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化合物

ラクチュコピクリン

lactucopicrin

ラクチュコピクリンは、チコリーに存在するセスキテルペンラクトン。

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青紫色の花を多数咲かせたチコリーの株全体が写る写真

チコリー(Cichorium intybus)の開花株全体。lactucopicrin はこの植物に存在するセスキテルペンラクトンであり、化合物そのものではなく給源植物の写真である。

原料写っているもの: Cichorium intybus(チコリー)部位・状態: 開花株全体

写真: NY State IPM Program at Cornell University from New York, USA/ CC BY 2.0/ 原画像/ 台帳の原画像

写真の範囲と来歴

被写体の確認: 原典の記載による同定。ingredient-chicory・compound-lactucin で使用した写真とは別ファイル(重複回避)。

掲載画像: Wikimedia Commons の原寸ファイル。苦味研究所では切り抜き・色調変更なし。 表示用には幅1200px上限のWebPを配信し、台帳の原画像は上のリンクから確認できます。

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化合物 / compound-lactucopicrin

このページの内容(10 節)
  1. 説明
  2. この説明の根拠(3)
  3. 主題ハブ
  4. 関連をたどる
  5. 関連項目(10)
  6. 実測値(1)
  7. 組成・含有(2)
  8. 感覚(3)
  9. 機構・受容体(2)
  10. 加工・調理でどう変わる(1)
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苦味を読む

ラクチュコピクリンは、チコリー(キクニガナ)の根に含まれるセスキテルペンラクトンの一種である。生の根にグラムあたり11.93±0.46マイクロモル、焙煎した代用コーヒー粉末に10.66±0.94マイクロモル、その抽出液に0.45±0.04マイクロモルの濃度で存在すると報告されている。焙煎した通常のコーヒーからは検出されなかった。

同じ研究で比べられたチコリー由来のラクトン類のうち、ラクチュコピクリンがもっとも強い苦味受容体反応を引き出した。ヒトの苦味受容体TAS2R43を閾値0.1マイクロモル・EC50 0.46±0.08マイクロモルで、TAS2R46を閾値0.03マイクロモル・EC50 0.35±0.06マイクロモルで活性化し、TAS2R14への応答は閾値30マイクロモルとごくわずかだった。ただしTAS2R46はセスキテルペンラクトン全般に広く応答することが別の研究で示されている受容体であり、この高い効力はラクチュコピクリンへの選択的な結合を意味するものではない。また質量あたりの濃度で見ればラクチュシンより低いのに受容体への働きかけがはるかに強く、著者らは濃度だけでチコリーの苦味化合物を並べ替えるのは誤解を招くと注意している。

チコリー抽出液中のラクチュコピクリン濃度(0.45マイクロモル)は受容体の閾値は上回るがEC50に近い水準にとどまり、実際に感じる苦味の強さへそのまま結びつけるにはなお官能試験が必要とされる。独立した別の研究グループも、加工直後のフレッシュカットのウィットルーフチコリーで、ラクチュコピクリンを主要なセスキテルペンラクトンとして確認しており、貯蔵によって組成が変わることも報告している。

この説明の根拠

  1. Overlapping activation pattern of bitter taste receptors affect sensory adaptation and food perception

    Lang R; Lang T; Dunkel A; Ziegler F; Behrens M / 2022 / 学術論文 / 全文確認

    この本文で確認した範囲: 生根・粉末・抽出液の3形態での濃度と焙煎コーヒー非検出の記述/TAS2R43・TAS2R46・TAS2R14への活性化の閾値とEC50、濃度と効力の非対応の注意/抽出液濃度が閾値超・EC50近傍にとどまる点の確認

  2. Broad tuning of the human bitter taste receptor hTAS2R46 to various sesquiterpene lactones, clerodane and labdane diterpenoids, strychnine, and denatonium

    Brockhoff A; Behrens M; Massarotti A; Appendino G; Meyerhof W / 2007 / 学術論文 / 抄録確認

    この本文で確認した範囲: TAS2R46がセスキテルペンラクトン全般に広く応答する点を確認

  3. Sesquiterpene lactone content and overall quality of fresh-cut witloof chicory (Cichorium intybus L. var. foliosum Hegi) as affected by different washing procedures

