitter Taste Receptor Genes: Structure, Origin, and Population Genetics

    Roudnitzky N; Risso D; Drayna D; Behrens M; Meyerhof W; Wooding SP / 2016 / 学術論文 / 全文確認

    この本文で確認した範囲: TAS2R43遺伝子欠失頻度33%の集団差を確認

  3. Sesquiterpene lactone content and overall quality of fresh-cut witloof chicory (Cichorium intybus L. var. foliosum Hegi) as affected by different washing procedures

    Wulfkuehler S; Gras C; Carle R / 2013 / 学術論文 / 抄録確認

    この本文で確認した範囲: 洗浄処理による総量6割減少の記録を確認

関連をたどる

ラクチュシン →活性化する→ TAS2R43

ラクチュシン →に寄与する→ 苦味 →と分けて測定できる→ 渋味

チコリ →含む→ ラクチュシン

実測値(2)

種別化合物対象値条件出典
受容体EC50ラクチュシンTAS2R4314.9±2.5 µMHEK293細胞アッセイLang R, 2022
受容体EC50ラクチュシンTAS2R468.85±1.17 µMHEK293細胞アッセイLang R, 2022

値は各出典の報告値そのまま(単位・条件を併記)。閾値・EC50はパネル・手法依存で、単一の真値ではありません。

構造化された主張 — 節を開くと、主張ごとの確度・根拠・限界が読めます

組成・含有(1)

チコリはラクチュシンを含む支持あり

範囲: 引用研究におけるチコリーとチコリーベース代用コーヒー

注記: 濃度は材料と調製により異なる。

ラクチュシンは新鮮チコリー根で 42.13 +/- 4.10 umol/g、焙煎チコリー代用コーヒー粉末で 32.48 +/- 5.87 umol/g、調製した代用コーヒー抽出液で 1.35 +/- 0.10 uM と定量された。焙煎コーヒーには存在しなかった。11beta,13-dihydrolactucin は焙煎で急増した(新鮮根 6.18 +/- 0.19 umol/g から粉末 52.69 +/- 5.50 umol/g へ)。
限界: 一つのチコリー試料セットに関する単一研究の値。独立研究はセスキテルペンラクトン含量が工程に強く依存することを示しており、固定的な組成定数として引用すべきではない。
出典: Overlapping activation pattern of bitter taste receptors affect sensory adaptation and food perception(Lang R; Lang T; Dunkel A; Ziegler F; Behrens M, 2022)・全文確認
限定: チコリのセスキテルペンラクトン含量が素材固有の一定の性質ではなく工程に強く依存することを示している。すべての洗浄手順がセスキテルペンラクトン含量と苦味を有意に低下させ、温水洗浄は総量を 60.9-64.5% 低減した。プロファイルは貯蔵中に変化し、貯蔵終了時には 11(S),13-ジヒドロラクチュシンが優勢となった。
限界: 抄録はラクチュシン個別の濃度を示さず、総セスキテルペンラクトンの低減とジヒドロ化合物の貯蔵終了時の優位のみを示す。ラクチュシンの存在を否定するものではなく、単一の引用濃度を限定づけるものである。
データを表示ingredient-chicory —contains→ compound-lactucin
claim: clm-chicory-contains-lactucin / type: composition / 更新: 2026-08-30

感覚(1)

ラクチュシンは苦味に寄与する支持あり

範囲: 引用研究におけるチコリーとチコリーベース代用コーヒー

注記: 受容体活性化と食品中濃度が併せて知覚を形成する。

ラクチュシンはチコリ生根に42.13 +/- 4.10 umol/g、焙焼チコリ代用コーヒー粉末に32.48 +/- 5.87 umol/g、代用コーヒー抽出液に1.35 +/- 0.10 uMで存在し、TAS2R43(EC50 14.9 +/- 2.5 uM)とTAS2R46(EC50 8.85 +/- 1.17 uM)を活性化する。ラクチュコピクリンと比べて中程度の効力と記載されている。
限界: 抽出液中濃度(1.35 uM)は両受容体のin vitro EC50値よりおよそ1桁低く、飲料の苦味をこれら受容体でのラクチュシン単独の作用に帰することはできない。本化合物は焙煎コーヒーには存在しない。
出典: Overlapping activation pattern of bitter taste receptors affect sensory adaptation and food perception(Lang R; Lang T; Dunkel A; Ziegler F; Behrens M, 2022)・全文確認
データを表示compound-lactucin —contributes_to→ sensation-bitter
claim: clm-lactucin-bitter / type: sensory / 更新: 2026-08-30