    Wulfkuehler S; Gras C; Carle R / 2013 / 学術論文 / 抄録確認

    この本文で確認した範囲: 独立グループによるフレッシュカットウィットルーフでの確認と貯蔵変化

関連をたどる

ラクチュコピクリン →活性化する→ TAS2R46

ラクチュコピクリン →に寄与する→ 苦味 →と分けて測定できる→ 渋味

チコリ →含む→ ラクチュコピクリン

実測値(1)

種別化合物対象値条件出典
受容体EC50ラクチュコピクリンTAS2R460.35±0.06 µMHEK293細胞アッセイLang R, 2022

値は各出典の報告値そのまま(単位・条件を併記)。閾値・EC50はパネル・手法依存で、単一の真値ではありません。

構造化された主張 — 節を開くと、主張ごとの確度・根拠・限界が読めます

組成・含有(2)

チコリはラクチュコピクリンを含む支持あり

範囲: 引用研究におけるチコリーとチコリーベース代用コーヒー

注記: 濃度は材料と調製により異なる。

ラクチュコピクリンは、生のチコリ根で 11.93 +/- 0.46 umol/g、焙煎チコリ代用コーヒー粉末で 10.66 +/- 0.94 umol/g、調製した代用コーヒー抽出液で 0.45 +/- 0.04 uM と定量され、焙煎コーヒーには存在しなかった。
限界: 単一の試料セットと単一の加工経路。別の独立グループは、加工直後のフレッシュカットのウィットルーフチコリではラクチュコピクリンが主要なセスキテルペンラクトンであるが、貯蔵中にプロファイルが変化すると報告しており、ラクチュシンとの順位関係は製品・工程依存である。
出典: Overlapping activation pattern of bitter taste receptors affect sensory adaptation and food perception(Lang R; Lang T; Dunkel A; Ziegler F; Behrens M, 2022)・全文確認
フレッシュカットの witloof チコリーでセスキテルペンラクトンを定量した独立グループは、加工直後の主要セスキテルペンラクトンとしてラクチュコピクリンを報告し、Lang 2022 データセットの外でのチコリー中の存在を確認する。
限界: 絶対濃度は抄録から捕捉しておらず、Lang 2022 の数値ではなく存在と相対順位を裏づける。Lang 2022 の焙煎チコリーとは植物部位・製品形態(フレッシュカット witloof)が異なる。
データを表示ingredient-chicory —contains→ compound-lactucopicrin
claim: clm-chicory-contains-lactucopicrin / type: composition / 更新: 2026-08-30
ウィットルーフチコリはラクチュコピクリンを含む支持あり

範囲: フレッシュカットwitloofチコリ

注記: 加工直後の主要セスキテルペンラクトンと報告。

加工直後のフレッシュカットwitloofではラクチュコピクリンが主要セスキテルペンラクトンだった。
限界: 抄録確認のみで絶対濃度は未取得。
データを表示ingredient-witloof-chicory —contains→ compound-lactucopicrin
claim: clm-witloof-lactucopicrin / type: composition / 更新: 2026-08-31

感覚(3)

ラクチュコピクリンは苦味に寄与する支持あり

範囲: 引用研究におけるチコリーとチコリーベース代用コーヒー

注記: 受容体活性化と食品中濃度が併せて知覚を形成する。

ラクチュコピクリンは新鮮チコリー根に 11.93 +/- 0.46 umol/g、代用コーヒー粉末に 10.66 +/- 0.94 umol/g、代用コーヒー抽出液に 0.45 +/- 0.04 uM 存在し、試験されたチコリーラクトン類の中で最も強力: TAS2R43 EC50 0.46 +/- 0.08 uM(閾値 0.1 uM)、TAS2R46 EC50 0.35 +/- 0.06 uM(閾値 0.03 uM)。TAS2R14 でも閾値 30 uM の最小応答を示した。
限界: ラクチュシンより質量濃度は低いがはるかに強力であり、濃度だけでチコリーの苦味化合物を順位づけるのは誤解を招く。抽出液濃度(0.45 uM)は受容体閾値を上回るが EC50 近傍にあり、知覚強度への外挿にはなお官能データが必要。
出典: Overlapping activation pattern of bitter taste receptors affect sensory adaptation and food perception(Lang R; Lang T; Dunkel A; Ziegler F; Behrens M, 2022)・全文確認
データを表示compound-lactucopicrin —contributes_to→ sensation-bitter
claim: clm-lactucopicrin-bitter / type: sensory / 更新: 2026-08-30
エンダイブの知覚苦味と関連する要因: ラクチュコピクリン支持あり