機構・受容体(1)

ラクチュシンはTAS2R43を活性化する支持あり

範囲: 引用研究における培養細胞系での受容体試験

注記: 受容体活性化だけでは食品全体としての強度は決まらない。

ラクチュシンは TAS2R43 を閾値 10 uM、EC50 14.9 +/- 2.5 uM で活性化した。同じ受容体においてラクチュコピクリンははるかに強力であり(閾値 0.1 uM、EC50 0.46 +/- 0.08 uM)、論文は逐語的に lactucopicrin exhibiting the highest potency, lactucin with medium potency and 11beta,13-dihydrolactucin being least potent と化合物を順位付けしている。
限界: EC50 値は Table 1 から読み取ったもの。本文は効力の順位を言葉で述べているが数値は繰り返していないため、これらの数値は文レベルではなく表レベルの逐語情報である。細胞ベースの効力だけで食品全体の強度が決まるわけではなく、TAS2R43 は相当な割合の人で欠失しているため、この順位付けはヒト集団に一様には当てはまらない。
出典: Overlapping activation pattern of bitter taste receptors affect sensory adaptation and food perception(Lang R; Lang T; Dunkel A; Ziegler F; Behrens M, 2022)・全文確認
限定: TAS2R43 自体が人により機能的に異なることを示す: 35位にトリプトファンをコードする hT2R43 アレルの保有者はアロインとアリストロキア酸の苦味に非常に敏感で、このアレルを持たない人は低濃度ではこれらの化合物を味わえず、同じアレルはサッカリンへの感受性も高める。著者らは、一部の人が特定の hT2R 遺伝子を持たないことも述べる。
限界: ラクチュシンは試験化合物に含まれておらず、これはラクチュシン固有の問題ではなく、TAS2R43 に基づく力価順位の全人口への転用可能性に関わる。抄録レベルの抽出: アレル頻度と心理物理の n は捕捉していない。
出典: Specific alleles of bitter receptor genes influence human sensitivity to the bitterness of aloin and saccharin(Pronin AN; Xu H; Tang H; Zhang L; Li Q; Li X, 2007)・抄録確認
限定: TAS2R43 の細胞ベースの効力値はヒト集団に一様には転用できない。受容体遺伝子が相当数の人で欠失しているためである。TAS2R43 のコピー数は 0 から 2 の範囲にあり、欠失アレルは52集団の被験者946名で世界頻度 0.33 に達する。論文はヨーロッパでは 20% を超える被験者がこの遺伝子を欠いていたと述べている。
限界: ラクチュシンやチコリを用いた官能試験はない。この限界は受容体遺伝学を in vitro EC50 の解釈に結びつける推論的なものである。
出典: Copy Number Variation in TAS2R Bitter Taste Receptor Genes: Structure, Origin, and Population Genetics(Roudnitzky N; Risso D; Drayna D; Behrens M; Meyerhof W; Wooding SP, 2016)・全文確認
データを表示compound-lactucin —activates→ receptor-tas2r43
claim: clm-chicory-tas2r43 / type: mechanism / 更新: 2026-08-30

加工・調理でどう変わる(1)

ウィットルーフの軟白栽培はラクチュシンを増加させる支持あり

範囲: 強制後の根株(FR)組織、cv. Sweet Lady、12ヶ月貯蔵

強制後の根株(FR)組織でラクチュシンが51.3±5.5から128.3±9.6 μg/g DWへ増加。
限界: 増加が見られたのは強制後に残る根株組織であり、可食部(頭部)ではない。
出典: Effect of Root Storage and Forcing on the Carbohydrate and Secondary Metabolite Composition of Belgian Endive (Cichorium intybus L. Var. foliosum)(van Arkel J; Twarogowska A; Cornelis Y; De Marez T; Engel J; Maenhout P; de Vos RCH; Beekwilder J; Van Droogenbroeck B; Cankar K, 2022)・全文確認
データを表示process-witloof-forcing —increases→ compound-lactucin
claim: clm-w37c-witloof-forcing-increases-lactucin / type: processing / 更新: 2026-09-02

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