範囲: Cichorium endivia var. crispum(縮葉種=curly endive)とvar. latifolium(広葉種=escarole)のジャームプラズムコレクションを対象にした官能評価(苦味・渋味・青臭さ・総合嗜好)と化学分析の相関分析

注記: 抄録によれば、ラクチュコピクリンとケンフェロールマロニルグルコシドの2化合物が苦味・渋味・青臭さの知覚と一貫して関連していた。総合嗜好は主に苦味と有意な負の相関。品種間で苦味・渋味・青臭さに有意差があり、curly endive(縮葉種)がescarole(広葉種)より平均して(特に苦味において顕著に)高いスコアだったと報告されている。抄録は『セスキテルペンラクトンとフェノールが苦味等の決定要因』という一般論はデータと完全には整合しないとも述べ、化合物のバランスが複雑に効いてくる(フェノールの負の寄与が優勢)としている。

"Lactucopicrin and kaempferol malonyl glucoside were consistently related to bitterness, astringency and herbaceous flavour perceptions... Bitter, astringent, and herbaceous perceptions were significantly affected by variety, with curly endive showing on average higher scores in comparison to escarole, with particular respect to bitterness."を逐語確認。
限界: 抄録のみ確認(全文未確認)。具体的な相関係数・統計値・パネル人数は抄録に無い。
データを表示ingredient-endive —has_perceived_bitterness_associated_with→ compound-lactucopicrin
claim: clm-w40-endive-escarole-bitterness-sensory / type: sensory / 更新: 2026-09-02
ラクチュコピクリンのヒト味覚閾値の報告値: 0.5 ppm(先行報告の引用)。前駆体の lactucopicrin 15-oxalate(LO)は L の10倍程度の濃度で同等の苦味と感じられ、閾値は5 ppmより高いと推定された(LO標品は L を5%含むため正確な閾値は測れず、口腔内で LO から L が生成した可能性もある)予備的

範囲: 堀江2011「lactucopicrins の苦味強度」の節。標品の官能比較(人数・尺度の記載なし)

注記: LO そのものの苦味は L と比べればきわめて弱い、と著者は推定。閾値 0.5 ppm は文献3の引用で本論文の測定ではない。

L の閾値は 0.5 ppm と報告されている(文献3)。LO の標品は L に対して10倍程度の濃度で同等の苦味と感じられ、LO の閾値は 5 ppm より高濃度と推定。LO 標品は L を5%含み、閾値評価中に口腔内で L が生成した可能性が大きいため LO 自体の閾値測定はきわめて難しいと判断。
限界: 人数・尺度・統計の記載なし。LO の閾値は推定。
出典: ドレッシングの使用がキク科野菜の苦味を緩和する(堀江 秀樹, 2011)・全文確認
データを表示compound-lactucopicrin —has_reported_human_taste_threshold_of→ "0.5 ppm(先行報告の引用)。前駆体の lactucopicrin 15-oxalate(LO)は L の10倍程度の濃度で同等の苦味と感じられ、閾値は5 ppmより高いと推定された(LO標品は L を5%含むため正確な閾値は測れず、口腔内で LO から L が生成した可能性もある)"
claim: clm-w176-lactucopicrin-oxalate-weaker-bitterness / type: sensory / 更新: 2026-09-26

機構・受容体(2)

ラクチュコピクリンはTAS2R46を活性化する支持あり

範囲: 引用研究における培養細胞系での受容体試験

注記: 同論文は他のチコリーラクトンによる重複した受容体活性化も報告している。

ラクチュコピクリンはTAS2R46を閾値0.03 uM・EC50 0.35 +/- 0.06 uMで活性化し、本研究で報告された中で最も高感度な受容体–化合物ペアであった; ラクチュシンは同受容体を閾値1 uM・EC50 8.85 +/- 1.17 uMで活性化。11beta,13-dihydrolactucinは閾値30 uMで、試験濃度域ではEC50は決定されなかった。
限界: EC50値は本文中の記述ではなくTable 1に基づく。この受容体はセスキテルペンラクトン全般に広く応答するため、ラクチュコピクリンへの高感度は同化合物への選択性の証拠ではない。
出典: Overlapping activation pattern of bitter taste receptors affect sensory adaptation and food perception(Lang R; Lang T; Dunkel A; Ziegler F; Behrens M, 2022)・全文確認
文脈: hTAS2R46を、セスキテルペンラクトン類に加えクレロダン型・ラブダン型ジテルペノイド、ストリキニーネ、デナトニウムにも広く応答する受容体として独立に特性化しており、最初の脱オーファン化はセスキテルペンラクトンのherbolide Dによる。ラクチュコピクリンはセスキテルペンラクトンに属するため、Lang 2022の結果はこの受容体についてすでに確立された作動薬クラスの内側にある。
限界: ラクチュコピクリンとラクチュシン自体は抄録に名前がなく、試験されたとも示されていない; これはクラスレベルの傍証であって直接の追試ではない。広い同調性は逆方向にも働く: 多数のセスキテルペンラクトンに応答する受容体は、ラクチュコピクリンへの選択性の証拠としてはより弱い。抄録レベルの抽出で効力の数値はない。
データを表示compound-lactucopicrin —activates→ receptor-tas2r46
claim: clm-chicory-tas2r46 / type: mechanism / 更新: 2026-08-30
ラクチュコピクリンはlactucopicrin 15-oxalate(LO)の分解。エンダイブの葉をpH 5.5・6.5・7.5の緩衝液で破砕抽出すると、LとLOの合計に占めるLの割合は1%以下・4%・9%で、pH 7.5では抽出後の時間経過とともにLOが減りLが増えた。中性〜弱アルカリ性でLが生成し、弱酸性ではその生成が抑えられるに由来する支持あり

範囲: 堀江2011の図1。エンダイブの葉に9倍量の0.1 Mリン酸緩衝液を加えて3分間破砕抽出、n=3

注記: レタス・エンダイブの乳液を迅速に分析すると L は合計の1%以下(エンダイブ0.9%・レタス0.6%)で、分析の前処理でも LO から L が生成しうると著者は注意する。

pH 5.5・6.5・7.5 の緩衝液で抽出した抽出液中の L の割合(L/(L+LO))は 1%以下・4%・9%。pH 7.5 では抽出後の時間経過とともに LO の低下と L の増加が認められ、弱アルカリ性で LO からの L の生成が促進されることが示唆された。
限界: 緩衝液中の結果で、口腔内の条件(温度・唾液成分)は含まない。
出典: ドレッシングの使用がキク科野菜の苦味を緩和する(堀江 秀樹, 2011)・全文確認
データを表示compound-lactucopicrin —is_derived_from→ "lactucopicrin 15-oxalate(LO)の分解。エンダイブの葉をpH 5.5・6.5・7.5の緩衝液で破砕抽出すると、LとLOの合計に占めるLの割合は1%以下・4%・9%で、pH 7.5では抽出後の時間経過とともにLOが減りLが増えた。中性〜弱アルカリ性でLが生成し、弱酸性ではその生成が抑えられる"
claim: clm-w176-lactucopicrin-formed-from-oxalate-ph-dependent / type: mechanism / 更新: 2026-09-26

加工・調理でどう変わる(1)

ウィットルーフの軟白栽培はラクチュコピクリンを増加させる支持あり

範囲: 強制後の根株(FR)組織、cv. Sweet Lady、12ヶ月貯蔵

注記: 同上。

強制後の根株(FR)組織でラクチュコピクリンが31.5±9.5から75.8±1.5 μg/g DWへ増加。
限界: 同上。
出典: Effect of Root Storage and Forcing on the Carbohydrate and Secondary Metabolite Composition of Belgian Endive (Cichorium intybus L. Var. foliosum)(van Arkel J; Twarogowska A; Cornelis Y; De Marez T; Engel J; Maenhout P; de Vos RCH; Beekwilder J; Van Droogenbroeck B; Cankar K, 2022)・全文確認
データを表示process-witloof-forcing —increases→ compound-lactucopicrin
claim: clm-w37c-witloof-forcing-increases-lactucopicrin / type: processing / 更新: 2026-09-02

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